教材4 【任意】Premiere Pro AI機能徹底マスター
2章:映像編集の自動化 - AIによる品質向上テクニック
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2章:映像編集の自動化 - AIによる品質向上テクニック

この章の目安学習時間:60分

この章で到達できるゴール:

  • 複数のカメラや異なる環境で撮影された映像の色味を、AI機能で自然に統一できるようになる。
  • AIによる自動補正機能を活用し、ワンクリックで映像の見た目を向上させられるようになる。
  • 長回しで撮影された1本の動画ファイルから、カットの変わり目をAIで自動検出し、効率的に編集できるようになる。

【2-1】複数カメラの色味を瞬時に統一「カラーマッチ」

目安の学習時間:25分

インタビューやイベント撮影など、複数のカメラで撮影した映像を編集する際、多くの編集者が頭を悩ませるのが「色味の違い」です。
このセクションでは、その悩みを一瞬で解決する「カラーマッチ」機能を学びます。

なぜカラーマッチが必要か

カメラの機種やメーカー、設定、撮影した場所の照明など、様々な要因で映像の色味はバラバラになりがちです。
  • 色味のズレがもたらす問題:映像の色味がカットごとに異なると、視聴者は無意識に違和感を覚え、動画の世界観に集中できなくなってしまいます。
  • プロフェッショナルな映像制作において、色調の統一感は品質を担保する上で非常に重要な要素です。
従来、この色合わせの作業は、専門的な知識を持つクリエイターが感覚を頼りに時間をかけて行っていました。
しかし、AIを使えば、この工程を劇的に短縮できます。

カラーマッチの適用方法

「カラーマッチ」は、基準となるクリップの色味をAIが解析し、その色味に他のクリップを自動的に合わせてくれる機能です。
カラーマッチの操作手順
  1. タイムラインに色味を合わせたいクリップを並べます。
  2. 色を合わせたい(変更したい)方のクリップを選択します。
  3. 「Lumetriカラー」パネルを開き、「カラーホイールとカラーマッチ」のセクションにある「比較表示」ボタンをクリックします。
  4. プログラムモニターが2画面に分割され、左に参照フレーム(基準)、右に現在のフレーム(変更対象)が表示されます。
  5. 左画面のスライダーを動かし、基準にしたいクリップの、色味が最もよく分かるフレームを表示させます。
  6. 「Lumetriカラー」パネルに戻り、「マッチを適用」ボタンをクリックします。
  7. AIが色を解析し、右画面のクリップの色味が左画面に自動で統一されます。

【実践】先生のインタビューに園児の映像を馴染ませよう

動画編集で頻繁に行われる、「インタビュー映像(Aロール)の途中に、関連するイメージ映像(Bロール)を挿入する」という作業を想定して、カラーマッチを実践します。

提供される「室内で撮影された幼稚園の先生のインタビュー映像(暖色系)」と、「屋外で撮影された園児の笑顔の映像(寒色系)」の2つのクリップの色味を統一し、園児の映像をインタビューの途中に挿入しても違和感のない、プロフェッショナルな見た目に仕上げてみましょう。
課題の補足
  • 今回提供する映像素材は無音のフリー素材にelevenlabsを用いて出力した音声を合成したものです。
  • ご自身が最も効果的だと考えるタイミングで、園児の映像を挿入する練習をしてみてください。

素材

インタビュー映像(Aロール)
関連するイメージ映像(Bロール)
制作例

【2-2】ワンクリックで最適化「自動カラー補正」

目安の学習時間:10分

カラーマッチほど厳密な色合わせは不要で、単に「このクリップの見た目を手軽に良くしたい」という場合に役立つのが、ワンクリックで適用できる自動補正機能です。

「自動補正」と「自動トーン」

「Lumetriカラー」パネルの「基本補正」セクション最上部にある「自動」ボタン(以前のバージョンでは「自動トーン」)が、AIによる自動カラー補正機能です。
自動補正の仕組み
  • 「自動」ボタンをクリックすると、AIが映像の輝度(明るさ)やコントラスト、彩度(色の鮮やかさ)などを解析し、ワンクリックで「いい感じ」の見た目に自動で調整してくれます。
  • 露光量やハイライト、シャドウなどの各スライダーが自動で動くため、AIの調整をベースに、そこから手動で微調整することも可能です。
【時短効果の可視化】
基本的な色調補正:手作業での試行錯誤に5分 → AIなら1クリック
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【2-3】長回し映像の救世主「シーン編集の検出」

目安の学習時間:15分

イベントやセミナーの記録映像など、すでに編集済みの動画ファイルを素材として受け取り、「この中から一部を切り出して使ってほしい」と依頼されるケースは少なくありません。
従来は、映像を最初から最後まで再生してカットの変わり目を探す必要がありましたが、この作業もAIで自動化できます。

活用シーンと適用方法

「シーン編集の検出」は、1本の動画クリップの中に含まれるカットの変わり目をAIが自動で検出し、その箇所に切れ目(カット)を入れてくれる機能です。
シーン編集の検出 操作手順
  1. 複数のシーンが繋がった、1本の長い動画クリップをタイムラインに配置します。
  2. そのクリップを右クリックします。
  3. 表示されたメニューから「シーン編集の検出」を選択します。
  4. ダイアログボックスが表示されたら、「検出された各カットポイントにカットを適用」がオンになっていることを確認し、「分析」ボタンをクリックします。
  5. AIによる分析が完了すると、元の1本のクリップが、カットの変わり目ごとに自動で分割されます。
この機能を使えば、長回しの映像を効率的に整理し、必要なシーンだけを素早く抜き出して編集作業に入ることができます。

【実践】提供素材を自動で分割しよう

提供される「複数のシーンが繋がった1本の動画ファイル」に「シーン編集の検出」を適用し、クリップが自動で分割されることを確認してみましょう。

素材

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【2-4】2章 -章末課題- [マルチカム風映像の色調統一]

問題

提供される「色味がバラバラな複数クリップを繋げた1本の動画ファイル」に対し、この章で学んだ以下の2つのAI機能を連携させて、「カットごとに分割され、かつ全体の色調が統一された映像」に仕上げてください。
  1. シーン編集の検出:1本の動画ファイルを、カットごとに分割する。
  2. カラーマッチ:分割された各クリップの色味を、基準となるクリップの色味に統一する。

素材

解答解説

操作手順
  1. 提供された動画ファイルをタイムラインに配置します。
  2. クリップを右クリックし、「シーン編集の検出」を実行して、クリップをカットごとに分割します。
  3. 分割されたクリップの中から、最も基準にしたいクリップを1つ選びます。
  4. 「カラーマッチ」機能を使い、他のすべてのクリップの色味を、基準のクリップの色味に一つずつ合わせていきます。
  5. 全てのクリップの色調に統一感が生まれれば完成です。不明点があれば、コーチに相談してみましょう。
制作例
これで「2章:映像編集の自動化 - AIによる品質向上テクニック」の解説を終わります。
次の章に進みましょう。
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