教材2-② AIによるアイデア発想と素材作成フロー: 素材作成編
1章 AI素材作成の基礎知識と戦略
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目次

1章 AI素材作成の基礎知識と戦略

この章の目安学習時間:50分

この章で到達できるゴール:

  • 前教材で作成したコンセプトを、具体的な素材の仕様に落とし込める。
  • 複数のAIで一貫したスタイルの素材を生成するための「共通プロンプト」戦略を理解できる。
  • 「コンセプトキーワード」と「共通プロンプト」の違いを明確に説明できる。

【1-1】イントロダクション:アイデアをプロ品質の「素材」に昇華させる

目安の学習時間:5分

本章のゴールと学習の流れ

この章では、具体的な素材作成に入る前の「戦略」と「準備」について学びます。
優れた設計図があれば、AIはより精度の高いアウトプットを返してくれます。

この章のゴールは、素材作成の全体像を掴み、デザインに一貫性を保たせるための戦略を立てることです。
これから制作するすべての素材の品質を左右する、非常に重要な工程となります。

【1-2】制作の準備:コンセプトの再確認

目安の学習時間:5分

「発想支援編」の成果物を確認する

まず、前教材「2-① 発想支援編」の最終課題で作成した「初期デザイン提案シート」を手元に準備しましょう。
これからの制作の土台となる要素
  • デザインコンセプト(ステートメントとキーワード)
  • ターゲットペルソナ
  • ムードボード
  • サイト構成案

これらの要素、特にコンセプトムードボードが、これから作成する全ての素材のクオリティと一貫性を左右する重要な基盤となります。

【1-3】素材作成の計画立案

目安の学習時間:20分

必要なアセットの洗い出し

LP(ランディングページ)を一枚のデザインとして完成させるには、様々なデザイン素材(=アセット)が必要です。
いきなり作り始めるのではなく、まずは「初期デザイン提案シート」とサイト構成案を基に、どのようなアセットが必要になるかをリストアップします。
  • ビジュアルアセットリストの例
    • キービジュアル:1点
    • サービス特徴を説明するためのイラスト:3点
    • お客様の声に使う利用者のアイコン:4点
    • CTAボタンの背景に敷く装飾パターン:1点
    • 外部SNSで告知するための広告バナー:2サイズ
  • テキストアセットリストの例
    • ヒーローセクションの最終的なキャッチコピーとリード文
    • 各セクションの見出しと説明文
    • お客様の声の具体的なテキスト
    • FAQの質問と回答文
このように、事前に必要なものを洗い出すことで、計画的に、そして抜け漏れなく素材作成を進めることができます。

アセットの調達戦略

洗い出したアセットを、どのように調達するかの判断基準を学びましょう。
全てをAIで生成するのではなく、適材適所でツールや手法を使い分ける視点が重要です。
調達方法
特徴
こんな時におすすめ
AI生成
オリジナリティの高い素材を高速に作成できるが、意図通りの調整には技術が必要。
ブランドの世界観を象徴するキービジュアル、ユニークなイラストが欲しい時。
ストック素材
高品質な写真やイラストがすぐ手に入るが、他と被る可能性があり、コストもかかる。
一般的なイメージ写真や、AIでの生成が難しい特定のシチュエーションの写真が欲しい時。
自作
完全にオリジナリティを担保できるが、最も時間とスキルを要する。
ブランドロゴや、非常に精密な図解など、AIや素材サイトでは対応できないもの。
注意:AIでの作成が難しい素材の例
  • 特定のロゴや精密なテキストを含む画像:AIは文字やロゴを正確に描くのが苦手です。これらはIllustratorなどで作成し、後から合成するのが基本です。
  • 複数の人物が複雑に絡み合う特定のシーン:人物の指の本数や手足の繋がりなどが不自然になりやすい傾向があります。
  • ブランドキャラクターなど、完全な一貫性が求められる連続したイラスト:同じキャラクターを、全く同じ特徴で、異なるポーズで何枚も生成するのは非常に高度な技術を要します。

【1-4】一貫性を保つための「共通プロンプト」戦略

目安の学習時間:15分

「コンセプトキーワード」と「共通プロンプト」の違い

AIで複数のビジュアル素材を作成する際、デザイン全体で一貫したトーン&マナーを保つことが非常に重要です。
そのために、「共通プロンプト」という考え方を活用します。
ここで、前教材で扱った「コンセプトキーワード」との違いを明確にしておきましょう。
  • コンセプトキーワードは、デザインの「何を(What)」伝えるかを定義する、抽象的・概念的な言葉です。(例:「透明性」「心地よさ」「知的」)
  • 共通プロンプトは、そのコンセプトをビジュアルとして「どのように(How)」見せるかをAIに指示する、具体的・視覚的な言葉です。(例:「柔らかい朝の光」「ミニマルな構図」)
つまり、デザインの魂である「コンセプト」を、AIが理解できる「共通プロンプト」に翻訳する作業が、このパートの目的です。

練習問題

問題
「発想支援編」で作成した自身のプロジェクトの「コンセプトキーワード」と「ムードボード」を基に、画像生成AIでビジュアルのトーン&マナーを統一するための「共通プロンプト」を、具体的なキーワードや文章で5つ以上作成してみましょう。
解答例(テーマA:サステナブルファッションブランドの場合):
1. 柔らかい朝の光、自然光
2. ミニマルでクリーンな構図、シンプルな背景
3. 穏やかで静かな雰囲気
4. アースカラー、ニュートラルカラー
5. 高品質な写真、シャープな焦点、35mmフィルム風
解答例

【1-5】章末課題:素材作成計画シートの作成

目安の学習時間:10分

問題

この章で学んだことを基に、1章で選択した自身のプロジェクトテーマについて、「素材作成計画シート」を作成してください。

以下の項目を記述して、具体的な制作の準備を整えましょう。
  1. 必要なビジュアルアセットリスト(箇条書きで5つ以上)
  2. 必要なテキストアセットリスト(箇条書きで3つ以上)
  3. デザインのトーン&マナーを維持するための共通プロンプト(キーワードや文章)

解答解説

この課題は、本格的な制作に入る前の重要な設計図となります。

以下に、完成形のイメージとして「素材作成計画シート」の見本を提示します。
▼解答例
  1. 1. ビジュアルアセットリスト:
    • LP用キービジュアル 1点
    • ブランドイメージを伝えるサブ画像 3点
    • 「素材のこだわり」「透明性」など特徴を示すアイコン 4点
    • Instagram告知用バナー(正方形) 2点
    • Web広告用バナー(レクタングル) 2点
  2. 2. テキストアセットリスト:
    • LP全体のキャッチコピーとリード文
    • 「私たちの想い」セクションのコンセプト説明文
    • 「3つの特徴」セクションの各解説文
  3. 3. 共通プロンプト:
    • 柔らかい朝の光, ミニマルでクリーン, 自然な質感, 穏やかで静かな, 洗練された, アースカラー, 高品質な写真, フィルムのような質感
これで「1章 AI素材作成の基礎知識と戦略」の解説を終わります。
次の章に進みましょう。
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