0. はじめに
前提として、商談スタイルは商談をする人のパーソナリティや相手によって変わるため、ケースバイケースで柔軟に対応するマインドが必要です。
この記事では、アポイントは獲得してある前提で、実際にオンラインまたはオフラインで対面で話す商談でどのように振る舞うべきか解説していきます。
全く同じWEBのスキルを持った人でも、商談スキルがあるかないかだけで成果が3~10倍くらい変わりうるほど重要なスキルです。
商談力のない人だと単価10万円の案件でも商談力があれば50万円にできることもあるのです。
フリーでやるつもりの人は、営業力は絶対に必要になりますのでつけていくように頑張っていきましょう。
あまり営業は行わず、制作作業などに集中したいという場合はWEB制作・デザイン・マーケティング会社にパートナーとして発注してもらう関係を結んだり、エージェントを活用して案件を紹介してもらう方法などに注力するとよいでしょう。
1. まず商談前の事前準備が重要
特に慣れないうちは、しっかりと事前準備した上で臨むようにしましょう。
例えば、WEBサイトのリニューアル・集客効率向上がテーマの案件だったとします。
その際は以下のようなポイントに沿ってリサーチ・仮説構築をおこなっておくとよいでしょう。
- クライアント企業のビジネスの概要を理解
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当日お会いする方の経歴や過去インタビューなど
- 信頼関係構築の役に立ちます。
- クライアントのビジネスの事業規模
- クライアントのビジネスのターゲットユーザー
- 現状のWEBサイトアクセスを増やすための施策の理解
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WEBサイトアクセスを増やすための提案施策
- WEB広告やSNS運用などを実施しているか?実施している場合も改善余地がないか?
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WEBサイトのCVR改善提案
- タイポグラフィの観点で改善可能な箇所はないか?
- 文字サイズ、フォントの種類
- (フォントの統一感がない、ジャンプ比率が適切でないなど)
- 配色の観点で改善可能な箇所はないか?
- 強調すべき箇所が強調されていない点など
- カラーの使い方だけでCVR改善に大きなインパクトがあります。特にCTAの色の改善などは効果が大きいと一般的に言われています。
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ページの構成に改善余地がないか?
- CVへの導線設計に改善余地がないか?
- 導線1つ1つの質、導線が設定されている場所など細かいところで大きくCVRは変化します。
- CTAの文言、CTA周りのマイクロコピーなど細かい部分で大きな改善を見込めます。
- タイポグラフィの観点で改善可能な箇所はないか?
- 文字サイズ、フォントの種類
これらのリサーチと改善施策の発想は、慣れてくると30分~1時間以内くらいでできるようになってきます。
おろそかにせずに、事前準備を行って商談に臨むようにしましょう。 仮に都合上契約まで至らなくても、事前準備をしっかり行って資料配布などを行えば、相手からは「仕事ができる」という印象を与え、今後も相談される関係性を構築できます。
2. 商談開始時にはまずヒアリング
a. ヒアリングなしでいきなりプレゼンは絶対NG
発注者は基本的にとても忙しいため、自分が興味のある話しか聞きたくありません。忙しい中、時間をとったのに自分の興味のない話をされるのは本当に苦痛です。
興味があるのは①自社の課題 と ②その課題をどう解決するのか? この2点だけです。
そのためいきなりプレゼンするのではなく、まずはヒアリングを行なって相手の課題を把握しにいきましょう。
b. ヒアリングでまずは背景・課題を特定しよう
聞き方はケースバイケースですが、例えば以下のような形でヒアリングしていくとよいでしょう。
- 今回面談を設定していただいた背景をざっくりお伺いしてもよろしいでしょうか?
- 今回はWEBサイトのリニューアルですよね。私なりに事前にサイトを拝見し改善案をいろいろ考えてはきたのですが、〇〇様の目線で今特にどこに課題を感じているなどあればお伺いしてもよろしいでしょうか?
-
今回はアクセス数を増やしたいというお話ですよね。私なりに事前にリサーチし提案もあるのですが、ちなみに現状はどのような施策を実施されていますか?
- 〇〇様がアクセス数を増やしていく上で課題に感じられていることはございますか?
相手の発言を鵜呑みにせず、真の課題が何かを探り特定して相手と合意できるように努力しましょう。
解決したい課題について、ヒアリングやディスカッションを通じて合意が取れたら次のステップに進みましょう。
c. 予算とスケジュール感を把握しよう
提案するにしても、相手の予算とスケジュール感を把握できないと適切な提案が行えません。
相手が想定している予算とスケジュールから大きく乖離した提案をしても、相手には絶対に刺さりません。
- ざっくりどれくらいの予算で考えていますか?
- どれくらいのスケジュール感でお考えですか?
このような感じでヒアリングして、予算やスケジュールを把握しましょう。比較的直接的に聞いても問題ありません。
3. 提案フェーズ
大規模なWEBの案件ですと、金額も大きくなるため、一度ヒアリングした後にしっかりと提案書を作成して臨むこともあります。
大規模な案件での提案方法を理解すれば、それより小規模な案件についても対応できる(大は小を兼ねる)という考え方の下、比較的大規模な案件を想定して提案の例を示していきます。
a.提案内容
「あれもしたい」「これもしたい」となると、その後のプレゼンテーションに一貫性がなくなり、説得力も低下します。
WEBサイトへのアクセスを増やしたいのか?WEBサイトをリニューアルしたいのか?WEBサイトをリニューアルする目的は何か?
