CHAPTER 1
撮影で使う基礎用語(絞り・シャッタースピード・ISO・焦点距離 等)
GOAL
このレッスンのゴール
- ✓絞り・シャッタースピード・ISO感度の役割を一言で説明できる
- ✓焦点距離・ボケ・RAW/JPEGなどの基礎用語を10個以上自分の言葉で説明できる
各部ボタン・ダイヤルの役割
カメラには多くのボタンとダイヤルがついていますが、撮影で頻繁に使うのは限られています。それぞれの役割を覚えておくと、設定変更がスムーズになり、撮影中に迷う時間が減ります。
| ボタン・ダイヤル名 | 役割と機能 | 覚えておくポイント |
|---|---|---|
| シャッターボタン | 半押しでAFと露出をロック、全押しで撮影する | 半押しを習慣化するとピントのズレを防げる。連写は全押し後に押し続ける |
| 前ダイヤル(コマンドダイヤル) | F値・シャッタースピードなどの設定値を人差し指で操作する | MモードではF値またはSSを担当。機種によって割り当てが異なる |
| 後ダイヤル(サブダイヤル) | 露出補正・シャッタースピードなどを親指で操作する | 機種によって前後ダイヤルの役割が逆になる場合がある。マニュアルで確認を |
| モードダイヤル | P(プログラム)/ A(絞り優先)/ SまたはTv(シャッタースピード優先)/ M(マニュアル)など撮影モードを切り替える | MモードはF値・SS・ISOをすべて手動で設定するモード。このコースのゴール |
| ISOボタン | ISO感度を変更する。ボタン+ダイヤル操作またはメニューから変更する | 機種によって専用ボタンの有無が異なる。よく使うので操作方法を事前に確認する |
| AF/AEロックボタン | ピント(AF)や露出(AE)を固定したままフレーミングを変えられる | 背面ボタンのみでAFを行う「親指AF」として使う方法もある |
| 液晶モニター | 構図の確認・メニュー操作・撮影後の画像確認に使う | バリアングル式(回転する液晶)は自撮り・ローアングル撮影で非常に便利 |
| 電子ファインダー(EVF) | 目を当てて構図を確認する覗き窓。露出・色の仕上がりをリアルタイムで確認できる | 明るい屋外で液晶が見づらいときに活躍する。消費電力が高いため状況で使い分ける |
| ホットシュー | 外付けフラッシュ・外付けマイクを装着する金属端子部分 | 動画撮影時に外付けマイクをここに取り付けて音質を改善する |
| SDカードスロット | 撮影データを保存するメモリーカードの挿入口 | RAW形式は1枚20〜50MBと大きい。64GB以上の高速カード(UHS-I以上)を推奨 |
露出に関わる3つの用語
写真の「明るさ」は3つの設定で決まります。この3つを「露出の3大要素」と呼び、組み合わせを調整することが撮影の基本になります。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 絞り(F値) | レンズ内部の光の通り道の大きさを調整する設定です。F値が小さいほど(F1.8など)光が多く取り込まれ、同時に背景がボケやすくなります。F値が大きいほど(F11など)光を絞って暗くなる代わりに、手前から奥まで全体にピントが合う写真になります。ポートレートではF値を小さく、風景や商品撮影の全体フォーカスではF値を大きく設定するのが基本です。 |
| シャッタースピード(SS) | シャッターを開けて光を取り込む時間の長さです。1/2000秒のような速いシャッターは、走る人や水しぶきを止まったように写せます。1/30秒のような遅いシャッターは光をより多く取り込める代わりに、手ブレが出やすくなります。一般的に、手ブレを防ぐには「焦点距離の逆数」より速いシャッターが目安とされています。 |
| ISO感度 | カメラの光への感度を表す数値です。ISO100〜200は感度が低く、日中の明るい場所での撮影に向いています。ISO3200以上になると暗い場所でも明るく撮れますが、写真にノイズ(ざらついた粒状感)が出やすくなります。センサーが大きい実機カメラほど高ISO時のノイズが少なく、スマホとの差が出やすい要素のひとつです。 |
✓ Point !
3つは同時に変動する — 1つを変えたら別の2つで補正する
ISO感度を上げれば暗所でも撮れますが、ノイズが増えます。絞りを開ければ明るくなりますが、ボケが大きくなります。シャッターを遅くすれば明るくなりますが、手ブレが出ます。この「バランスを取る感覚」がChapter 2で学ぶマニュアル撮影の核心です。
確認クイズ
F値を小さくする(例:F8→F1.8)と起こる変化として正しいものはどれですか?
正解です!
F値を小さくすると絞りが開き、光が多く入り明るくなり、同時に背景がボケやすくなります。ポートレートや商品の主役を引き立てるときに使われる設定です。
惜しい!
