AIってそういうこと?AIキホンと未来
3章 生成AIで何ができる?できない?
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3章 生成AIで何ができる?できない?

この章の目安学習時間:20分

この章で到達できるゴール

  • 生成AIの具体的な活用シーン(できること)を複数挙げられるようになる
  • 生成AIを利用する上での注意点(できないこと・苦手なこと)を理解し、無条件に信じるリスクを認識できる

【3-1】生成AIの得意なこと(活用シーン具体例)

目安の学習時間:10分

生成AIは、私たちの仕事や創造活動、情報収集のあり方を大きく変える可能性を秘めています。
ここでは、特にテキスト生成AIや画像生成AIを中心に、どのようなことが得意で、どんな場面で役立つのか、具体的な活用シーンを見ていきましょう。

アイデアの壁打ち相手

何か新しいことを始めようとするとき、アイデアがなかなか浮かばなかったり、考えがまとまらなかったりすることがあります。
そんな時、生成AIは優秀な「アイデアの壁打ち相手」になってくれます。
  • ブレインストーミング:新しい商品のキャッチコピー、イベントの企画、ブログ記事のテーマ、新規事業のコンセプトなど、様々なアイデアを大量に出してくれます。「〇〇についてのアイデアを10個出して」と頼むだけで、自分では思いつかなかったような斬新な切り口や、多様な視点からの提案を得られることがあります。
  • 思考の整理・深掘り:漠然としたアイデアをAIに伝え、それに対する質問を投げかけてもらうことで、自分の考えを整理したり、より深く掘り下げたりする手助けになります。「このアイデアのメリット・デメリットは?」「ターゲット顧客は誰にすべき?」といった問いかけを通じて、思考を具体化できます。
  • 多角的な視点の獲得:あるテーマについて、賛成意見、反対意見、中立的な意見など、異なる立場からの意見を生成させることで、物事を多角的に捉えるきっかけになります。
活用例:「夏の新メニューのアイデアをカフェ向けに20個提案して」
1. トロピカル・マンゴーラッシー(ヨーグルト×マンゴー×ライム)
2. 自家製ジンジャーエール(生姜・レモングラス・ソーダ)
3. 冷やし抹茶アフォガート(抹茶+バニラアイス)
4. スイカとミントのスムージー
5. パッションフルーツのアイスハーブティー(ハイビスカスベース)
6. レモンクリームソーダ(バニラアイス+レモンピール)
7. 塩キャラメル・アイスカフェラテ(冷たい塩気×甘さ)
8. 桃とローズマリーのアイスティー
9. 抹茶モヒート風ノンアルドリンク
10. 甘夏とバジルのソーダ(透明感×爽快感)

11. フローズンヨーグルトパフェ(季節のフルーツたっぷり)
12. 冷やし白玉ぜんざい(黒蜜・きなこトッピング)
13. トロピカルココナッツプリン(マンゴーソースがけ)
14. レモンタルト・サンデー(タルト+ソフトクリーム)
15. フルーツかき氷(グァバ・キウイ・ライチなどの南国フルーツ使用)
16. 冷製ラタトゥイユのクロワッサンサンド
17. サーモンとアボカドの冷やしライスボウル
18. 夏野菜とチーズの冷製キッシュ
19. チリライムチキンサンド(ピリ辛×さっぱり)
20. ハーブ香る冷製パスタ(バジル・ミント・フェンネル)
出力例
活用例:「小学生向けの環境問題に関するイベント企画案を考えて」
イベント名:エコキッズフェス 〜たのしく学ぼう!地球の未来〜

開催対象:小学1年生〜6年生  
所要時間:半日(3〜4時間想定)  
場所:地域の公民館・学校体育館・科学館など  

【企画内容】

1. エコクイズラリー
   - 環境問題に関するスタンプラリー式のクイズ
   - テーマ:ゴミ分別・リサイクル・地球温暖化など
   - 全問正解で「エコ探検隊認定証」をプレゼント!

