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内定承諾に悩んだ時は? 意思決定の方法を紹介

就職活動をしていく中で、最終的に複数の内定をもらうことがあります。最初から1つの企業に絞り込んでおり、その企業の内定を獲得できていれば何も問題はありませんが、そうではない場合どの内定を受け入れるかを考えなければなりません。

どの企業を選び、内定承諾するかは、その人の人生において重要な分岐点となります。だからこそ複数の内定がある場合や、内定が1つであっても、承諾か辞退か迷うこともあるでしょう。その選択次第では後悔する結果につながる可能性もあります。

内定承諾で悩んでいる時は、自分の中で何を大切にしているか、何を選択の基準としているかを改めて明確化させることが重要です。

衝動的に辞退か承諾かを決定するのでなく、まずは自分を振り返り、そして改めて内定をもらった企業についてじっくり考えましょう。

入社後にやっぱり自分に合わないという事態を避けるためにも、内定承諾の選択は慎重に行うべきです。

今回の記事では「内定を承諾するか就活を続行するか」や「複数の内定があり、選択に悩んでいる」人など、内定承諾に悩みや不安を持つ人に向けて、意思決定の方法や、逆に選択する上でNGな行動について紹介していきます。

中途入社の内定率

株式会社マイナビが公開している「中途採用状況調査2023年版」によれば、2022年度の中途入社の内定辞退率は全体の7.9%となっています。2019年度は22.1%であり、年々中途入社の内定辞退率は減少傾向にあります。

新卒の場合は採用時期が決まっていることと、就活生が一度に何社ものエントリーをしていることもあって、内定辞退率は高くなる傾向にあります。一方で中途入社の場合、一般的には業種や職種を絞り込んだうえで臨むので、内定をもらった段階で既に入社を決めている人が多くなる傾向にあります。

就職活動では自己分析と業界分析を行い、選考を受けていく中で、自分の働きたい企業を定めていく流れになります。中途入社の場合は、既に自分の将来についてある程度方向性を決めている人が多いため、あまり内定承諾に悩むことはないようですが、新卒の場合は自分の将来について測りかねている人も多いでしょう。

内定承諾に迷う理由は新卒の場合も中途の場合もさまざまですが、基本的には「内定した企業に何かしらの不満がある」か「同じタイミングで複数の内定を得た」ことが起因となります。

引用:中途採用状況調査2023年版 PDF 11 図10

複数内定をもらったときに悩んでしまう理由

新卒の場合は同じ時期に複数の企業にエントリーすることも多いため、必然的に内定の数も1つではなく複数重なる場合があります。

自分の中で将来のイメージが明確であり、予めどの企業の内定を優先して選ぶかを決めている場合はさほど迷うこともありません。とはいえ実際そこまで企業選択を迷わず行えるという人は少ないでしょう。

どの企業のを選ぶかは、その後の人生を左右する大きな問題です。複数の内定がある場合は、より自分の将来像に近づくことができる企業を選ばなければなりません。しかしいざ選ぶ時になると、何を基準にして判断して良いか分からないまま、結果悩んでしまうことになります。

内定承諾で迷わないためにも、まずは自分がなぜ企業の選択で悩んでいるのか、その理由を明確にすることが大切です。迷っている理由さえ理解することができれば、解決するために自分が何を考えれば良いかも分かってきます。

ここでは複数内定をもらった時に悩んでしまう理由として考えられるものを紹介していきます。そしてその悩みの種を解決するために、改めて考えるべき点も合わせて紹介するので、ぜひ内定の承諾で悩んでいる人は参考にしてください。

企業選定が甘い場合

複数の内定をもらった時に悩んでしまう理由の1つとして、企業選定が甘い場合が考えられます。自分の志望している企業への理解が十分でなかったり、自分が定めている将来の方向性と企業の理念や社風が合っていなかったりすると、内定承諾に踏みとどまってしまう原因となります。

企業や業界の研究は、企業の選考を通過するために徹底している人も多いですが、複数の企業にエントリーしている場合は、どうしても情報が不足気味になることもあります。

内定が決まり、どの企業を選ぶかで迷った場合は、今一度その企業や業界についての情報を収集することをお勧めします。その企業がどのような人材を求め、自分にはその適性を持っているかを再確認し、内定承諾の基軸を作りましょう。

また、面接での説明と求人情報が違うという場合や、勤務地や業務内容が自分の希望に合わない場合もあります。実際に企業の人から提示された情報を確認し、改めて自分が働きたいと思えるか否かを再確認しましょう。

大抵の場合、内定を承諾するか辞退するかに悩んでしまうのは、情報不足による不安によるものです。後悔しない選択をするためにも、内定を得た企業については改めて調べることを推奨します。

