教材5 実践!AI活用SNS広告動画制作ワークフロー
2章:【追体験編】プロのAI活用ワークフローを覗いてみよう
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2章:【追体験編】プロのAI活用ワークフローを覗いてみよう

この章の目安学習時間:90分

この章で到達できるゴール:

  • 実際の案件を想定した、企画から編集までの一連の制作フローを具体的にイメージできるようになる。
  • 各工程で、どのAIツールを、どのような思考で活用しているのかを理解する。

【2-1】Part1: 企画・構成編

目安の学習時間:30分

この章では、架空の案件を元に、プロがAIをどのように活用してSNS広告動画を制作するのか、その一連の流れを解説します。
まずは、全ての土台となる企画・構成のプロセスです。

モデルケースの提示

今回取り組むモデルケースはこちらです。
【モデルケース】案件要件
  • クライアント:D2Cスキンケアブランド「AUBE(オーブ)」
  • 商材:新商品の導入美容液「AUBE a.m.」
  • 目的:Instagramリール広告での認知拡大と、ECサイトでの初回購入促進
  • ターゲット:20代後半~30代前半の、仕事やプライベートで忙しい日々を送る女性
  • 訴求したい点
    • 洗顔後すぐに使うことで、肌の土台を整え、その後の化粧水の浸透を助ける。
    • 忙しい朝でも、手軽にワンランク上のスキンケアが実現できる。
  • 提供素材商品写真、ブランドロゴ
提供素材
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ChatGPTと共に企画を練る

この要件を元に、ChatGPTを活用して企画を具体化していきます。
受講生が学んだプロンプトを使って、思考を深めていくプロセスをデモ動画で見ていきましょう。
ChatGPTとの企画手順

ここでは、「教材2: AIプロンプト活用!企画・台本自動生成」で学んだプロンプトの作成術を実践します。各ステップでどのようなプロンプトを入力すれば良いか、教材2の2章~4章の内容を思い出しながら進めましょう。

  1. ChatGPTに、上記の案件要件を整理して入力し、前提条件を共有します。この時、「あなたはプロのマーケターです」といった役割を与えるのがポイントです。
  2. まず、「この情報から、ターゲットペルソナを一人、具体的に設定してください」と指示し、ペルソナを生成させます。
  3. 次に、生成されたペルソナに基づき、「このペルソナに響くような、動画のコンセプトを3つ提案してください」と指示し、コンセプト案を出させます。
  4. 提示されたコンセプトの中から最も適したものを選び、「では、このコンセプトでAIDAの法則に基づいた15秒のリール動画の構成案と、具体的なナレーション台本を作成してください」のように、フレームワークと出力形式を指定して、最終的な台本を生成させます。
1.ペルソナ設定
# ペルソナ設定:「彩乃さん」

## 基本情報
- 名前:彩乃(Ayano)
- 年齢:30歳
- 職業:外資系IT企業の営業職(リモートワーク中心)
- 居住地:東京都目黒区のマンション
- 年収:約600万円

## ライフスタイル
- 平日は朝7時に起床し、コーヒーを飲みながらPCチェック。
- メイクやスキンケアは時短重視。仕事開始前の1時間で身支度を完了。
- 業務中はオンラインMTGが多く、カメラ映りを気にするため肌コンディションは重要視。
- 仕事終わりはジムやヨガでリフレッシュ。美容や健康にはお金をかけるタイプ。
- 週末は友人とのランチ、都内のおしゃれカフェ巡りが趣味。
- InstagramやXは情報収集に活用。特に美容系インフルエンサーの投稿はよくチェック。
- ECサイトでコスメ購入が習慣化しているが、新商品は口コミや使用感の動画で吟味する傾向。

## 美容意識・悩み
- 肌悩みは「乾燥」「くすみ」「メイクノリが悪い日がある」。
- 朝は時間がないので「手軽さ」と「時短」アイテムを重視。
- ただし「質が良いもの」「自分に投資している感覚」も重要視しており、安すぎる商品は選ばない。
- トレンド感のあるブランドや、パッケージデザインが洗練された製品に惹かれやすい。

## インサイト
- 「忙しいけど、自分の肌はきちんと整えたい」
- 「朝の1ステップが一日中の肌コンディションを左右する」
- 「“自分へのちょっとしたご褒美感”があるアイテムに心が動く」

## ターゲット像まとめ
- 「忙しい毎日の中でも手軽に“キレイな私”を維持したい」
- そんな効率重視×美容感度高めな都会派キャリア女性。
- SNSや動画で直感的に商品の良さを感じた時、即購入へつながるタイプ。
出力例
2.コンセプト立案
# 「AUBE a.m.」Instagramリール広告動画コンセプト案

