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目次
5章 プロとして活動するためのAI倫理と著作権
この章の目安学習時間:30分
この章で到達できるゴール:
- AI生成物の著作権に関する基本的な考え方を理解できる
- 著作権侵害のリスクと、それを回避するための具体的な方法を説明できる
- クライアントに安心してAI利用を伝えられるようになる
【5-1】AIが書いた文章、著作権は誰のもの?
目安の学習時間:10分
原則:AIに著作権はない
AI活用において、多くの人が気になるのが著作権の問題です。
- 2025年時点での日本の法律における基本的な考え方は、「AI自体には著作権は発生しない」というものです。著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されており、現在のところ、AIの生成物はこれに当たらないと解釈されています。
「人間の創作的寄与」がカギ
では、AIを使って作成した文章は誰のものになるのでしょうか。ここで重要になるのが、「人間の創作的寄与」という考え方です。
- 単にAIに「〇〇について書いて」と指示しただけの文章は、人間の創作的な寄与が少ないと判断され、著作物として認められない可能性が高いです。
- 一方で、人間が独自の工夫を凝らしたプロンプトを与えたり、AIが生成した文章に大幅な加筆・修正を加えたりした場合は、その結果に人間の創作性が認められ、その人間が著作者となる可能性があります。
現状ではまだ判例が少なくグレーゾーンも多いですが、プロンプトの工夫や編集・リライトといった人間のクリエイティビティが、AI時代のライターの権利と価値を守るということを覚えておきましょう。
【5-2】知らないと怖い!著作権侵害のリスクと回避策
目安の学習時間:10分
AIが学習データに含まれる著作物を吐き出してしまうケース
もう一つの注意点が、AIが意図せず他人の著作物をコピーしてしまうリスクです。
AIは、インターネット上の膨大な文章を学習データとしています。そのため、まれに学習データに含まれる既存のブログ記事や小説の一節と酷似した文章を、そのまま生成してしまうことがあります。これに気づかずに公開すれば、意図せず著作権侵害を犯してしまう危険性があるのです。
AIは、インターネット上の膨大な文章を学習データとしています。そのため、まれに学習データに含まれる既存のブログ記事や小説の一節と酷似した文章を、そのまま生成してしまうことがあります。これに気づかずに公開すれば、意図せず著作権侵害を犯してしまう危険性があるのです。
安全に使うための具体的な回避策
プロとして活動するためには、こうしたリスクを未然に防ぐための対策が必須です。
【5-3】クライアントワークでのAI利用と伝え方
目安の学習時間:10分
トラブルを避ける大原則:事前の確認と合意
クライアントワークでAIを利用する際に最も重要なことは、作業を開始する前に、AIツールの利用可否についてクライアントと合意形成をしておくことです。
企業によっては、AI利用に関する独自のガイドラインを設けていたり、AI生成物の利用を禁止していたりするケースもあります。後々のトラブルを避けるためにも、必ず事前に確認しましょう。
企業によっては、AI利用に関する独自のガイドラインを設けていたり、AI生成物の利用を禁止していたりするケースもあります。後々のトラブルを避けるためにも、必ず事前に確認しましょう。
【例文付】クライアントへの伝え方
AIの利用許可を得る際は、単に「AIを使います」と伝えるのではなく、AI活用がクライアントにとってどのようなメリットをもたらすかを合わせて伝えると、よりポジティブな印象を与えられます。
- ポジティブに伝える例文:
「AIを活用し、リサーチや構成案作成を効率化することで、より品質の高い記事執筆や、貴社の事業理解と戦略提案に時間を充てることが可能です。」 - 許可を得る際の例文:
「業務の一部でChatGPTなどのAIツールを利用させていただいてもよろしいでしょうか?なお、生成された文章は必ずファクトチェックと独自の編集を加えた上で納品し、品質については全責任を負いますのでご安心ください。」
このように、プロとしての責任感を示すことが、クライアントとの信頼関係構築に繋がります。
【5-4】5章 -章末課題- [著作権侵害リスクを回避しよう]
問題
前提:
AIを使ってクライアントの記事を作成しました。AIが生成した文章の中に、ある有名な小説の一節とそっくりな表現が見つかりました。
設問:
AIを使ってクライアントの記事を作成しました。AIが生成した文章の中に、ある有名な小説の一節とそっくりな表現が見つかりました。
設問:
- このまま納品した場合、どのようなリスクが考えられますか?(50字以上)
- このリスクを回避するために、具体的にどのような対応をしますか?(100字以上)
解答例
- (リスク)
クライアントのメディアが著作権侵害で訴えられたり、SNSで「パクリ疑惑」として炎上したりするリスクがあります。 - 結果として、クライアントと自身の両方の信頼を大きく損なうことになります。
- (対応)
まず、類似表現が見つかった箇所を完全に削除します。 - その上で、AIに頼らず自分の言葉で、オリジナリティのある表現に書き直します。
- また、念のため記事全体をコピペチェックツールにかけ、他に類似箇所がないか最終確認してから納品します。
これで「5章 プロとして活動するためのAI倫理と著作権」の解説を終わります。 次の章に進みましょう。