正解はBです。F値が小さい(絞りが開いている)と光が多く入り明るくなり、背景がボケやすくなります。全体にピントを合わせたいときはF値を大きくします。
レンズ・ピントに関わる用語
撮れる範囲や背景のボケ方は、レンズの焦点距離とピントの合わせ方で決まります。3つの用語を押さえておくと、カメラの操作方法を学ぶときに理解が早くなります。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 焦点距離(mm) | レンズが写す範囲(画角)を表す数値です。35mm未満の広角は建物全体や広い風景を一枚に収められます。35〜50mm前後は人の目の見え方に最も近く、スナップや人物撮影に向いています。70mm以上の望遠は遠くの被写体を大きく写せるほか、距離感を圧縮する効果(圧縮効果)もあります。数値が小さいほど広く、大きいほど狭く拡大して写ります。 |
| ボケ(被写界深度) | ピントが合う範囲の浅さ・深さのことを「被写界深度」と呼びます。F値が小さいほど、またはカメラと被写体の距離が近いほど、ピントが合う範囲が浅くなって背景がよくボケます。ポートレートや料理写真では主役だけにピントを合わせ、背景をぼかすことで写真に立体感が生まれます。スマホのソフトウェアボケとは異なり、実機カメラでは光学的なボケが得られます。 |
| AF/MF | AFはカメラが自動でピントを合わせる機能です。動く被写体や人物撮影に便利で、現代のミラーレスカメラは顔・瞳まで自動検出できます。MFは撮影者がレンズのリングを手動で回してピントを合わせます。ガラス越しの撮影や、暗くてカメラのピントが合わず迷ってしまうときにMFへ切り替えると対応できます。 |
確認クイズ
焦点距離が長い(望遠)レンズの特徴として正しいものはどれですか?
正解です!
望遠レンズは遠くの被写体を大きく写せます。また、前後の距離感が圧縮されて見える「圧縮効果」があり、ポートレートで背景を際立たせる効果にも使われます。
惜しい!
正解はCです。望遠レンズは遠くを大きく写せることに加え、圧縮効果で前後の距離感が縮まって見えます。広い場所を一枚に収めるのは広角レンズ(焦点距離が短いもの)の役割です。
記録形式・色に関わる用語
撮影後の写真をどう扱うかに直結するのが、データの記録形式と色の設定です。Chapter 4の現像・編集を学ぶ前に、基本的な用語だけ把握しておきましょう。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| RAW(ロウ) | カメラが撮影した光の情報をそのまま保存する形式です。「生データ」とも呼ばれます。撮影後にパソコンでLightroomなどのソフトを使い、色・明るさ・コントラスト・ホワイトバランスを後から大幅に調整できます。ファイルサイズは大きくなりますが、撮影後の修正幅が最も広い形式です。Chapter 4で実際の使い方を学びます。 |
| JPEG(ジェイペグ) | カメラが撮影と同時に色や明るさを自動補正し、圧縮して保存する形式です。ファイルサイズが小さく、そのままSNSやWebに使えるため扱いやすいのが特徴です。ただし、撮影時点でカメラが処理を済ませているため、大幅な後処理は画質が劣化しやすくなります。RAWと同時保存の設定もカメラに備わっていることが多く、迷ったらRAW+JPEGで撮っておくと安心です。 |
| ホワイトバランス(WB) | 光源の色に合わせて「白を白く見せる」調整です。太陽光・曇り・蛍光灯・電球など光源が変わると色温度が変わり、写真全体の色味が変わります。「晴天」「曇り」「電球」などのプリセット設定のほか、ケルビン(K)という単位で細かく指定することもできます。RAWで撮影しておけば撮影後にパソコンで自由に変更できます。 |
✓ Point !
迷ったらRAW+JPEG同時保存で始める
RAW単体では撮影後に必ず現像ソフトが必要です。JPEG単体では修正の幅が限られます。RAW+JPEGで同時保存する設定にしておくと、すぐ使いたいときはJPEGを使い、きちんと仕上げたいときはRAWを使えます。SDカードの容量には余裕を持たせておくと安心です。
確認クイズ
RAW形式で撮影する最大のメリットはどれですか?
正解です!
RAWは未加工の生データなので、撮影後にLightroomなどで色・明るさ・WBを自由に調整できます。多少の露出ミスも後から修正できる点が最大の強みです。
惜しい!
正解はDです。RAWは生データなので撮影後の調整幅が最大です。ファイルサイズが小さいのはJPEGの特徴で、RAWはその逆でサイズが大きくなります。
SUMMARY
- 絞り(F値) ― F値小さい=明るく背景ボケ / F値大きい=暗く全体にピント
- シャッタースピード ― 速い=動きを止める / 遅い=光を多く取込む・手ブレに注意
- ISO感度 ― 高い=暗所でも明るく撮れる / ただしノイズが増える
- 焦点距離 ― 小さい=広角・広く写る / 大きい=望遠・遠くを拡大
- RAW vs JPEG ― RAW=調整幅が広い生データ / JPEG=そのまま使える圧縮済みデータ
- ホワイトバランス ― 光源に合わせて色味を補正する設定
CHECK
理解度チェック
露出の3大要素の役割を説明できる
絞り(F値)は光量とボケを、シャッタースピードは動きの止まり方と手ブレを、ISO感度は暗所での感度とノイズをコントロールします。3つが連動して写真の明るさと表現を決めます。
焦点距離の数値と写り方の関係を説明できる
数値が小さいほど広角(広く写る)、大きいほど望遠(遠くを拡大・圧縮効果)。35〜50mmが人の目に近い自然な写り方です。AF/MFはピントを自動か手動かで合わせる方式の違いです。
RAWとJPEGの違いを説明できる
RAWは生データで調整幅が広いが現像ソフトが必要。JPEGはカメラが処理済みで使いやすいが修正幅が限られる。迷ったらRAW+JPEGの同時保存設定が安心です。