マーケティング視点のUI設計——ペルソナと行動モデルをデザインに落とす
Course B — Chapter 3 Webデザイナー向け / Lesson 2
マーケティング視点のUI設計
——ペルソナと行動モデルをデザインに落とす
📐 手順書型 ⏱ 45分 🎯 Course B Ch3-L2
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このレッスンのゴール:ペルソナの「課題→解決」の流れをLP構成に変換し、コンテンツ優先順位とA/Bテスト設計ができるようになること。前レッスンで学んだCROの概念を、実際のFigmaワイヤーフレーム制作に落とし込む手順を学びます。
ペルソナを「LP構成の言語」に変換する

デザインを始める前に、ペルソナの心理状態をLP構成に「翻訳」する作業が必要です。ペルソナが「何に困っていて → 何を求めていて → 何で不安になって → 何で決断するか」という流れを、LP各セクションに対応させます。

今回使用するペルソナ例:田中さん(34歳・フリーランスWebデザイナー志望)
課題:副業の実績をどう伝えるかわからない 欲求:安定した案件を受けたい 不安:他のデザイナーと差別化できるか 決断トリガー:具体的な成果事例

このペルソナをLP各セクションに変換すると、次のようになります:

ペルソナの状態
「副業の実績をどう伝えるか悩んでいる」(課題・悩み)
LP セクション
ファーストビュー:「その悩み、わかります」という共感ヘッドライン+具体的な課題提示
ペルソナの状態
「こういうサービスがあるのか」(情報探索・検討)
LP セクション
ベネフィット:「具体的に何が手に入るか」を機能価値ではなくFABで提示
ペルソナの状態
「本当に効果あるの?」(信頼確認・不安解消)
LP セクション
実績・証拠:数値成果・受講生の声・メディア掲載などで信頼構築
ペルソナの状態
「自分に合うか?費用は?」(条件確認)
LP セクション
詳細情報:料金・プラン・よくある質問でハードルを先回りして解消
ペルソナの状態
「申し込もう」(行動決定)
LP セクション
CTA:摩擦ゼロの行動設計。ボタンテキストはベネフィットを含む(「無料で試す」より「7日間無料で始める」)
設計の鉄則:ペルソナが「なぜここで迷うか」を考え、その答えをLP上の対応セクションで先回りして解消する。デザインの前にこの「心理マップ」を作るかどうかで、LPの設計精度が大きく変わります。
コンテンツ優先順位の設計——「全部入れない」判断力

クライアントは「全部見てほしい」と言いがちです。でも人間の認知リソースは限られています。コンバージョンに影響する情報を上位に、補足情報を下位に配置することで、ユーザーの注意を正しく誘導できます。

ITプロジェクト管理の「MoSCoW法」をLP設計に応用すると、コンテンツの取捨選択が明確になります:

MUST(必須)
CVに直結する情報
課題の共感・ベネフィット・CTA。これがなければLPとして機能しない
SHOULD(あるべき)
信頼構築に必要な情報
実績数値・受講生の声・料金体系。不安解消に必要なため基本的に入れる
COULD(あれば良い)
補足的な情報
会社概要・詳細なカリキュラム・ブログリンク。スクロール下部に配置
WON'T(今回は不要)
CVを妨げる情報
外部リンク過多・関係ない情報・競合言及など。このLPには含めない

この優先度マトリクスを使えば、クライアントから「SNSのフォロワー数も入れて」「受賞歴も載せたい」と言われたときに、「これはCould(補足)なので、まずMust(必須要素)を最適化してから追加を検討しましょう」と根拠を持って提案できます。

優先度を可視化するピラミッドでイメージすると次のようになります:

ファーストビュー + CTA
最重要。全ユーザーが見る唯一のゾーン
ベネフィット + 信頼情報
検討層が必ず確認する。離脱率が高い区間
詳細情報 + FAQ
購入意欲がある層だけ読む。不安解消用
補足 / 関連情報
念のため用。CVに影響しにくい
A/Bテストで検証すべき要素の優先度

「デザインの判断が正しいかどうか」はテストするまでわかりません。ただし、A/Bテストには時間とトラフィックが必要なため、インパクトが大きい要素から検証するのが鉄則です。

Webデザイナーが提案すべきA/Bテスト優先順位:

優先度 テスト要素 インパクト 理由
1 ヘッドライン(FV) 全ユーザーが見る。CVRに最も直結する
1 CTAボタン(テキスト・色・位置) 行動直前の最終関門。小さな変更が大きく効く
2 FVのビジュアル(写真 vs イラスト等) 第一印象を決定する。ブランド認知とCV両方に影響
2 実績の見せ方(数値の強調方法) 信頼構築の核心。「97%が満足」vs「3人に1人が昇給」など
3 フォームの項目数 摩擦を減らせる。1項目減でCV率が上がることも
3 FAQ の有無・順番 低〜中 購入意欲が高い層の不安解消。中段以降のCVRに影響
4 フォントサイズ・余白・配色 読みやすさは大事だが、単体のCVR影響は小さいことが多い
デザイナーがよくやるミス:「配色を変えたらCVRが改善されるはず」と思って細かいUI改善から始める。実際にはヘッドラインとCTAが最もCVRに影響するため、まずそこから検証する。
Figmaワイヤーフレーム作成の手順——ペルソナ視点で組み立てる