2. リサイクルクラフト体験
   - 廃材や空き容器を使って工作(例:ペットボトルで風車づくり)
   - 「ものを大切にする」気持ちを育てる

3. 体験!エコエネルギー
   - ソーラーカーや手回し発電ライトの体験
   - 再生可能エネルギーの仕組みを楽しく理解

4. 「ミニごみ分別王選手権」
   - 模擬ごみを使って分別スピードと正確さを競うゲーム
   - 優勝者には「ごみ分別王メダル」を授与

5. 環境紙芝居&読み聞かせコーナー
   - 環境絵本の読み聞かせやオリジナル紙芝居
   - 例:『もったいないばあさん』『地球が泣いている』

6. 自然観察ウォークラリー(屋外オプション)
   - 近くの公園や森で植物・昆虫・鳥の観察
   - 「地球の仲間たちを知ろう」カード配布

7. エコ弁当コンテスト(希望制)
   - 包装ごみの少ない・地元食材を使ったお弁当を持参
   - 優秀作品は掲示・表彰!

8. 環境宣言の木(展示コーナー)
   - 子どもたちに「わたしができること」を葉っぱ型の紙に書いてもらい、壁に木の形で貼る

【持ち物】
- 筆記用具
- マイバッグ
- 飲み物(水筒)
- 工作に使いたい廃材(家庭からの持ち込み歓迎)

【ねらい】
- 自分ごととして環境問題を考えるきっかけをつくる
- 「楽しい」×「発見」=行動につながる体験を提供する
出力例
活用例:「AIを活用した新しい教育サービスのアイデアについて、深掘りするための質問を5つしてください」
1. 「このAI教育サービスは、どのような学習課題やニーズを解決することを目的としていますか?」
   - 学力格差の是正、個別最適化、モチベーション向上など、目的の明確化。

2. 「想定するユーザー(学習者)の年齢層・学習スタイル・ITリテラシーはどのようなものですか?」
   - 小学生、高校生、社会人、リカレント教育など、ターゲットの具体化。

3. 「AIが果たす役割は何ですか?(例:講師代替、学習進捗管理、対話型フィードバック、教材生成など)」
   - 技術の使いどころと、AIである必要性の明確化。

4. 「このサービスは、既存の教育サービスやAIツールとどう差別化されますか?」
   - 独自性、革新性、UX(ユーザー体験)の観点から検討。

5. 「AIの活用によって生じうる倫理的・社会的なリスクにはどう対応しますか?」
   - データのプライバシー、バイアス、学習への過度な依存などを考慮。
出力例

面倒な作業の自動化・効率化

日々の業務や学習の中には、時間がかかる割に創造性をあまり必要としない定型的な作業も存在します。
生成AIは、こうした作業を自動化・効率化し、私たちがより本質的な業務に集中する時間を生み出してくれます。
  • 文章の要約:長い報告書やニュース記事、論文などの内容を、短時間で簡潔にまとめてくれます。「この記事を300字で要約して」と指示するだけで、重要なポイントを把握できます。
  • 議事録の作成サポート:会議の音声データ(別途文字起こしが必要な場合あり)やメモを元に、議事録の骨子や清書案を作成してくれます。決定事項やToDoリストの整理も依頼できます。
  • メールの作成・返信案:ビジネスメールの件名や本文のドラフト作成、丁寧な言葉遣いへの修正、外国語への翻訳などをサポートします。「〇〇社への見積もり送付メールを作成して」といった具体的な指示が可能です。
  • 文章の校正・リライト:誤字脱字のチェックはもちろん、より分かりやすい表現への修正、文章のトーン調整(例:フォーマルに、フレンドリーに)などを依頼できます。
  • プログラミングの補助:簡単なコードの生成、既存コードのバグチェック、コードの解説などを依頼できます。
活用例:「添付の会議メモから議事録を作成し、決定事項を箇条書きでまとめてください」
【議事録】AI教育サービス企画会議  
日付:2025年6月5日(木)  
場所:第2会議室(ハイブリッド開催)  
出席者:佐藤(企画)、中村(PM)、田中(技術)、山口(マーケ)、遠藤(CS)

【議題1】AIを活用した新教育サービスの方向性
- 中村より「学習習慣を定着させるためのAIコーチ」案を提示  
- 毎日の学習記録・声かけ・応援メッセージ等をパーソナライズして届ける仕組みを提案
- 技術面ではGPT-4oを活用することで実現可能との意見(田中)
- 対象ユーザーは小中学生を想定。保護者との連携機能も検討範囲に含める

【議題2】既存市場の調査結果共有(山口)
- 競合サービス(SmartStudy, StudyWithMe AI, チューターGPTなど)の機能比較と価格帯を報告
- 「自律学習支援」+「感情ケア」を両立するサービスは現時点で少ないという見解
- ユーザーが“続けたくなる仕組み”の設計が成否の鍵と指摘

