教材0AI時代のSNS運用戦略 - 効率化と成果最大化への道
3章 AIを賢く安全に使うために -メリットと注意点-
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目次

3章 AIを賢く安全に使うために -メリットと注意点-

この章の目安学習時間: 30分

この章で到達できるゴール

  • AI活用がもたらす具体的なメリットを理解し、導入への期待を高めることができる
  • AI利用に伴うリスクを認識し、安全に活用するための心構えができる
  • すぐに試せる無料のAIツールを知り、学習へのハードルを下げることができる

【3-1】AI活用のメリットとデメリット

目安の学習時間:20分

AIをSNS運用に導入することは、多くのメリットをもたらしますが、同時に注意すべき点も存在します。
このセクションでは、AI活用の光と影を具体的に見ていき、賢くAIと付き合っていくための知識を深めます。

メリット1:圧倒的な時間短縮

SNS運用におけるAI活用の最大のメリットの一つは、作業時間の大幅な削減です。
  • ルーティンワークの自動化:
    • 投稿文の草案作成、ハッシュタグの提案、コメントへの一次返信案作成、定型的なレポート作成など、これまで多くの時間を費やしていた繰り返し作業の多くをAIに任せることができます。
    • 例えば、毎日数時間かかっていた情報収集や投稿準備が、AIのサポートで数十分単位に短縮されることも夢ではありません。
  • 創出された時間でより本質的な業務へ:
    • AIによって生み出された時間は、SNS運用の 戦略設計、よりクリエイティブなコンテンツの企画、フォロワーとの深いコミュニケーション、データ分析に基づく改善策の立案 など、 人間ならではの価値を発揮できる、より本質的で高度な業務に充てることができます。
    • 結果として、SNS運用の質そのものを向上させることが期待できます。
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メリット2:アイデア枯渇の防止と質の向上

「今日の投稿ネタどうしよう…」という悩みは、多くのSNS運用担当者が抱えるものです。
AIは、このアイデア創出の面でも強力な味方となります。
  • 24時間365日、いつでもアイデアを出してくれる最高のブレストパートナー:
    • 人間のように疲れたり、気分にムラがあったりすることなく、AIはいつでも、何度でも、新しいアイデアを提案してくれます。
    • キーワードやテーマを与えるだけで、多様な切り口のコンテンツ案、キャッチーなコピー、キャンペーン企画などを無数に生み出してくれるため、アイデアの枯渇を防ぐことができます。
  • 人間の思考の枠を超えた、意外な切り口のアイデアを得られる可能性:
    • AIは、過去の膨大なデータや学習パターンに基づいてアイデアを生成するため、時には人間では思いもよらないような斬新な視点や、意外な組み合わせの提案をしてくれることがあります。
    • これにより、マンネリ化しがちなコンテンツに新しい風を吹き込み、投稿の質を向上させるきっかけを得られるかもしれません。

メリット3:データに基づいた意思決定の支援

勘や経験だけに頼ったSNS運用から脱却し、客観的なデータに基づいて戦略を立て、施策を実行することは、成果を最大化するために不可欠です。
  • 勘や経験だけに頼らない、客観的なデータに基づいた戦略立案が可能になる:
    • AIは、大量のSNSデータを高速に分析し、どの投稿が効果的だったのか、どのようなターゲットに情報が届いているのか、といった インサイトを抽出 する手助けをします。
    • これにより、経験則だけでなく、具体的なデータという根拠を持って、「なぜこの施策を行うのか」「どのような成果が期待できるのか」を判断できるようになります。
  • 施策の成功確率を高め、クライアントへの説得力も増す:
    • データに基づいた意思決定は、施策の成功確率を高めるだけでなく、社内やクライアントに対して戦略の妥当性を説明する際の 説得力を格段に向上 させます。
    • 「なんとなく良さそう」ではなく、「データがこう示しているので、この戦略が有効です」と自信を持って提案できるようになるでしょう。

デメリットと注意点1:情報の正確性(ハルシネーション)

AIは非常に便利ですが、その出力が常に100%正しいとは限りません。
特に注意すべきなのが「ハルシネーション」です。
注意:ハルシネーション(再掲)
  • ハルシネーションとは:AIが、事実に基づいていない情報や、文脈に合わない不正確な情報を、あたかも事実であるかのように生成してしまう現象のことです。AIは「正しさ」を保証するものではありません。
  • ファクトチェックの重要性:AIが生成した情報(統計データ、専門知識、事例など)をそのまま鵜呑みにせず、必ず信頼できる情報源(公式サイト、専門機関の発表、一次情報など)で事実確認(ファクトチェック)を行う習慣をつけましょう。特に、医療や法律、金融など、誤情報が大きな問題を引き起こす可能性のある分野では、細心の注意が必要です。
  • SNSで発信する情報は、企業の信頼性にも直結します。誤った情報を発信してしまわないよう、人間による最終確認は不可欠です。

