教材1 AI×Web制作 基礎概論
2章 実装を爆速化!AI活用術マップ
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2章 実装を爆速化!AI活用術マップ

この章の目安学習時間:70分

この章で到達できるゴール:

  • Web制作の各工程で、具体的にどのAIツールが使えるのかを理解できる。
  • 各AIツールがどのような役割を果たし、どのように制作を効率化するのかを説明できる。

【2-1】あなたの仕事はこう変わる!AI活用術

目安の学習時間:60分

Web制作の全フローをAIで効率化する

1章では、AIの登場によってWeb制作者の役割が変化し、新しいスキルセットが求められることを学びました。
この章では、より具体的に、Web制作のどの工程で、どのAIツールを、どのように活用できるのか、その全体像(マップ)を明らかにしていきます。
Web制作は、一般的に以下の5つの標準フローで進められます。
  1. 要件分析・技術設計
  2. コンテンツ準備
  3. コーディング実装
  4. テスト・最適化
  5. 公開・運用
これから、この5つのフローに沿って、AIがどのように私たちの仕事を「爆速化」してくれるのかを見ていきましょう。
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①【要件分析・設計】面倒な設計はAIに任せよう

プロジェクトの成功を左右する最も重要な工程が、この「要件分析・設計」です。ここでAIは、優秀な相談相手や壁打ちパートナーになってくれます。
ChatGPTのような対話型AIに、クライアントからヒアリングした内容をインプットし、以下のような相談が可能です。
  • サイトに必要な機能の洗い出し
    「カフェの公式サイトを作りたいんだけど、どんなページや機能が必要かな?」と尋ねることで、自分では思いつかなかった要素をリストアップしてくれます。
  • 技術選定の相談
    「お問い合わせフォームと簡単なブログ機能を入れたい。WordPressを使うべき?それとも他の方法がある?」といった技術的な相談にも乗ってくれます。
  • サイトマップのたたき台作成
    必要なページをリストアップさせた後、「これらのページでサイトマップの構成案を作って」と指示すれば、構造化された骨格を提示してくれます。
これまで経験豊富なディレクターが時間をかけて行っていた作業の一部を、AIが高速でアシストしてくれるのです。

②【コンテンツ準備】文章と画像もAIで自動生成

サイトの骨格が決まったら、次は中身となるコンテンツ(文章や画像)の準備です。この工程もAIの得意分野です。
  • 文章生成ChatGPTにキーワードやコンセプトを伝えるだけで、キャッチコピー、サービス説明文、ブログ記事の骨子などを瞬時に生成できます。
    「『こだわりの自家焙煎コーヒーと、読書が楽しめる静かな空間』がコンセプトのカフェ。この魅力を伝えるキャッチコピーを5つ提案して」のように依頼します。
  • 画像生成MidjourneyImageFXといった画像生成AIを使えば、サイトの世界観を表現するコンセプト画像や、具体的なイメージ画像を生成できます。
    「A cozy cafe with many books, warm lighting, watercolor style (本がたくさんある居心地の良いカフェ、温かい照明、水彩画風)」のようなプロンプトで、オリジナルの画像を数分で作成可能です。
これにより、デザイナーやコピーライターに依頼する前の、方向性を固めるためのたたき台を素早く準備できるようになります。

③【コーディング実装】単純作業よサラバ!

いよいよ、サイトを形にするコーディングの工程です。ここでは、AIコーディングアシスタントが絶大な威力を発揮します。
代表的なツールがGitHub Copilotです。これは、VS Codeなどのコードエディタに組み込んで使うことができ、次のような支援をしてくれます。
  • コードの自動補完・生成HTMLの定型文や、CSSのスタイルを書き始めると、続きを予測して提案してくれます。
  • コメントからのコード生成// ヘッダーナビゲーションを作成 のように、やりたいことをコメントで書くだけで、対応するHTMLCSSのコードを丸ごと生成してくれます。
  • 複雑な処理の実装JavaScriptで「フォームが送信されたら、完了メッセージを表示する」といった処理も、コメントで指示すれば基本的なコードを生成してくれます。
これにより、タイピング量が劇的に減り、単純作業から解放されることで、より創造的な部分や全体の構造設計に集中できます。