【議題3】今後の開発ステップ
- 佐藤よりPoC(概念実証)実施に向けたフローを提案:  
 ① 機能要件整理 → ② 簡易プロト開発 → ③ 少人数でテスト運用 → ④ 改善判断
- フィードバック取得については既存ユーザーグループへの依頼を計画(遠藤が担当)

【決定事項】
- 小中学生向け「AI学習コーチ」サービスを第一案として進行
- 要件定義を6月第3週までに確定する
- 技術構成はGPT-4oと自社CMSの組み合わせを採用
- 差別化ポイントとして「感情面のサポート」を明確に打ち出す
- モニター協力ユーザーの選定はCSチームが実施(リーダー:遠藤)

【次回会議予定】
- 日時:2025年6月17日(火)13:00〜
- 議題:要件定義のレビューとプロト設計案の確認
出力例
活用例:「この英文メールの返信案を、丁寧な日本語で作成してください」
Subject: Request for Meeting to Discuss Collaboration

Dear Mr. Nakamura,

I hope this message finds you well. I am writing to explore a potential collaboration between our two organizations.

We were impressed by your recent presentation on AI-based learning systems, and we believe there could be significant synergy in working together.

Would you be available for a virtual meeting next week to discuss this further? Please let us know your availability.

Looking forward to hearing from you.

Best regards,
Emily Carter
International Partnerships Manager
Edutech Global
架空の英文メール
件名:今後のご協業に関するご面談について

Edutech Global  
Emily Carter 様

平素より大変お世話になっております。  
〇〇株式会社の中村でございます。

このたびは、当社のAI学習システムにご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。  
また、ご丁寧なご連絡をいただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。

ぜひ、貴社との協業の可能性についてお話を伺えればと存じます。  
来週につきましては、[●月●日(●) 午前]、[●月●日(●) 午後] にお時間のご調整が可能でございますが、Emily様のご都合はいかがでしょうか。

ご都合のよろしい日時がございましたらお知らせいただけますと幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

――――――――――――――――  
中村 太郎  
〇〇株式会社  
事業開発部  
Email: nakamura@example.com  
Tel: 03-xxxx-xxxx  
――――――――――――――――
出力例
活用例:「以下の商品説明文を、もっと魅力的な表現に書き換えてください」
このトースターはパンを焼くだけでなく、温め直しや冷凍パンの解凍もできます。コンパクトなのでキッチンにも置きやすいです。
架空の商品説明
朝のひとときを、もっとおいしく。
このスマートトースターは、ただパンを焼くだけではありません。ふわっと香ばしく焼き上げるのはもちろん、冷凍パンもまるで焼きたてのように復元し、昨日のクロワッサンもサクサクに温め直せます。
どんなキッチンにもフィットするコンパクト設計で、忙しい毎日を“ちょっといい朝”に変えてくれる、頼れる相棒です。
出力例

多様な表現の生成・選択肢の拡大

一つのアイデアや情報でも、伝え方や表現方法は無限にあります。
生成AIは、多様なパターンの表現を瞬時に生成することで、私たちの選択肢を広げ、より効果的なコミュニケーションや創造活動を支援します。
  • キャッチコピーやタイトルの複数案作成:商品やサービス、記事などの魅力を伝えるキャッチコピーやタイトルを、様々な切り口で多数生成してくれます。その中から最適なものを選んだり、ヒントを得たりすることができます。
  • デザインのバリエーション出し:画像生成AIを使えば、同じテーマでも異なるスタイル(例:水彩画風、アニメ風、サイバーパンク風)や構図の画像を複数生成し、デザインの方向性を検討するのに役立ちます。
  • データ分析の切り口の提案:あるデータセットについて、どのような分析軸でグラフを作成したり、考察を深めたりできるか、アイデアを出してくれることがあります。
  • プレゼンテーションの構成案作成:伝えたいテーマや主要なポイントを指示すると、プレゼンテーションの章立てや各スライドで話すべき内容の骨子を提案してくれます。
活用例:「新発売のオーガニックシャンプーのキャッチコピーを10パターン考えて」
オーガニックシャンプー キャッチコピー10選