ここまでの「ペルソナ→LP変換マップ」と「コンテンツ優先順位」を踏まえて、実際にFigmaでワイヤーフレームを組み立てる手順を解説します。

1
ペルソナシートを横に置いてFigmaを開く
Course Aで作成したペルソナシートをFigma画面の横に置きます(別ウィンドウ or 印刷)。デザイン判断のたびに「このペルソナはこの情報を見たとき何を感じるか?」を確認しながら進めます。
ペルソナなしで作り始めると、無意識に「自分が好きなデザイン」になる。ペルソナが基準点になることで客観的な判断ができます。
2
グレーボックスでコンテンツブロックを配置する
色や文字を入れる前に、四角形ブロックだけでLP構成を作ります。各ブロックに「FV(共感ヘッド)」「ベネフィット3点」「実績数値」など、役割をテキストラベルで記載します。この段階でクライアントに「構成の確認」をすると手戻りを防げます。
3
各ブロックに「ペルソナの心理状態」をコメントで記載
Figmaのコメント機能を使って、各セクションに「ペルソナはここで○○を感じているため、このセクションで○○を解消する」という設計意図を書き込みます。後で提案資料にそのまま使えます。
4
CTAを先に決める
ファーストビューと最終セクション(フォーム直前)のCTAを先に確定します。CTAが決まると「そのボタンを押してもらうために、その直前で何を見せるべきか」が明確になり、セクションの役割が自然と決まります。
5
A/Bテスト候補をFigma上で複数案として作成
ヘッドラインとCTAは最低2パターン用意します。Figmaの「コンポーネント」機能を使って差し替えやすい状態で管理します。「A案:共感型ヘッド」「B案:数値訴求ヘッド」のように命名しておくと、クライアントへの説明がスムーズです。

ここまでの手順を踏んで作ったワイヤーフレームのイメージ:

✎ ペルソナの「悩み」に共感するヘッドライン。A/Bテスト対象 ①
課題共感
✎ FAB(機能→メリット→ベネフィット)の3点。情緒価値を前面に
欲求充足
✎ 具体的な数値。「○○%改善」「○○人が受講」など
不安解消
✎ 価格・よくある質問。「高い」「難しそう」の先回り解消
条件確認
✎ ベネフィットを含むボタンテキスト。A/Bテスト対象 ②
行動決定
マーケティング根拠付きワイヤーフレームが生む差別化

「なぜこの構成にしたのか」を説明できるデザイナーは、まだ少数派です。ペルソナの心理状態・MoSCoW優先度・A/Bテスト設計をセットで提示できると、クライアントからの評価が大きく変わります。

  • ワイヤーフレームだけでなく「設計の根拠スライド」を1枚追加することで、単価交渉の根拠になる
  • 「この配置はペルソナが○○に不安を感じるためです」と言えると、クライアントからの修正要求が減る
  • A/Bテスト候補を提示することで「まず作って確認しましょう」という継続関係を作れる
  • コンテンツ優先度の根拠があれば、クライアントの「全部入れて」要求に対して根拠ある代替案を出せる
  • ペルソナ視点のワイヤーフレームはポートフォリオに「思考プロセス」として掲載できる(次章で詳述)
フリーランスとして差別化するなら:ポートフォリオに「完成物のデザインキャプチャ」だけでなく「ペルソナ→構成設計→ワイヤーフレーム→A/B案→成果数値」の一連のプロセスを記録しておくことが、単価3〜5倍のクリエイターとそうでない人の大きな分岐点になります。
実践演習:ペルソナからワイヤーフレームを設計する
Course A Chapter 2で作成したペルソナシートを使って、架空または実在するクライアントのLPワイヤーフレームをFigmaで制作してみましょう。
1
ペルソナシートを用意する(なければ「30代女性・副業デザイナー希望・実績に自信なし」を仮定)
2
ペルソナ→LP変換マップを作る(課題/欲求/不安/決断トリガーの4項目を書き出す)
3
MoSCoW法でコンテンツの優先度を分類し、セクション構成を決定する
4
Figmaでグレーボックスワイヤーフレームを作成し、各ブロックにペルソナの心理状態コメントを追加
5
ヘッドライン・CTAのA/B案を2パターン作成し、「A案の仮説」「B案の仮説」を文字で記載
このレッスンのまとめ
  • ペルソナの「課題→欲求→不安→決断トリガー」をLP各セクションに対応させることで、マーケティング根拠のある構成が作れる
  • MoSCoW法(Must/Should/Could/Won't)でコンテンツを優先度分類し、取捨選択の根拠を持つ
  • A/BテストはヘッドラインとCTAから始める。細かいデザイン調整は最後
  • Figmaワイヤーフレームにペルソナコメントと設計意図を書き込むことで、提案力と継続受注率が上がる
次のレッスン(L3)では、このワイヤーフレームをベースにクライアントへ「デザインの根拠を説明する技術」を学びます。提案資料の構成から、NG提案・OK提案の比較まで、実際のプレゼン場面を想定した練習をします。
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