## ① コンセプト:「1滴で朝が変わる」

### タイトル
「秒で、肌が目覚める。」

### コンセプト概要
「忙しい朝」の時短を意識しつつ、美容意識は高い彩乃さんのインサイトに直球で応える企画。
洗顔後すぐの「1滴」というシンプルな行為が、肌のコンディションに明確な違いを生む
という効率性と効果実感を、テンポ良くビジュアルで伝える。

### 動画構成
- 5秒:「忙しい朝」のリアル(アラーム→着替え→PC前に座るまでの早回し動画)
- 5秒:「でも、肌だけは手抜きしたくない。」のコピーと共に、AUBE a.m.登場
- 5秒:「1滴。秒で、肌が目覚める。」というナレーションとともに塗布シーン
- 5秒:触れた瞬間にうるおいで満たされる肌のアップ → 「その後の化粧水がぐんぐん浸透」のテロップ

### 訴求軸
- 時短でも“妥協しない”スキンケア
- 「秒で変わる」手軽さと効果実感

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## ② コンセプト:「自分にかける“1分”投資」

### タイトル
「私への朝1分投資。」

### コンセプト概要
「忙しくても美容に手を抜きたくない」という葛藤に寄り添い、
「1分だけなら続けられる」という心理を刺激。
導入美容液という行為そのものを“自分への小さな投資”と捉え直し、
朝のルーティンに組み込みたくなる印象を演出。

### 動画構成
- 冒頭:「その1分、誰のため?」という問いかけコピー
- モノクロ映像で朝支度に追われる主人公 → ナレーション「仕事のため?誰かのため?」
- カラフルに切り替わり、AUBE a.m.使用シーン → 「私の肌のために、私のために。」
- 肌のアップとともに「たった1分で、一日中“キレイな私”へ」の締め

### 訴求軸
- 自己投資感(自分にかける“ご褒美”時間)
- 継続できる簡単さ
- 「習慣化したくなる」気分を高める情緒訴求

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## ③ コンセプト:「朝支度の“新しい常識”」

### タイトル
「洗顔→AUBE a.m. → いつもの私。」

### コンセプト概要
導入美容液という新しいステップを、特別なことではなく「常識」「当たり前」にするアプローチ。
「洗顔後すぐ」がルーティンに自然に組み込まれる未来をビジュアルで想起させ、
製品への心理的ハードルを下げる。

### 動画構成
- 画面にシンプルな工程フロー:「洗顔 → ??? → 化粧水」
- 「ここに、AUBE a.m.」とナレーションとともに導入シーン
- 「洗顔後の新常識」のコピー
- モデルの肌が明らかに変わっていく様子 → 「その後の化粧水が、変わる。」のコピー
- ラストに「洗顔→AUBE a.m.→ いつもの私。」のフレーズで締め

### 訴求軸
- “新習慣”としての提案
- 抵抗感のないシンプルさと工程の短さ
- 「常識」「当たり前」に変える安心感

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## まとめ

| タイトル | 切り口 | メイン訴求 |
|:---|:---|:---|
| 秒で、肌が目覚める。 | 時短×効果実感 | 速攻性・手軽さ |
| 私への朝1分投資。 | 自己投資×情緒訴求 | ご褒美感・継続しやすさ |
| 洗顔→AUBE a.m. → いつもの私。 | 新習慣×安心感 | ステップの自然さ・ルーティン化 |
出力例
3.構成案・台本作成
# Instagramリール広告(15秒)

- **コンセプト**:「1滴で朝が変わる」
- **構成**:AIDA(Attention → Interest → Desire → Action)

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## ■ 台本案

### 【Attention】
- **ナレーション**:「え?スキンケア、秒で終わるの?」
- **シーン描写**:「忙しそうにPCを開く女性の早送り動画 → 手元アップ 
→ AUBE a.m.のボトルが画面中央にパッと切り替わる」

### 【Interest】
- **ナレーション**:「洗顔後すぐ、1滴で肌が目覚める。」
- **シーン描写**:「AUBE a.m.をスポイトで取る手元 → 肌に1滴落とすシーン 
→ 水滴のように肌へなじむ質感アップ」

### 【Desire】
- **ナレーション**:「その後の化粧水が、ぐんぐん入る。」
- **シーン描写**:「モデルが化粧水を塗る → 肌がもっちりする瞬間のアップ 
→ 目を見開いて驚くリアクション」

### 【Action】
- **ナレーション**:「1滴、秒で完成。AUBE a.m.」
- **シーン描写**:「笑顔で肌を触る女性 → ボトルとロゴのエンドカット」
- **ナレーション**:「今すぐチェック。」
- **シーン描写**:「画面中央に『AUBE公式ECで販売中』テロップ 
→ タップ促しの指アイコンを表示して終了」