「髪に、自然のごちそうを。毎日がサロン帰りの指通り。」
(特徴:髪への栄養、仕上がりの良さ)
「頭皮から、美髪は生まれる。呼吸するような、軽やかな洗い上がり。」
(特徴:頭皮ケア、使用感の良さ)
「10年後も輝く髪のために。今、選ぶべきは、オーガニックの力。」
(特徴:長期的な美髪、本物志向)
「植物の恵み、そのままに。洗うたび、髪と心が深呼吸する。」
(特徴:自然由来、リラックス効果)
「敏感な地肌にも、優しいキスを。家族みんなで使える、無添加オーガニック。」
(特徴:低刺激、家族向け、安心感)
「まるで髪の美容液。オーガニック成分が叶える、芯から潤うツヤ髪へ。」
(特徴:高い保湿力、美髪効果)
「忙しい毎日にも、髪へのいたわりを。オーガニックで始める、新・ヘアケア習慣。」
(特徴:ライフスタイル提案、手軽さ)
「大地と太陽のパワーを、あなたの髪へ。使うほどに、生命力あふれる髪を実感。」
(特徴:自然の力強さ、髪質の変化)
「もう、隠さない。自信が持てる、健やかな地肌と美しい髪へ。」
(特徴:悩み解決、自信の回復)
「香るたび、心ほどける。天然アロマとオーガニックの贅沢な出会い。」
(特徴:香り、癒し、高級感)
出力例
活用例:「『未来の都市』をテーマに、サイバーパンク風の背景画像を生成して」
出力例

出力例

活用例:「顧客満足度アンケートの結果から、考えられる改善施策のアイデアを5つ提案して」
顧客満足度アンケート結果に基づく改善施策アイデア5選
以下に、上記のアンケート結果から考えられる具体的な改善施策を提案します。

提案1:UI/UXの全面的な見直しとユーザビリティテストの実施
課題: 「ウェブサイトやアプリの操作が分かりにくい・目的の情報にたどり着きにくい」(45%)
施策:
専門家によるUI/UX診断を実施し、問題点を具体的に洗い出します。
ターゲットユーザー層を明確にし、ペルソナを設定した上で、直感的で分かりやすいインターフェースデザインに改修します。
ナビゲーション構造を簡素化し、情報階層を整理します。
プロトタイプを作成し、実際のユーザーによるユーザビリティテストを複数回実施。フィードバックを元に改善を繰り返します。
サイト内検索機能の精度向上(キーワードサジェスト、絞り込み機能の強化など)。
期待される効果: 顧客のストレス軽減、離脱率の低下、コンバージョン率の向上、目的達成時間の短縮。
提案2:カスタマーサポート体制の強化とFAQの充実化
課題: 「問い合わせへの対応が遅い、または期待した回答が得られないことがある」(38%)
施策:
サポート人員の増強と、応対品質向上のための研修を強化します(共感力、問題解決能力の向上など)。
問い合わせチャネルを多様化し、顧客が利用しやすい手段(チャットボット、電話、メール、SNSなど)を選択できるようにします。
過去の問い合わせ内容を分析し、頻出する質問とその回答を網羅したFAQ(よくある質問)ページを作成・拡充します。FAQは動画や図解なども活用し、分かりやすさを追求します。
問い合わせ管理システムを導入または見直し、対応漏れや遅延を防ぎ、ステータスを可視化します。
一定時間内に一次回答を行うSLA(サービス品質保証)を設定し、公表します。
期待される効果: 問い合わせ解決率の向上、顧客満足度の向上、サポート業務の効率化、ネガティブな口コミの抑制。
提案3:コンテンツ・商品ラインナップの戦略的な拡充と品質向上
課題: 「提供されるコンテンツや商品の種類・質に偏りがある、もっと充実させてほしい」(32%)
施策:
顧客アンケートや利用データ分析に基づき、ニーズの高いコンテンツジャンルや商品カテゴリを特定します。
多様なニーズに応えるため、ニッチな分野や最新トレンドのコンテンツ・商品もバランス良く導入します。
既存コンテンツ・商品の品質チェック体制を強化し、定期的な見直しやアップデートを行います。
ユーザーからのコンテンツ・商品リクエストを受け付ける窓口を設け、開発・仕入れの参考にします。
独占コンテンツやオリジナル商品の開発に注力し、競合との差別化を図ります。
期待される効果: 顧客の利用頻度向上、新規顧客獲得、既存顧客の維持、ブランドイメージの向上。
提案4:料金プラン・契約プロセスの透明化と簡素化
課題: 「料金プランや契約内容が複雑で理解しにくい」(25%)
施策:
料金プランの種類を整理し、各プランの特徴やメリット・デメリットを明確に比較できるように提示します(比較表の導入など)。
専門用語や分かりにくい表現を避け、平易な言葉で説明します。
契約前に総支払額や解約条件などが一目で分かるように、シミュレーション機能や重要事項の要約表示を導入します。
オンラインでの契約手続きステップを簡略化し、入力項目を最小限にします。
プラン変更や解約手続きも分かりやすく、簡単に行えるように改善します。
期待される効果: 顧客の不安解消、信頼感の向上、契約率の向上、不要な問い合わせの削減。
提案5:パーソナライズ機能の精度向上とオプトアウト選択肢の提供
課題: 「パーソナライズされたおすすめ機能の精度が低い、または不要な情報が多い」(20%)
施策:
AIアルゴリズムの見直しや、より多くの行動データ(閲覧履歴、購買履歴、評価、お気に入り登録など)を活用することで、おすすめの精度を向上させます。
顧客自身が興味のあるジャンルやキーワードを設定できる機能を追加し、パーソナライズの精度を高めます。
「なぜこの情報がおすすめされたのか」という理由を明示し、透明性を高めます。
おすすめ情報の表示頻度や種類を顧客がコントロールできるようにします。
パーソナライズされた情報を希望しない顧客のために、簡単にオプトアウト(情報提供の停止)できる選択肢を用意します。
期待される効果: 顧客エンゲージメントの向上、関連商品・コンテンツのクロスセル/アップセル促進、顧客のプライバシー懸念の軽減。
出力例

