案件獲得準備
開業届の基礎
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目次

1. 開業届とは

開業届とは個人事業の開業を税務署に知らせる届出となります。基本的には事業を開始してから1か月以内に提出する必要があります。

本格的に事業として活動する場合は出しておくことをお勧めします。

2. 開業届を出すメリット

a. 青色申告承認申請書を出すことによって控除が受けられる

開業届に加えて青色申告を出すことによって大きな節税になります。

白色申告に比べると確定申告の際の書類提出が煩雑になりますがメリットの方が大きいです。
青色申告のメリット
最大65万円の特別控除が受けられる
単式簿記を活用しシンプルに記帳して提出する場合は控除額が10万円になりますが、青色申告を提出し複式簿記で記帳を行い損益計算書と貸借対照表を作成して申告書類を提出すると、 最大65万円の控除を受けられるようになります。
赤字を繰り越せる
今年度の赤字を翌年以降に繰り越せるようになります。個人事業主であれば最大3年間、法人であれば最大9年間です。 翌年以降の黒字を前年度の赤字で相殺することで大幅に税金を圧縮することができます。 独立初期は赤字になるケースもありますのでこれはぜひ活用しておきたいところです。
30万円未満の資産取得時に一括で経費計上が可能になる
通常であれば10万円以上の場合は固定資産扱いとなり、毎年分割して減価償却費として経費計上されるのが原則です。 しかし青色申告を行うと30万円未満であれば一括で経費計上が可能になります。それによって支払う税金を抑えることができます。
家族への給与を経費にできる
生計を同じくする家族に対して支払った給与を経費計上できるようになります。白色申告では経費に計上できません。
貸倒引当金を経費にできる
通常であれば貸倒が確実なケースのみ回収しないようになっていますが、青色申告であれば回収見込み不能と思われる時点でも経費計上が可能になります。
青色申告のデメリット
複式簿記によって記帳を行う必要があり複雑な処理が必要になる
こちらは近年はクラウド会計ソフトがたくさんあるため簡単に行うことができるようになっています。
青色申告承認申請書を提出する必要がある
こちらは承認のために必須の書類手続きになります。

b. 小規模企業共済に加入できる

小規模企業共済は経営者やフリーランスにとっての退職金のようなイメージを持つとよいと思います。

毎月掛け金を支払い、6か月以上積み立てると廃業した場合に共済金を受け取ることができます。
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(引用:https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/installment/index.html)

c. 屋号付きの事業用銀行口座を作れる

屋号付きの銀行口座を作りたい場合には開業届が必要になります。

銀行口座はプライベートと仕事用で分けておくと便利なため、開業届を提出した上で屋号付きの口座の開設をおすすめします。

3. 開業届を出すデメリット

a. 扶養に入れなくなる可能性がある

健健康保険において各種健康保険組合によっては、個人事業主は扶養に入れないと定めているケースもあるので確認が必要です。

b. 失業手当をもらえなくなるリスク

退職する会社で雇用保険に加入していた場合、失業期間中に失業給付を一定期間受けることができます。

給付の条件には「本人に再就職する意思と能力があること」というものがあるため、開業するということは事業主という扱いになり、再就職の意思はないとみなされ給付を受けられなくなる可能性もあります。

そのため開業のタイミングには注意しましょう。

結論、開業届はデメリットに注意した上で原則提出をおすすめします。

4. 開業届の提出後にやるべきこと

a. 国民年金への加入

会社を退職してフリーランスになる場合、勤務していた企業が厚生年金の脱退手続きを行います。

会社を辞めたら原則として退職から14日以内に国民年金への加入手続きを行う必要があります。

年金の仕組みを理解し将来にもらえる額を計算しておきたいという方はこちらの記事がおすすめです。→ 厚生労働省 いっしょに検証!公的年金の仕組みと将来

年金の給付金額を確定申告の際に控除することができるため忘れないように控除するようにしましょう。

一番の注意点としては年金は「国民年金」と「厚生年金」の2段構成になっており、厚生年金は会社員が加入するもので半分は企業が負担をしてくれます。

詳しくは厚生労働省のページを参照いただきたいですが、フリーランスで国民年金だけになった場合、将来もらえる年金は会社員の半分程度と心得ておいた方がよいでしょう。

また先の話にはなりますが老後の生活費を鑑みて年金、貯金などの計画を行っておくことをおすすめします。

公益財団法人 生命保険文化センターによる「リスクに備えるための生活設計」

b. 国民健康保険への加入

会社を退職してフリーランスになる場合は勤め先の健康保険から別のものに入り直す必要があります。日本は「国民皆保険システム」を採用しているため原則全ての人が医療保険に加入する必要があります。

以下の3つの選択肢があります。
国民健康保険への加入
会社退職後14日以内に国民健康保険に加入しましょう。

国民健康保険は控除の対象になるため確定申告の際に所得から差し引くことができます。

デメリットとしては家族の健康保険料まで支払う必要があることです。
会社の健康保険を任意継続
自分で入るのではなく会社の健康保険を任意継続する選択肢もあります。

退職後20日以内の手続きが必要になります。

メリットは保養所施設の利用、人間ドックの受診補助、条件によっては家族の保険料を納める必要がないことになります。
健康保険組合に加入
国民健康保険組合の最大のメリットは、収入に関わらず保険料が一定であることです。

国民健康保険組合とは同種の事業運営者、業務従事者によって構成される団体であり、様々な業界・業種において組合が存在します。

国民健康保険の場合は所得に応じて保険料が上下する仕組みになっています。

c. 開業後はコツコツ経理作業を実行しよう

開業届を出した後、毎年1月1日~12月31日までの所得の合計額を計算した上で納税する義務が発生します。

日々経理作業を行い、収入と経費を記録していく必要が出てきます。年末にまとめてやろうとすると恐ろしい労力がかかるので毎日コツコツ記録していくのがおすすめです。

会計は手作業でやると時間がかかりミスも発生しやすいため会計ソフトを使用することをおすすめします。
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