将来なりたいイメージが固まっていない場合

もう1つの原因として考えられるのは、将来のイメージが固まっていない場合です。企業を選ぶ際の基軸の1つとなるのは、自己分析による結果となります。自己分析は過去の自分の経験から得た価値観や思考回路から構成されているものです。例えば「自分のアイデアを形にしたい」という理由で開発業に携わることを求めている人は、過去に自分のアイデアで作った物が高評価を得たなどの成功体験があります。

そういった自己分析を重ねていくことで、将来の自分像を明確にしていくことができます。企業を選ぶ際は「将来のイメージを実現化するためにはどこの企業がベストか」という考えに基づいて企業選定をしていくことになります。

しかし、この将来のイメージが固まっていないと、自分の中の基準が曖昧となり、結果内定を得た企業の中からどれを選ぶべきか分からなくなります。

そういう時は、改めて自己分析をし、自分のことを根本的なところから見つめ直すことで、選ぶべき企業を自然と絞り込むことができるでしょう。

意思決定に悩んだ時の対処法

複数の内定をもらった時に悩んでしまう理由については理解し、企業研究や自己分析をやり直しても、複数の企業を比較し選定することは難しいことです。どの企業にも一長一短はあるので、自分自身の将来像を実現する上でベストといえる選択が複数に及んでしまうケースもあります。

その場合は選べる企業の中で、自分が優先とする要素を比較することで、より自分の意思に沿った企業を選ぶことが最適といえますが、それを自分の頭の中で完結させることは難しいでしょう。

意思決定に悩んだ時の対処法として、「意思決定マトリックスの作成」と「企業選びの8つの軸を参照」する方法がおすすめです。どちらも複数の要素から構成されたもので、企業そのものを細分化させることで、より自分の将来イメージに合致した企業を選ぶ際の対処法として用いられます。ここでは2つの対処法について、どのような要素が含まれ、意思決定の参考にしているかを紹介していきます。

意思決定マトリックスの作成

意思決定マトリックスとは、複数の選択肢(企業)をさまざまな評価項目によって客観的に定量し、最適なものを選び出すためのフレームワークです。意思決定に悩んだ際は、この意思決定マトリックスを作成することで、評価項目に対する自分の意思を1つの表として見ることができ、その総評によってどの企業がより自分の理想に近いかどうかを判断できます。

意思決定マトリックスで用いられる評価項目として、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 収益性
  • 将来性
  • 独自性
  • 優位性
  • コミュニケーション

意思決定マトリックスのフレームワークに用いられる評価項目に決まったものはありません。自分が企業を選ぶ際に重要視する評価の要素を考え、それを盛り込んでいきましょう。評価項目が多くなれば、その分詳細な比較をすることができますが、自分が優先している部分を見失ってしまうこともあります。 その場合は評価項目を重要なものだけに絞り込むか、優先すべき項目に重みをつけるなどの工夫をしましょう。

評価項目が決まれば、企業ごとにそれを表でまとめ、それぞれの項目に評価段階を記入していきましょう。最終的なスコアが最も高い企業こそが、自分の中で評価の高い企業といえます。

企業選びの8つの軸を参照

意思決定マトリックスでは、評価項目も評価段階も自分で決めますが、もっと客観的な指標で企業を比較したい場合は「企業選びの8つの軸」を参照することもおすすめします。

企業選びの8つの軸とは以下のものになります。

  • 会社基盤
  • 理念や戦略
  • 組織風土
  • 事業内容
  • 仕事内容
  • 施設環境
  • 制度待遇
  • 人的魅力

これら8つの軸の中で、自分が特に大切にしていると思う軸を上位に並べ、自分が内定をもらった企業をそれぞれ評価していきます。上位の軸を高い評価で満たしている企業ほど、自分の意思と合致した企業ともいえます。

さらにこの8つの軸で企業を比較することで、自分が重要視する就活の軸を確認することができるので、改めて自分の意思を認識することができます。就活を通じて変わった考え方や、時代や流行の変化によって、自分の価値基準が変わっている可能性もあるので、内定についてある程度決まっている場合でも、一度この企業選びの8つの軸について考えてみてもよいかもしれません。

意思決定時のNG例

複数の内定をもらい、その中から自分の将来に適した選択をするには、自分と企業の両方について改めて細分化し理解することが重要です。特に面接時に感じたことや、実際に企業へと赴いた時に感じた印象をインプットした上で、自分を振り返ってみましょう。

どの企業に務めるかによって、その後の人生は大きく変わります。焦って衝動的な選択をするのではなく、一度立ち止まりよく考えてみてください。

通常内定の承諾には期限が定められていますが、保留という形で考える時間を確保することができます。保留が認められるかどうかは企業によって異なりますが、自分の将来のことですから、とにかく焦らないことを心掛けましょう。