【3-2】生成AIの苦手なこと(注意点と限界)

目安の学習時間:10分

生成AIは非常に強力なツールですが、万能ではありません。
得意なことがある一方で、苦手なことや限界、そして利用する上で注意すべき点も存在します。
これらを理解しておくことは、生成AIを安全かつ効果的に活用するために非常に重要です。

嘘をつくことがある(ハルシネーション)

最重要注意点:ハルシネーション(幻覚)
  • 生成AI、特にLLMは、学習データに基づいてもっともらしい文章を生成しますが、その内容が常に事実に基づいているとは限りません。
  • 時には、事実と異なる情報や、存在しない出来事、誤った知識などを、あたかも真実であるかのように自然な文章で生成してしまうことがあります。これを「ハルシネーション(Hallucination:幻覚)」と呼びます。
  • ハルシネーションは、AIが学習したデータの中に誤った情報が含まれていたり、学習データが古かったり、あるいはAIが文脈を誤解したりすることで発生すると考えられています。
  • 生成された情報は、鵜呑みにせず、必ずファクトチェック(事実確認)を行う習慣をつけましょう。特に、重要な意思決定や情報発信に利用する場合は、複数の信頼できる情報源で裏付けを取ることが不可欠です。
具体例:
  • 「〇〇というマイナーな歴史上の人物について教えて」と質問したら、もっともらしい経歴が語られたが、調べてみたらその人物は実在しなかった。
  • 最新の法律について質問したら、古い情報や誤った解釈に基づいて回答された。

著作権や倫理の問題

生成AIの利用が急速に広まる一方で、著作権や倫理に関する問題も浮上しています。
これらは法整備や社会的なルール作りが追いついていない部分もあり、利用者は慎重な対応が求められます。
  • 学習データの著作権:生成AIは、インターネット上の膨大なテキストや画像を学習データとしていますが、その中には著作権で保護されたコンテンツが含まれている可能性があります。AIが学習すること自体の法的な扱いや、学習データに含まれる著作物の権利者への影響については、まだ議論が続いています。
  • 生成物の著作権:AIが生成した文章、画像、音楽などの著作権が誰に帰属するのか、あるいは著作物として認められるのかという点も、国や地域によって法的な解釈が異なる場合があります。商用利用を考えている場合は特に注意が必要です。
  • 個人情報・機密情報の入力リスク:ChatGPTのような対話型AIに、個人情報(氏名、住所、電話番号、クレジットカード情報など)や、会社や組織の機密情報、未公開情報などを入力することは絶対に避けてください。入力された情報がAIの学習データとして利用されたり、情報漏洩に繋がったりするリスクがあります。
  • 悪意のある利用:フェイクニュースの生成、なりすまし、差別的なコンテンツの作成など、生成AIが悪意を持って利用される可能性も指摘されています。
より詳しいルールは別教材で
  • 著作権や情報倫理、セキュリティに関するより詳しい内容や、具体的な対策については、後続の教材『知らないと怖い!生成AIを使う前のルールブック』で専門的に扱います。
  • 本教材ではまず、「生成AIの利用には、こうした注意点がある」ということを認識しておくことが重要です。