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## ■ ポイント
- 冒頭フックで「スキンケア=時間がかかる」という思い込みを壊し、視聴者の指を止めます。
- 短時間で“手軽さ”“効果実感”“自分ごと化”をテンポ良く伝えます。
- 最後のCTAで行動促進を明確にします。
出力例
このように、AIとの対話を重ねることで、ゼロから企画を考えるのではなく、AIが出した案を元に思考を整理し、磨き上げていくのがAI時代の企画術です。

【2-2】Part2: 素材生成編

目安の学習時間:30分

企画と台本が完成したら、次は動画を構成する素材をAIで生成します。
今回は、提供された素材を補強し、動画全体のクオリティを高めるための素材をAIで創り出します。

台本を元にAIで素材を創る

前のセクションで作成した台本とコンセプトに基づき、提供された素材だけでは表現しきれない部分をAIで補います。
AI素材の生成手順

【補強画像:ImageFX】

  1. ImageFXを開き、台本やコンセプトを参考に、提供素材だけでは不足する実写そっくりな画像や、抽象的なイメージ画像を生成します。
  2. アスペクト比を9:16に設定し、縦型動画に最適化します。

【アクセント動画:Veo】

  1. 今回は縦長動画なのでGoogle AI Studioを開き、Veo 2モデルを使って短い動画クリップを生成します。例えば、「肌の細胞が潤っていく様子の美しいCGアニメーション」など、より高度なイメージ映像を作成します。
  2. こちらもアスペクト比は「9:16」に設定します。

【ナレーション音声:ElevenLabs】

  1. ElevenLabsを開き、ChatGPTが生成したナレーション台本をペーストして、ターゲットに響く声質で音声を生成します。
AI素材生成の注意点とヒント
  • AIによる動画生成(Veoなど)は、プランによって利用回数に制限がある場合があります。クレジットを消費してしまった場合や温存したい場合は、ImageFXで生成した静止画に編集ソフトで動きを加えることで、動画的な表現を代用できます。賢く使い分けましょう。
  • 一度で完璧な画像が出力されなくても、焦る必要はありません。プロンプトの単語を少し変えたり、スタイルを追加したりと、試行錯誤を繰り返しながら、自身のイメージに近づけていきましょう。
実案件との違いと、今回の課題の狙い
  • 実際の案件では、クライアントから長尺の実写動画素材が提供されるケースも多く、AIで生成する素材はあくまで補助的な役割になることもあります。その方が編集作業は楽な場合が多いです。
  • しかし、今回は「何もない状態から、AIだけでどれだけの表現ができるか」を試す絶好の機会です。
  • AI素材を数多く生成し、それらを組み合わせて1本の動画を創り上げるプロセスは、スキルを飛躍的に向上させます。ぜひ、今回は練習と捉え、様々な素材生成に挑戦してみましょう。
生成した素材例
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【2-3】Part3: 編集・仕上げ編

目安の学習時間:30分

企画・構成、そして素材の準備が整いました。
最後のステップとして、提供された素材とAIで生成した素材を編集ソフトに取り込み、一本の動画として完成させます。

AI機能を駆使して効率的に編集

ここでは、教材4-①で学んだPremiere ProのAI機能などを活用します。
提供された素材と、先ほど生成したAI素材を組み合わせ、効率的に編集を進めていきましょう。
AI活用編集ワークフロー
  1. 編集ソフトに、提供素材(商品写真、ロゴ、関連動画素材)と、Part2で生成したAI素材(ImageFXの画像、Veoの動画、ElevenLabsのナレーション)をすべてインポートします。
  2. まずナレーション音声をタイムラインに配置し、Premiere Proの「スピーチを強調」などの音声補正機能を適用します。
  3. ナレーションのタイミングに合わせ、提供された素材や生成した素材を挿入していきます。
  4. BGMを配置し、Premiere Proの「リミックス」や「自動ダッキング」などの機能で尺と音量バランスを調整します。
  5. Premiere Proの「文字起こしからキャプションを作成」機能を使い、自動で字幕を生成し、デザインを整えます。
  6. 最後に提供された素材とAI生成素材同士のの色味に統一感を出すため、Premiere Proの「カラーマッチ」などのカラー補正機能を適用し完成です。

完成動画の確認

制作例1
制作例2 インスタのオーバーレイフレーム入り
以上が、AIを活用したSNS広告動画制作の基本的なワークフローです。
次の章では、いよいよ自身の力で、オリジナルの動画制作に挑戦します。

これで「2章:【追体験編】プロのAI活用ワークフローを覗いてみよう」の解説を終わります。
次の章に進みましょう。
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