④【テスト・最適化】バグ発見と改善もAIアシスト

コーディングが終わったら、サイトが正しく動作するかを確認するテスト工程に入ります。
ここでもAIは頼りになる相棒です。
  • エラー発見とデバッグ支援: ブラウザのデベロッパーツールに表示されたJavaScriptのエラーメッセージ。意味が分からなくても、そのエラー文をそのまま ChatGPTに貼り付けて「このエラーの原因と解決策を教えて」と尋ねれば、高い確率で原因を特定し、修正コードの案を提示してくれます。
  • 表示速度の改善提案: GoogleのPageSpeed Insightsなどでサイトの表示速度を計測し、その結果(特に改善点の項目)を ChatGPTに伝え、「これらの改善策を、具体的な手順で教えて」と依頼すれば、画像圧縮の方法やCSSの読み込み順の最適化など、具体的なアクションプランを考えてくれます。

⑤【公開・運用】公開後の運用もAIでラクにする

サイトを公開して終わりではありません。
納品後のメンテナンスやクライアントへの報告も重要な仕事です。
  • メンテナンス内容のリストアップChatGPTに「WordPressサイトの納品後の月次メンテナンス作業には、どのような項目がありますか?」と尋ねれば、プラグインのアップデートやバックアップの取得など、網羅的なチェックリストを作成してくれます。
  • クライアントへの報告書作成支援: 「今月の対応として、プラグインの更新とブログ記事の投稿代行を行いました。これをクライアント向けの丁寧な言葉で報告書にまとめてください」と依頼すれば、報告書のたたき台をすぐに作成できます。
このように、制作の川上から川下まで、あらゆる工程でAIは私たちの仕事をサポートしてくれるのです。

【2-2】2章 -章末課題- [AI活用フルコースを計画せよ!]

目安の学習時間:10分

問題

あなたが「カフェの公式サイト」の制作を一人で担当することになりました。
本章で学んだことを参考に、「①要件分析」から「⑤公開・運用」までの各フローで、具体的にどのAIツールを、どのように活用して効率化するか、あなたの「AI活用計画」を立ててください。

解答

以下に解答例を示します。
このように、各フローで具体的なアクションを計画する癖をつけることが、効率的なAI活用の第一歩です。
  1. 要件分析・設計:
    • ツール: ChatGPT
    • 活用方法: 「地域密着のカフェに必要なページと機能は?」と壁打ち相談を行い、サイトマップの骨格を作成する。さらに「予約機能を入れたいけど、WordPressプラグインでおすすめはある?」など技術選定の相談にも活用する。
  2. コンテンツ準備:
    • ツール: ChatGPT, Midjourney, ImgeFX
    • 活用方法: ChatGPTに「お店のこだわり」などの情報を渡し、コンセプト文やメニュー説明文の草案を作成させる。Midjourneyを使い、「温かみのある北欧風の店内」の雰囲気に合ったメインビジュアルのコンセプト画像を生成する。
  3. コーディング実装:
    • ツール: GitHub Copilot
    • 活用方法: VS CodeでCopilotを有効にし、「ナビゲーションメニュー」や「フッター」などの共通パーツをコメントから一括で生成させ、コーディング時間を大幅に短縮する。
  4. テスト・最適化:
    • ツール: ChatGPT
    • 活用方法: 実装したサイトで表示崩れがないか確認する。もしJavaScriptでエラーが出たら、そのコードとエラーメッセージをChatGPTに貼り付けて原因を特定し、修正案を提示してもらう。
  5. 公開・運用:
    • ツール: ChatGPT
    • 活用方法: 納品後の保守内容として「WordPress本体とプラグインのアップデート」「定期的なバックアップ」などをChatGPTにリストアップさせ、それらを元にクライアントへの保守プラン説明資料を作成する。

この章のまとめ

これで「2章:実装を爆速化!AI活用術マップ」の解説を終わります。

Web制作の全フローにおいて、AIが強力なアシスタントになり得ることをご理解いただけたと思います。
次の章では、これらの便利なツールを安全に使うために、絶対に知っておくべき「罠」について学びます。
便利さの裏側にあるリスクを理解し、真のプロフェッショナルを目指しましょう!
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