「新卒学生の採用が目的」「顧客の獲得が目的」なのかなど、目的をとにかく具体化していきましょう。
今回はクライアントを「都内にあるメンズ向け脱毛サロン」と想定して、「WEB広告に出稿しているLPのCVRが低い」ことが課題と設定します。
まずは定性的に言葉で「なぜWEBサイトをリニューアルしたいのか」「目的は何か」「何を達成したいのか」を明確にしましょう。
次に、できる限り定量的な数値で目標を設定できるとクライアントにより刺さる提案になります。
経営者が最も気にしていることは「売上」「コスト」「利益」という「数字」です。「集客数を増やします」と言われても、具体的な数字で示されないと全く響きません。
数字で語れる癖をつけていきましょう。例えば以下のような感じです。
目的:「WEB広告経由の売上を伸ばすためにLPのCVRを改善する」
定量目標:「X月までにLPのCVRをXX%改善する」
- 獲得コスト:6000円
- クリック単価:300円
- CVR:5%
- 獲得コスト:10000円
- クリック単価:300円
- CVR:3%
CVRが低いという課題を明示するだけでは具体度が低すぎるため、もう一歩深掘りを行い、なぜCVRが低いと考えられるのか?
その課題仮説を提示していきましょう。課題を具体的に指摘できればできるほど、クライアントからの信頼感は高まります。
例えば以下のように課題を指摘できるとよいのではないでしょうか。
- 流入元の広告クリエイティブとLPのFVの乖離が大きくユーザーの離脱を招いている
- ターゲットユーザーとトンマナがあっていない
- CTAの文言とCTA周りのマイクロコピーが最適化されていない
- CTAの配置の数と位置が最適化されていない
- 信頼感を高めるコンテンツが不足している・・・etc
など、既存のLPのスクショなども用いながら指摘できるとよいでしょう。
- ユーザーの流入元とFV(ファーストビュー)に乖離はないか?
- FVのキャッチコピー、画像は適切か?
- CTAの内容、配置は適切か?
- 信頼感を高めるコンテンツはあるか?
- コンテンツの順番は適切か?
- 誤字脱字はないか?
- 希少性・緊急性を演出するコンテンツはあるか?
- 追伸パートはあるか?
- サイトスピードは遅くないか?
抽象的すぎる施策提案だけだと刺ささらないので、抽象的な施策内容を伝えた後、具体的にどのような施策を想定しているのか伝えましょう!
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現状分析
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Google Analyticsを活用して問い合わせページ遷移率、フォーム送信率などに分解した上でCVRの推移を分析
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ヒートマップツールを活用してユーザーの離脱ポイントの洗い出し
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顧客の声・インタビュー実施に基づくユーザーインサイトの把握
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競合比較を通じたUSPの特定
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改善施策の策定
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LP改善案のワイヤーフレーム作成
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LP改善案のデザインカンプ作成
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LPの実装
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効果測定
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FV(ファーストビュー)
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サロン店舗の写真ではなく、ユーザーが自分の未来の理想を描きやすいように脱毛終了後の魅力的な男性の写真イメージを採用
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キャッチコピー候補の洗い出し
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CTA
- CTA文言候補の洗い出し、ユーザーインタビューを通じた確定
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信頼感向上
- お客様の声のコンテンツ集め・インタビュー
現状分析を通じて変更する可能性もあるかと思いますが、想定している改善の方向性なども仮説があれば書いておいてよいでしょう。
予算総額と予算の内訳を明らかにしてください。
スケジュールについてもいつ納品可能なのかを明示した上で作業を分解して、それぞれいつまでに終わらせる予定かを示すとよいでしょう。
予算もスケジュールも、ブレイクダウンして説明することを意識してください。
ざっくり100万円です!
納品は3ヶ月後です!
と言われても納得感がないですよね?
100万円の内訳を説明するべきですし、なぜ3ヶ月かかるのかの説明もどちらもブレイクダウンして説明する必要があります。
インタビュー:XX万円、ワイヤーフレーム:XX万円、デザイン:XX万円のように内訳を示すことによって合計金額への納得感を高めることができます。
WEBサイト制作には終わりはありません。ほとんどどんなWEBサイトにも改善余地はありますし、外部環境が変われば、WEBサイトも変化していく必要があります。
そのためWEBサイトの案件は一回で終わりにせず継続的な関係性を作れるように提案していきましょう。
まず「WEBサイト制作に終わりはなく、継続的に改善が必要である」ということをクライアントに理解してもらいましょう。
実際にサイトを作ったら「ユーザーに公開して結果を見て、改善してまた結果を見て」ということを繰り返さない限り、集客力のあるサイトにはなりません。
そこをしっかりとまずは伝えて理解してもらいましょう。
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WEBサイトの効果を測定する仕組みを導入
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Google Analytics
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Google Search Console
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ヒートマップツール など
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- 基本的な運用保守・変更などにいつでも対応する体制
- (予算によりますが)週次・月次で分析を行い改善施策を策定して実行する
会社概要・強み・実績の前にまずクライアントの課題、解決策の話を重視しましょう。
プレゼンの最初にダラダラとした会社概要や自己紹介をすると基本的に嫌がられます。
以下はよくある一般的な内容を抑えておけばOKです。実績はこの中でも特に重要となります。
- 会社概要
- 強み
- 実績
b. 提案書テンプレート
パワーポイント資料としてダウンロードが可能です!
提案書は自分オリジナルのテンプレートを用意しておくことで提案書作成を効率化できます。
資料作成の時間は出来るだけ少なくできるように工夫していきましょう。
提案書は自分が一番慣れているツールで作成されるのがおすすめです!
- パワーポイント
- Googleスライド
- Canva
- (Figma)
様々なデザイン的に優れたプレゼン資料が掲載されており、パワーポイント形式でもダウンロードすることができます!