教材4 【任意】Premiere Pro AI機能徹底マスター
1章:音声編集の革命 - AIによる超時短サウンドデザイン
INDEX
目次

1章:音声編集の革命 - AIによる超時短サウンドデザイン

この章の目安学習時間:100分

この章で到達できるゴール:

  • 音声に関する面倒な作業(文字起こし、ノイズ除去、BGM調整)をAIで自動化し、編集の初速を最大化するスキルを習得する。
学習をさらに深めるヒント

補足情報として、今回提供するナレーションの音声素材は、教材3で学んだAI音声合成ツール「ElevenLabs」を用いて作成されています。

このロードマップで学ぶツールを使えば、練習用の素材さえも自作できるのです。

課題が一通り完了したら、ぜひご自身のスマートフォンで撮影した動画(ご家族や友人との会話、自己紹介など)を素材にして、同じように文字起こしや音声補正を試してみましょう。身近な素材を使うことで、各機能への理解がさらに深まります。

【1-1】テキストで動画を操る「文字起こしベースの編集」

目安の学習時間:30分

インタビュー動画やVlogなど、会話が中心の動画で最も時間がかかるのが、長時間の映像から必要な部分だけを抜き出すカット編集です。
Premiere Proの「文字起こしベースの編集」は、この作業を根本から変える画期的な機能です。

自動文字起こしの基本

まず、編集したい動画素材から、AIにテキストデータを自動で生成させます。
自動文字起こしの操作手順
  1. Premiere Proにインタビュー動画などの素材を読み込み、タイムラインに配置します。
  2. 画面上部のワークスペースから「テキストベースの編集」を選択し、「テキスト」パネルを表示させます。
  3. 「テキスト」パネルの「文字起こし」タブで、「...」メニューから「静的な文字起こしを再生成」を選択します。(※多くの場合、自動で文字起こしが開始されます)
  4. 「文字起こし」ダイアログボックスが表示されたら、言語が「日本語」になっていることを確認し、「話者の分離」にチェックを入れます。
  5. 「文字起こし」ボタンをクリックすると、AIによる解析が開始され、テキストが表示されます。

フィラーワード&無音の一括削除

生成されたテキストには、「えーと」「あのー」といったフィラーワード(つなぎ言葉)や、会話の途中の無音部分が含まれています。
これらは、AIを使って一括で検索し、削除することが可能です。
フィラーワード・無音の削除手順
  1. 文字起こしが完了した「テキスト」パネルで、検索窓の横にある「フィルター」アイコンをクリックします。
  2. まず「つなぎ言葉」を選択すると、検出されたフィラーワードがハイライトされます。
  3. 「削除」ボタンをクリックし、「抽出」を選択すると、タイムライン上の該当箇所が一括で削除されます。
  4. 次に、再度「フィルター」アイコンから「語間」を選択します。
  5. スライダーを調整して削除したい無音の長さを設定し、同様に「削除」→「抽出」で一括削除します。

テキスト上でのカット編集

この機能の最も革命的な点は、テキストを編集すると、動画クリップそのものが連動して編集されることです。
テキストパネル上で、不要な単語や文章を選択してDeleteキーを押すだけで、タイムライン上の動画クリップの該当箇所がリップル削除(隙間を詰めて削除)されます。
これにより、映像を何度も再生・停止することなく、台本を校正するような感覚で、直感的にカット編集を進めることができます。

【実践】フィラーワードを含むナレーションをクリーンナップ

提供される「フィラーワードを含むナレーション音声素材」をタイムラインに配置し、このセクションで学んだ手順で文字起こしを行い、フィラーワードと不要な部分をAIにより一括削除しましょう。

使用素材

制作例

【重要】AIによる自動削除後の最終確認
  • AIによる「つなぎ言葉」の一括削除は非常に強力な機能ですが、AIが全てのフィラーワードを100%完璧に検出できるわけではありません。
  • 実際の業務では、自動削除を実行した後、必ず自身の耳で音声全体を聞き返し、AIが見逃したフィラーワードが残っていないかを確認する習慣をつけましょう。
  • 残っていた場合は、テキストベース編集で手動カットするなど、最終的な品質担保はクリエイター自身の重要な役割です。

【1-2】1クリックで完成!自動キャプション生成

目安の学習時間:20分

時間のかかるテロップ作成作業も、AIを使えば劇的に効率化できます。

文字起こしデータからキャプションを生成

1-1で作成した文字起こしデータは、そのままテロップの元データとして活用できます。
自動キャプションの生成手順
  1. カット編集が完了した「テキスト」パネルの上部にある、「キャプションを作成」ボタンをクリックします。
  2. 「キャプションを作成」ダイアログボックスが表示されたら、内容を確認します。「キャプションプリセット」は「字幕(デフォルト)」のままで問題ありません。
  3. 「作成」ボタンをクリックすると、タイムラインの音声に合わせて、ビデオトラック上にキャプションクリップが自動で生成・配置されます。

キャプションのデザインを効率化

生成されたキャプションのデザインは、「エッセンシャルグラフィックス」パネルで効率的に編集・統一できます。
スタイル機能で作業を効率化
  • 一つのキャプションクリップでフォントや色、境界線、背景などを好みのデザインに調整します。
  • そのデザインを「スタイル」として保存することで、他のすべてのキャプションクリップに、そのデザインを一括で適用することができます。
  • これにより、一つ一つのテロップデザインを個別に修正する手間が省け、大幅な時間短縮に繋がります。
【時短効果の可視化】
5分の動画のテロップ作成:手作業で約2時間 → AIなら約10分
制作例