また1人で考えず、第三者に相談し、その結果を踏まえてどの企業に勤めるかを選択する方法もおすすめです。自分の中にはない意見を取り入れることで、自分の中にある考えにも変化を促すことができます。ただし最終的な決定は自分で下すことは忘れないように注意してください。

このようにどの内定を受け入れるかを選ぶ際に、取れる行動はいろいろあります。一方で、「早く企業を選ばないと」という気持ちから、視野が狭まり、誤った判断基準で選択してしまうこともあります。ここでは、そんな意思決定時におけるNG例を紹介していきます。

面接官の雰囲気だけで決める

企業を決める際に面接時の担当の雰囲気だけで決めてしまうことは避けましょう。そもそも面接で対応してくれている人は人事であることが多く、実際に入社した後に自分の業務と密接に関わるかどうかは分かりません。また企業には多くの人が務めています。中には自分とはそりが合わないという人も必ずいるでしょう。全員が自分にとって都合の良いことなど、まずあり得ません。

企業の評価として、どのような人たちが働いているかというのは1つの基準にはなり得ますが、それだけで企業の評価をすべて決めてしまうのは尚早です。

面接官を通じて企業の雰囲気を掴むこと自体に問題はありません。ただし、あくまでもそれは面接時のことだと認識した上で、頭の片隅に残す印象として取り扱うことを意識しましょう。

企業を選ぶ基準として大きなものは他にも多くあります。面接官1人の印象よりも、まずは企業全体について徹底して見つめなおし、広い視野でどの企業を選ぶべきかを判断するべきです。選択に焦らず、まずはもう一度改めて自分と企業について冷静に見直し、適した企業を選ぶようにしましょう。

懇親会時のOBやOGの印象だけで決める

企業選択をする一環として、懇親会に参加することはとても有意義なことではあります。多くのOBやOGなどから企業についての話を聞くことができますし、自分の働く企業に務めている人たちの雰囲気から、企業内の空気を感じ取ることもできます。

ただし、中には企業について悪い部分を話すOBやOGもいるかもしれません。どの企業にも、良いところもあれば、悪いところもあります。その悪い部分だけを切り取られてしまうと、自分の選択は間違っているのではないだろうかと勘違いしてしまうことがあるので注意が必要です。

OBやOGがする苦労話などは、企業選択において重要な要素にはなり得ますが、企業も時代の流れとともに変化していきます。OBやOGが当時不満に感じていたことも、今では改善されているかもしれません。

懇親会ではOBやOGから、企業のよい点も悪い点も聞くことができます。ここで重要なのは悪い点ばかりに注目するのではなく、良い点にも注目することです。そしてOBやOGの話を持ち帰り、改めて自分がその企業で働くことをイメージしてみましょう。

他者評価だけで判断する

第三者の評価を参考にすることは、自分の中にはない意見を取り入れることで、新たな発見や印象につながります。1人で考えてばかりでいると、視野も狭まり、正しい判断がなかなかできない状況になることもあるでしょう。そのため第三者の評価を1つの判断材料とすることはとても重要です。

しかし、それだけで企業の価値を判断してはいけません。第三者の評価はあくまでも参考にするものであり、それ自体を判断の基準にしてしまうと、その企業が本当に自分に合っているかどうかが分からなくなってしまいます。第三者の評価というのは客観的評価ではなく、自分ではない誰かの主観であることを忘れてはなりません。

そして実際に企業に入社し、働くのは自分です。他社評価だけで判断し、企業への入社を決めてしまっては、思わぬところで「思っていたのとは違う」となってしまいかねません。

積極的に第三者の意見を取り入れることはとても重要なことですが、その意見に流されることなく、最終的には自分で判断をすることが重要です。

自分で判断し、入社を決めたのであれば、もし思っていたものと違っていた場合でも、考えて解決策を見つけることもできるでしょう。

まとめ

内定承諾に悩んだ時には、まず自己分析と企業・業界のリサーチを改めて行うことを推奨します。たいていの場合、内定承諾に悩む理由は判断するだけの情報が足りていないことが原因ですので、判断に必要なだけの情報を補完し、改めてその企業が自分に合っているかを判断していきましょう。

情報の補完に役立つ手法として「意思決定マトリックスの作成」や「企業選びの8つの軸を参照」を用いれば、図として見ることができるので、これまでの情報を整理する上でも役に立ちます。

その他にもOBやOGの参加する懇親会で情報を集めたり、第三者の評価を参考にすることでも、情報の補完は可能です。ただしそれらの情報だけを鵜呑みにして判断すると、入社後に取り返しのつかない後悔をすることになるかもしれません。他者の意見などはあくまでも参考程度にとどめ、自分の意思で最終的な判断を下すようにしましょう。
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