デメリットと注意点2:著作権とプライバシー

AIを利用してコンテンツを生成する際には、著作権やプライバシーといった法的な側面に十分配慮する必要があります。
  • AIの生成物が他者の著作権を侵害する可能性:
    • AIは、学習データに含まれる既存の著作物と類似したコンテンツを生成してしまうことがあります。
    • 意図せず他者の著作権(文章、画像、音楽など)を侵害してしまうリスクがあるため、生成されたコンテンツは オリジナリティの観点からもチェック が必要です。
    • 特に、AIに画像や音楽を生成させる場合は、学習元のデータや利用規約をよく確認しましょう。
  • 入力した情報がAIの学習に使われるリスク(機密情報を入力しない):
    • 利用するAIサービスによっては、ユーザーが入力した情報がAIのさらなる学習データとして利用される場合があります。
    • 社外秘の情報、個人情報、顧客情報などの機密性の高い情報は、原則としてAIに入力しない ようにしましょう。
    • 各AIツールのプライバシーポリシーや利用規約を確認し、情報がどのように扱われるのかを理解しておくことが重要です。
  • 各プラットフォームの利用規約の確認の重要性:
    • SNSプラットフォーム側も、AI生成コンテンツの扱いについて規約を設けている場合があります。
    • 例えば、AIが生成したことを明示する必要がある、特定の種類のAIコンテンツの投稿を禁止している、といったケースが考えられます。
    • 利用するSNSの規約も必ず確認しましょう。

デメリットと注意点3:炎上リスクと倫理

AIは倫理的な判断能力を持たないため、その生成物が意図せず社会的な問題を引き起こす(炎上する)リスクも考慮しなければなりません。
  • 意図せず不適切・差別的な表現を生成してしまう可能性:
    • AIの学習データには、世の中の偏見や差別的な情報が含まれている可能性があります。
    • そのため、AIが生成した文章や画像が、特定の個人や集団を傷つけたり、差別を助長したりするような不適切な表現を含んでしまうことがあります。
  • 公開前には必ず人間の目でチェックし、倫理的な判断を加える責任がある:
    • AIが生成したコンテンツは、必ず公開前に人間の目で多角的にチェックし、倫理的に問題がないか、誤解を招く表現はないか、誰かを不快にさせる可能性はないかなどを慎重に判断する必要があります。
    • 最終的な発信責任は人間にあるということを常に意識しましょう。
    • 多様な視点を持つチームでレビューする体制も有効です。

【3-2】すぐに始められる!AIツールと学習の心構え

目安の学習時間:10分

AI活用のメリットと注意点を理解したところで、実際にAIに触れてみることが次のステップです。
幸いなことに、現在では無料で利用できる高機能なAIツールがたくさんあります。
ここでは代表的なツールを紹介するとともに、AIを学び続けるための心構えをお伝えします。

(復習)無料で使える主要AIツール紹介

様々なAIがツールありそれぞれ異なった特徴を持つことは「生成AI基礎講座」で学習しました。
どんなツールがあったか復習しましょう。
カテゴリ
ツール名
主な特徴
テキスト生成AI
ChatGPT (無料版)
OpenAI社が開発。自然な文章生成、アイデア出し、翻訳、要約など、汎用性が高い。本講座でも中心的に扱います。
テキスト生成AI
Gemini (旧Bard)
Google社が開発。Google検索との連携が強く、最新情報に基づいた回答や、より創造的な文章生成が期待できる。
テキスト生成AI
Microsoft Copilot (旧Bing AI)
Microsoft社が提供。Edgeブラウザ等で利用可能。検索エンジンBingと連携し、情報収集や文章生成をサポート。一部画像生成も可能。
画像生成AI
Canva AI (無料枠あり)
デザインツールCanva内で利用可能。「Text to Image」機能でテキストから画像を生成。無料枠でも試せる。 (AI×デザイン教材で詳しく学習)
画像生成AI
Adobe Firefly
Adobe社が提供。テキストから画像を生成したり、既存の画像を編集したりできるAI。商用利用可能で、Adobe製品との連携もスムーズ。
まずは触ってみよう!
  • これらのツールは、多くがWebブラウザから簡単にアクセスでき、アカウント登録だけで無料版を試すことができます。
  • この教材では、これらのツールの詳細な操作方法は解説しません。まずは「こんなツールがあるんだな」と知っていただき、興味を持ったものがあれば、ぜひ公式サイトを訪れて実際に触れてみてください。
  • 具体的なSNS運用特化のAIツール活用法は、教材-1以降でステップバイステップで学んでいきますのでご安心ください。