【1-3】聞きやすさが激変!AI音声補正術

目安の学習時間:20分

屋外での撮影や、マイクの性能が十分でない場合、音声にノイズが乗ってしまうことはよくあります。
Premiere ProのAI音声補正機能は、こうした音声トラブルを簡単に解決してくれます。

「スピーチを強調」

この機能は、AIが音声の中から「人の声」と「それ以外のノイズ」を自動で判別し、人の声だけをクリアに持ち上げてくれる画期的な機能です。
操作手順
  1. 音声を補正したいクリップを選択します。
  2. 「エッセンシャルサウンド」パネルを開き、クリップのタイプとして「会話」を選択します。
  3. 「読みやすさ」の項目にある「強調」のチェックボックスをオンにします。
  4. AIによる分析が自動で開始され、完了すると音声が補正されます。「ミックス量」のスライダーで、補正の強さを調整できます。
【時短効果の可視化】
屋外収録のノイズ除去:手作業での周波数調整は専門知識が必要 → AIなら1クリック

その他のノイズ除去機能

「スピーチを強調」以外にも、特定のノイズに特化したAI補正機能があります。
  • リバーブの軽減:室内の反響音(お風呂で話しているような音)を抑えます。
  • ハムノイズの軽減:電源ケーブルなどが原因で発生する「ブーン」という低いノイズを抑えます。
  • クリックノイズの軽減:マイクが口に近い場合などに発生する「プチプチ」という音を抑えます。
これらの機能も「エッセンシャルサウンド」パネルから簡単に適用できます。

【実践】屋外インタビューの音声を補正しよう

街の雑踏の中で収録したような「ノイズあり音声素材」を提供します。この素材に「スピーチを強調」を適用し、補正前と後でどれだけ音声がクリアになるかを実際に体感してみましょう。

素材

制作例

【1-4】BGM調整の完全自動化

目安の学習時間:20分

動画の雰囲気を盛り上げるBGMですが、その調整もAIで自動化できます。

「リミックス」機能

使いたいBGMが、動画の尺に対して長すぎたり短すぎたりすることはよくあります。
「リミックス」機能を使えば、AIが曲の構成(Aメロ、Bメロ、サビなど)を自動で解析し、曲の展開が自然に聞こえるように繋ぎ合わせて、指定した長さに自動で調整してくれます。
リミックスツールの操作手順
  1. タイムラインに映像と、尺の合わないBGMを配置します。
  2. ツールバーから「リミックスツール」(リップル編集ツールなどを長押しすると表示)を選択します。
  3. タイムライン上のBGMクリップの端をドラッグして、映像クリップの長さにぴったり合わせます。
  4. AIが自動で解析・処理を行い、BGMが自然な形で短縮(または伸長)されます。
【時短効果の可視化】
3分の曲を1分に編集:手作業で曲の盛り上がりを繋ぎ合わせるのに15分 → AIなら10秒

「自動ダッキング」機能

ナレーションやインタビュー音声がある箇所で、BGMの音量を自動的に下げてくれる機能が「自動ダッキング」です。
自動ダッキングの仕組み

以下の手順で設定するだけで、AIが自動で音量調整を行います。

  1. ナレーションクリップを選択し、「エッセンシャルサウンド」パネルで「会話」タグを付ける。
  2. BGMクリップを選択し、「ミュージック」タグを付ける。
  3. 「ミュージック」タグの設定項目に表示される「ダッキング」にチェックを入れる。

これだけで、AIが「会話」タグの音声がある部分を検知し、その部分だけ「ミュージック」タグの音量を自動で下げてくれます。

感度やフェード量を調整することで、音量の変化をより自然にすることも可能です。

制作例

動画終盤のリミックスされたBGMや「自動ダッキング」機能を確認しましょう。

【1-5】1章 -章末課題- [AIを活用したインタビュー音声編集]

問題

提供される「ノイズが多めの長尺ナレーション(約2分)」と「長尺BGM(約3分)」を使い、本章で学んだ以下のAI機能をすべて適用して、聞きやすい状態に整えられたダイジェスト音声コンテンツを制作してください。
※ 実際の音あり動画素材を編集する場合も同様のやり方で可能です。
  1. 文字起こしベースの編集を使い、フィラーワードや不要な間、冗長な表現をカットして、聞きやすい長さに整える。
  2. 「スピーチを強調」で、ナレーションのノイズを除去する。
  3. 「自動キャプション生成」で、編集後のナレーションにテロップを付ける。
  4. 「リミックス機能」で、BGMの尺を調整する。
  5. 「自動ダッキング機能」で、ナレーションに合わせてBGMの音量を自動調整する。

素材

動画(音声)素材

解答手順

この課題は、本章で学んだ音声関連のAI機能を一気通貫で実践するものです。
以下の手順に沿って進めてみましょう。
制作手順
  1. ナレーション素材をタイムラインに配置し、「文字起こし」を実行します。
  2. テキストパネル上で不要な部分(フィラーワード、長い無音、繰り返しなど)をカットします。
  3. 編集後のナレーションクリップに、「エッセンシャルサウンド」パネルで「会話」タグを付け、「スピーチを強調」を適用します。
  4. テキストパネルから「キャプションを作成」を実行し、テロップを生成します。デザインも整えましょう。
  5. BGM素材をタイムラインに配置し、「リミックスツール」で尺を調整します。
  6. BGMクリップに「ミュージック」タグを付け、「自動ダッキング」を適用します。
  7. 全体を再生し、クリアな音声で、BGMのバランスも良く、テロップも表示される状態になっていれば完成です。
これで「1章:音声編集の革命 - AIによる超時短サウンドデザイン」の解説を終わります。
次の章に進みましょう。
WEBCOACH | キャリアチェンジまでの全てを学ぶマンツーマンWEBスクール
© 2020 by WEBCOACH