教材1 デザインAIの基本ツールとプロンプト実践
3章 AIツールの具体的な使用ケースと使い分け
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目次

3章 AIツールの具体的な使用ケースと使い分け

この章の目安学習時間:1時間

この章で到達できるゴール:

  • 具体的なデザイン制作の場面を想定し、複数のAIツールをどう使い分けるかの思考プロセスを理解できる。
  • AIからより良い結果を引き出すための、プロンプトの基本的な考え方を理解できる。
  • 自身の目標に合わせて、今後どのツールを重点的に学ぶべきかの計画を立てられるようになる。

【3-1】イントロダクション:目的別のツール選定

目安の学習時間:10分

「作りたいもの」から逆引きする思考法

前の章では、代表的なAIツールのそれぞれの「個性」を学びました。
この章では、その知識を基に、具体的なデザイン制作の場面で「どのツールを、どのように組み合わせるか」という、より実践的な思考法をケーススタディを通じて学びます。
重要:目的がツールを選ぶ
  • AI活用で最も重要なのは、ツールありきで考えるのではなく、まず「何を作りたいか」「どんな課題を解決したいか」という目的を明確にすることです。
  • 目的が定まれば、どのツールのどの機能が最適か、自ずと見えてきます。この思考法は、新しいAIツールが登場した際にも役立つ、普遍的なスキルとなります。
この章で紹介する3つのケーススタディを通じて、目的から逆引きして最適なツールを使い分ける感覚を養っていきましょう。

【3-2】使用ケース①:SNSコンテンツの量産

目安の学習時間:10分

「速く、たくさん」作りたい!

課題設定:
Instagramのフィード投稿とストーリーズ用の画像を、ブランドの統一感を保ちつつ、毎日更新するために効率的に作成したい。
最適なツールの組み合わせ:
Canva AI + ChatGPT
解説:
このケースで最も重要なのは「スピード」と「量」です。
Canvaの豊富なテンプレートとAI機能を組み合わせることで、デザイン作業を劇的に高速化できます。
ワークフローのイメージ:
SNSコンテンツ量産フロー
  1. 投稿テーマと文章作成(ChatGPT):まずChatGPTに「1週間分のSNS投稿のテーマと、それぞれのキャッチコピー案」を生成させます。
  2. デザイン案の生成(Canva AI):次にCanvaの「Magic Design」に、ChatGPTが生成したテーマのキーワード(例:「新商品セール」)を入力し、ベースとなるデザインテンプレートを複数作成させます。
  3. ビジュアルの調整(Canva AI):テンプレート内の画像がイメージと合わない場合は、「Magic Media」で差し替え用の画像をプロンプトで生成します。
  4. 仕上げ:ChatGPTが生成したキャッチコピーを配置し、ブランドカラーなどに合わせてデザインを微調整して完成です。
制作例
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【3-3】使用ケース②:高品質なキービジュアル制作

目安の学習時間:10分

LPの主役になる「特別な一枚」が欲しい!

課題設定:
新しいサービスのLPで使用する、ブランドイメージを象徴するような、高品質でオリジナリティのあるキービジュアルを作成したい。
最適なツールの組み合わせ:
Image FX + ChatGPT + Photoshop
解説:
このケースでは「品質」と「独自性」が最優先です。
高品質な画像生成を得意とするImage FXを主軸に、コンセプトの言語化や最終的な仕上げの工程で他のツールを組み合わせます。
ワークフローのイメージ:
  1. コンセプトの言語化(ChatGPT):
    • まずChatGPTと対話し、キービジュアルで表現したいコンセプトや世界観を、Image FXで使うための詳細なキーワードに落とし込みます。
  1. 高品質な画像の生成(Image FX):
    • 次に、言語化したキーワードを基に、Image FXで高品質な画像を複数生成し、最もイメージに近いものを数枚選びます。
  2. プロ品質の仕上げ(Photoshop):
    • 最後に、選んだ画像をPhotoshopに読み込みます。
    • AI機能(「生成拡張」や「生成塗りつぶし」)や通常の色調補正、レタッチ機能を使って細部を調整し、完成度を極限まで高めます。
作成例
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【3-4】使用ケース③:UIデザインのワークフロー効率化

目安の学習時間:10分

UIデザインの面倒な作業を「効率化」したい!