AIを学び続けるための心構え

AI技術は日進月歩で進化しており、新しいツールや活用法が次々と登場します。
この変化の速い時代に対応し、AIを効果的に活用し続けるためには、以下の心構えが大切です。
  • 完璧を目指さない、まずは試してみる:最初から完璧なプロンプトを書こうとしたり、すべての機能を使いこなそうとしたりする必要はありません。まずは「とりあえず使ってみる」「小さなことから試してみる」という姿勢が重要です。失敗やうまくいかないことも学びの一部と捉え、試行錯誤を繰り返しましょう。
  • 常に最新情報をキャッチアップする意識を持つ:AIの世界は変化が非常に速いため、新しい情報やトレンドにアンテナを張っておくことが大切です。信頼できるニュースサイト、専門家のSNSアカウント、業界のコミュニティなどを活用して、継続的に情報をアップデートしていく意識を持ちましょう。
  • 楽しむこと!:AIは、私たちの仕事や創造性を拡張してくれる可能性に満ちた、エキサイティングな技術です。新しいツールに触れること、新しいことができるようになることを、ぜひ楽しんでください。好奇心を持ってAIと向き合うことが、継続的な学習の最大のモチベーションになります。
AIを学ぶことは、決して難しいことばかりではありません。

むしろ、これからの時代を生き抜くための強力な武器を手に入れる、ワクワクする冒険のようなものです。ぜひ、前向きな気持ちで取り組んでいきましょう。

【3-3】3章 -章末課題- [リスク管理シミュレーション]

問題

あなたはAIを使って、新商品のキャンペーン投稿を作成しました。
AIが生成した以下の文章には、どのようなリスクが潜んでいる可能性があるか指摘し、あなたがSNS担当者として公開前に行うべきチェック項目を2つ挙げてください。
「奇跡のダイエットティー新発売!
あの有名女優Aさんも愛用していると噂のこのお茶で、あなたもたった1週間で-5kgの減量を体験しませんか?
医学的にも効果が証明済みです!今なら限定価格!」
AIが生成した文章

解答

潜んでいるリスク:
  1. 景品表示法違反のリスク(優良誤認・有利誤認表示):
    • 「たった1週間で-5kgの減量を体験しませんか?」という表現は、効果を保証するかのような誤解を与える可能性があります。合理的な根拠がない場合、優良誤認表示にあたる恐れがあります。
    • 「医学的にも効果が証明済みです!」という表現も、具体的な科学的根拠(論文や臨床試験データなど)がなければ、同様に優良誤認表示となる可能性があります。
    • 「限定価格」という表現も、いつまでの限定なのか、通常価格との比較など、有利な取引条件について誤解を与える表示であれば有利誤認表示にあたる可能性があります。
  2. 薬機法(旧薬事法)違反のリスク:
    • 「ダイエットティー」という商品で、「減量」という身体の組織機能の一般的変化を標ぼうすることは、医薬品的な効果効能の暗示とみなされ、未承認医薬品の広告として薬機法に抵触する可能性があります。
  3. 権利侵害のリスク(パブリシティ権・名誉毀損など):
    • 「有名女優Aさんも愛用していると噂」という表現は、事実でなければ虚偽表示であり、女優Aさんの社会的評価を低下させる場合は名誉毀損にあたる可能性があります。
    • たとえ事実であっても、女優Aさんの許可なく氏名や肖像(写真などがあれば)を使用すれば、顧客誘引力に着目したパブリシティ権の侵害にあたる可能性があります。
行うべきチェック項目:
  1. ファクトチェックと根拠確認:
    • 「1週間で-5kg」という効果の根拠となる客観的なデータ(自社での臨床試験結果など、合理的な範囲でのデータ)が存在するかを確認します。
    • 「医学的に証明済み」という部分について、その根拠となる具体的な論文、研究機関、専門家の見解などを確認し、その情報を正確に引用できるか、または表現を修正する必要があるかを検討します。
    • 女優Aさんが実際に商品を愛用しているという事実確認、および氏名や情報の使用について事務所等から正式な許諾を得ているかを確認します。
  2. 法令・ガイドライン遵守チェック:
    • 景品表示法:
      • 「No.1表示」「最大級表現」「効果効能の保証表現」など、消費者に誤解を与えないか、誇大広告になっていないかを確認します。
      • 有利な取引条件の表示が適切かも確認します。
    • 薬機法:
      • 化粧品や健康食品の場合、医薬品と誤認されるような効果効能(「治る」「痩せる」など身体の変化を保証する表現)を標ぼうしていないかを確認します。
      • 業界団体の広告自主基準なども参照します。
    • 著作権・肖像権(パブリシティ権):
      • 使用している画像、文章、タレント情報などが、他者の権利を侵害していないかを確認します。
これで「AIを賢く、安全に使うために -メリットと注意点-」の解説を終わります。
次の章に進みましょう。
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