教材6 案件獲得とサイト運用戦略
4章 納品して終わりじゃない!サイト運用入門
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4章 納品して終わりじゃない!サイト運用入門

この章の目安学習時間:40分

この章で到達できるゴール:

  • Webサイトの保守・運用の重要性を理解し、クライアントに説明できる。
  • 保守・運用をサービスとして提案し、継続的な収益に繋げる方法を学べる。

【4-1】継続案件に繋げる保守・運用の知識

目安の学習時間:20分

なぜサイトの保守・運用が必要なのか?

多くのクライアントは、Webサイトを「一度作れば、あとは何もしなくて良いもの」と考えがちです。
しかし、それは大きな間違いです。
家が定期的な掃除やメンテナンスを必要とするのと同じで、Webサイトも公開してからが本当のスタートであり、適切な保守・運用をしなければ、様々な問題が発生します。
  • セキュリティリスク
    Webサイトを動かすソフトウェア(特にWordPressなど)には、日々新しい脆弱性(セキュリティ上の弱点)が発見されます。アップデートを怠ると、そこを狙ったサイバー攻撃を受け、サイトが改ざんされたり、顧客情報が盗まれたりする危険性があります。
  • ソフトウェアの陳腐化
    ブラウザやサーバーの仕様は常に進化しています。メンテナンスをしないと、ある日突然サイトが表示されなくなったり、機能が動かなくなったりすることがあります。
  • 機会損失
    サイトの内容が古いままでは、ユーザーからの信頼を失い、ビジネスチャンスを逃すことになります。
これらのリスクをクライアントに分かりやすく説明し、「サイトを安全で健康な状態に保つこと」の重要性を理解してもらうことが、プロの制作者の務めです。

これだけは!最低限の基本保守タスク

保守・運用の内容は多岐にわたりますが、多くのWebサイト(特にWordPressサイト)で共通して必要となる、最低限の基本タスクは以下の通りです。
これらをサービスとして提供することを考えましょう。
基本保守タスク(月次)
  • ① 定期的なバックアップ
    サイトの全データ(ファイル、データベース)のバックアップを取り、万が一の際に復元できるように備える。
  • ② ソフトウェアのアップデート
    WordPress本体、使用しているテーマやプラグインを、常に最新の安全なバージョンに更新する。
  • ③ 簡易的な動作確認
    アップデート後に、サイトが正しく表示されているか、フォームは正常に動作するかなどを一通り確認する。

【4-2】保守・運用サービスの提案

目安の学習時間:20分

保守契約の提案と料金設定の考え方

これらの保守タスクを、単発の案件とは別に「月額制の保守・運用サービス」としてパッケージ化し、クライアントに提案することで、継続的で安定した収益源を確保することができます。

料金プランは、クライアントが選びやすいように、複数の選択肢を用意するのが一般的です。
プラン名
月額料金(例)
サービス内容(例)
ライトプラン
5,000円 月1回の基本保守タスク(バックアップ、アップデート)
スタンダードプラン
15,000円 基本保守タスク + 簡単なテキスト・画像修正(月2回まで) + 技術相談
プレミアムプラン
30,000円〜 スタンダードプランの内容 + コンテンツ更新(ブログ投稿代行など) + 月次レポート
価格設定に決まりはありませんが、まずは自分が提供できるサービス内容と、それにかかる時間を考慮し、納得感のある価格を設定することから始めましょう。

考えてみよう!

あなたがクライアントなら、月額5,000円の保守プランにどのようなサービス内容が含まれていれば「お得だ」「契約したい」と感じますか?
クライアント目線で、魅力的なプランを考えてみましょう。
解答例
  • 基本サービス:月1回のWordPress本体・プラグインのアップデート、月1回のサイト全体のバックアップ。
  • 付加価値サービス
    • 簡単なテキスト修正なら月3回まで無料で対応。
    • サイトの表示や動作に問題が発生した際の、緊急メール相談(月1回まで)。
    • (もし可能なら)月間のアクセス状況の簡易レポート。
解説
ただメンテナンスをするだけでなく、「簡単な修正ならすぐ対応してくれる」「困った時に相談できる」といった安心感や、サイトの状況が分かる透明性を提供することで、クライアントは単なる費用以上の価値を感じ、喜んで契約してくれる可能性が高まります。

【4-3】4章 -章末課題- [保守・運用プランの提案]

目安の学習時間:10分

問題

あなたはクライアントにWebサイトを無事納品しました。
サイトの納品報告と共に、保守契約を提案するためのメール文を作成してください。
なぜ定期的なバックアップやアップデートが必要なのか、その重要性を専門用語を避けつつ、クライアントのビジネスを守るという視点で説明しましょう。

解答

件名:【株式会社〇〇様】Webサイトの納品と、今後の運用についてのご提案

〇〇様

いつもお世話になっております。
Web制作者の〇〇です。

この度は、Webサイト制作をご依頼いただき、誠にありがとうございました。
ご依頼のサイトが完成いたしましたので、ご確認の上、公開の手続きを進めさせていただけますと幸いです。
[サイトの確認用URL]

さて、Webサイトは公開してからが本当のスタートとなります。
車に定期的な点検が必要なように、Webサイトも常に安全で快適な状態を保つためには、
公開後のメンテナンスが欠かせません。

例えば、サイトを動かすためのソフトウェアは、セキュリティ強化のために日々更新されています。
この更新作業を怠ってしまうと、悪意のある第三者から攻撃を受け、サイトが見られなくなったり、
情報を盗まれたりする危険性が高まります。

また、万が一のトラブルに備え、定期的にサイトのデータを丸ごと保存(バックアップ)しておくことで、
何か問題が起きてもすぐに元の状態に戻すことができ、ビジネスへの影響を最小限に食い止められます。

つきましては、〇〇様のWebサイトという大切な資産をお守りするための「保守・運用プラン」をご用意いたしました。
詳しい内容は添付の資料にまとめておりますので、ぜひ一度ご覧いただけますと幸いです。

ご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。
今後とも、貴社のビジネスの成功をサポートできますことを楽しみにしております。
解答例

この章のまとめ

これで「4章:納品して終わりじゃない!サイト運用入門」の解説を終わります。

制作スキルだけでなく、サイトを守り育てる運用スキルと、それを提案するビジネススキルが身につきました。
これにより、単発の仕事だけでなく、クライアントと長期的な関係を築き、安定した収益基盤を作ることが可能になります。

いよいよ次が、このロードマップの本当の最終章です。
これまでの学びを胸に、プロフェッショナルへの扉を開きましょう。
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