課題設定:
モバイルアプリのデザイン制作において、情報整理、ワイヤーフレーム作成、UIパーツへのダミーデータ入力といった、創造的とは言えないものの時間のかかる作業を効率化したい。
最適なツールの組み合わせ:
Figma(無料プラグイン含む) + ChatGPT
解説:
このケースでは、UIデザインの「ワークフローとの親和性」が鍵となります。
特に、反復的で量の多い単純作業をAIと無料プラグインで自動化することで、作業の流れを止めずに効率化を図ります。
ワークフローのイメージ:
  1. 情報整理(ChatGPT):
    まず、ChatGPTを使い、ブレインストーミングで出たアイデアやクライアントからの要件を、構成案の形に整理します。
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  1. ワイヤーフレーム作成(Figmaの基本機能):
    次に、Figmaに移動し、整理された構成案からワイヤーフレームを基本的な図形ツールで作成します。
    この段階では、まだ詳細な作り込みは行いません。

    AIプラグインを使えば、この工程を自動化することも可能です。
    例えば「Relume」「Builder.io」といったプラグインにテキストで指示を出すと、ワイヤーフレームのたたき台を生成してくれます。(2.5-EX① 特定AIツール深掘り講座_Figma編で学習)

    アイデア出しのきっかけとして非常に便利ですが、多くは無料での利用に制限があります。
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  1. コンテンツの流し込み(ChatGPT + 無料プラグイン):
    最後に、ここが効率化のハイライトです。

    ワイヤーフレームに配置する大量のダミーテキスト(ユーザー名、プロフィール文、メッセージなど)をChatGPTに生成させ、「Content Reel」などの無料プラグインを使ってデザイン上に一括で流し込みます。
    これにより、一件ずつ手入力する手間を省き、リアルな画面イメージを素早く作成できます。
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作成例(テキストや画像は本物を流し込み済み)
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【3-5】プロンプトの基本概念と重要性

目安の学習時間:10分

AIへの「伝え方」の基本

これまでのケーススタディで見たように、AIを効果的に使うには、的確な指示、すなわち「プロンプト」が不可欠です。
このパートでは、ツール操作は行いませんが、後続の講座で実践的なプロンプトを学ぶための「考え方」の基礎を学びます。

不安な人は「生成AI基礎講座」の「プロンプトエンジニアリング基本のキ」を復習しましょう!
良いプロンプトの3要素

良いプロンプトは、多くの場合、以下の3つの要素を含んでいます。
AIと対話する際に、これらの要素を意識するだけで、アウトプットの質は大きく変わります。

  • 役割 (Role): AIに「あなたはプロのコピーライターです」のように、特定の専門家としての役割を与えることで、その役割に沿った質の高い回答が期待できます。
  • 文脈 (Context): 「この商品は20代女性向けです」「ブランドイメージはミニマルで洗練されています」のように、前提となる背景情報を与えることで、AIはより的確なアウトプットを生成します。
  • 制約 (Constraint): 「3つの案を箇条書きで」「小学生にも分かる言葉で」「100字以内で」のように、アウトプットの形式や条件を具体的に指定することで、意図した通りの結果を得やすくなります。
考えてみよう!
「Webサイトのヒーローイメージを作って」というプロンプトは、なぜ「悪いプロンプト」なのでしょうか?
上記の3要素を踏まえて、改善案を考えてみましょう。
  • 解答例
    • 現状の問題点:「役割」「文脈」「制約」の全ての要素が欠けているため、AIは何を作れば良いか分からず、非常に曖昧で一般的な画像しか生成できません。
  • 改善案:
    • 役割:あなたは才能あるWebデザイナーです。
    • 文脈:今、オーガニックな素材を使ったコスメブランドの新しいLPを制作しています。ターゲットは自然派志向の30代女性です。
    • 制約:そのLPのキービジュアルとなるヒーローイメージを、横長の画像で、水彩画のような優しく透明感のあるスタイルで生成してください。朝の光が差し込む、穏やかな雰囲気でお願いします。

【3-6】章末課題:ツール選定プランの立案

目安の学習時間:10分

問題

この教材で、様々なAIツールの特徴と使い分けの考え方を学びました。

次の教材「2-① AIで加速!アイデア発想と素材作成フロー: 発想支援編」では、これらのツールを使い、具体的なプロジェクトの「アイデア発想」のフローを実践的に学びます。

それに先立ち、あなたが「発想支援編」で取り組んでみたい架空のプロジェクトのテーマを自由に設定し、その初期のアイデア発想段階で、本教材で学んだどのAIツールが最も役立ちそうか、その理由と共に記述してください。

解答解説

この課題は、自身の興味と学習内容を結びつけ、次の学習への目的意識を明確にするためのものです。
正解はありません。
  • 設定したテーマ:地元の小さなベーカリーの、若者向けオンライン宣伝用LP制作
  • 活用したいAIツールと理由:
    1. ChatGPT: まず、若者に響くLPのコンセプトやキャッチコピーのアイデアを大量に壁打ちしたいから。また、「地元」「パン」「若者」といったキーワードから、LPに載せるべきコンテンツの構成案を相談したい。
    2. Image FX:「焼きたてのパンのシズル感」や「おしゃれなカフェのような雰囲気」といった、コンセプトに合う高品質なキービジュアルのインスピレーションが欲しいから。フリー素材にはない、オリジナリティのある画像を生成してみたい。
これで「3章 AIツールの具体的な使用ケースと使い分け」の解説を終わります。
お疲れ様でした!
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