最新の情報やリアルタイム情報には弱い

多くの生成AIモデルは、ある特定の時点までに収集されたデータ(カットオフデータと言います)を元に学習されています。
そのため、そのカットオフデータ以降の出来事や、リアルタイムで変動する情報については基本的に答えることができません。
具体例:
  • 「今日の天気は?」「現在の株価は?」といったリアルタイム性の高い質問には答えられないか、一般的な回答に留まることが多い。(ただし、一部のAIはWeb検索機能と連携し、最新情報にアクセスできる場合もあります)
  • ごく最近起こったニュースや、昨日発表された新製品に関する詳細な情報などは持っていない可能性が高いです。
考えてみよう!
もし、あなたが「明日の〇〇駅周辺の天気と、おすすめの傘がいらないランチスポットを3つ教えて」とAIに質問したとします。
AIがどのような点に注意して回答を生成する必要があるか、また、あなたがその回答を受け取る際にどんな点に気をつけるべきか、考えてみましょう。
解答例
AIが注意すべき点(理想的には):
  • 天気情報については、最新の予報データにアクセスできるか確認し、できなければ「最新情報は確認できません」と正直に伝える。
  • ランチスポットの情報も、最新の営業状況(定休日、営業時間変更など)までは把握できない可能性を伝える。
  • 「傘がいらない」という条件を考慮し、屋内施設や駅直結の場所などを優先的に提案する。
あなたが気をつけるべき点:
  • AIが答えた天気予報は、必ずしも最新ではない可能性を理解し、別途天気予報専門のサイトやアプリで確認する。
  • おすすめされたランチスポットが、実際に明日営業しているか、最新の情報を自分で調べる(特に定休日や貸切など)。
  • AIの提案はあくまで参考情報とし、最終的な判断は自分で行う。

【3-3】3章-章末課題- 得意・不得意仕分けクイズ

目安の学習時間:5分

問題

以下のタスクについて、現在の一般的な生成AIが「得意そう」か「苦手そう(または注意が必要)」か、仕分けしてみてください。
そして、なぜそう判断したのか、簡単な理由も添えてみましょう。
  1. 来月開催される社内イベントのユニークな企画案を、たくさんリストアップしてもらう。
  2. 特定の病気の治療法について、医学的なアドバイスを求める。
  3. 自社の新製品に関するプレスリリースの初稿を、指定したキーワードを盛り込んで作成してもらう。
  4. 今日の夕食の献立のアイデアを、冷蔵庫にある食材(玉ねぎ、豚肉、卵)を使い切るという条件で提案してもらう。
  5. 個人情報を含む顧客リストをAIに読み込ませて、年齢層別の統計データを分析してもらう。

解答解説

タスク
分類
理由(例)
1. 社内イベントの企画案リストアップ
得意そう
アイデアのブレインストーミングや多様なパターンの提案は、生成AIの得意分野です。
2. 病気の治療法に関する医学的アドバイス
苦手そう(注意が必要)
ハルシネーションのリスクがあり、誤った情報を提供する可能性があります。
専門的な医学的判断は必ず医師に相談すべきです。AIは情報提供の補助程度に留めるべきです。
3. 新製品プレスリリースの初稿作成
得意そう
文章作成のサポートは得意分野です。
ただし、生成された内容は必ず人間が確認し、ファクトチェックや表現の調整が必要です。
4. 冷蔵庫の食材を使った献立提案
得意そう
条件に基づいたアイデア出しは得意です。
創造的なレシピを提案してくれる可能性があります。
5. 個人情報を含む顧客リストの分析
苦手そう(絶対にやってはいけない)
個人情報や機密情報をAIに入力することは、情報漏洩のリスクがあり非常に危険です。
倫理的にも問題があります。
解説:
仕分けクイズ、お疲れ様でした。
生成AIは非常に便利なツールですが、その能力を過信せず、得意なことと苦手なこと(あるいはリスクがあること)をしっかり区別して使うことが大切です。
特に、
  • ハルシネーション(もっともらしい嘘)の可能性
  • 著作権や倫理、情報セキュリティの問題
  • 最新情報への対応限界
これらの点は、常に意識しておく必要があります。
生成AIを「賢いアシスタント」として上手に活用しつつ、最終的な判断や責任は人間が持つ、というスタンスが重要になります。
これで「3章 生成AIで何ができる?できない?」の解説を終わります。
次の章では、いよいよ代表的なテキスト生成AIツールを比較し、それぞれの特徴や使い分けについて見ていきましょう。
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