2.【共通スキル/必須】AIアシスト ライティング基礎
4章 AI時代の高速リサーチ&ファクトチェック術
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4章 AI時代の高速リサーチ&ファクトチェック術

この章の目安学習時間:40分

この章で到達できるゴール:

  • AIによる情報リサーチのメリットと、危険な「ハルシネーション」のリスクを理解する
  • AIの回答の信頼性を確認し、一次情報源を特定する基本的なファクトチェックができるようになる
  • AIの「嘘」を体験的に学び、プロとして必要な批判的思考を養う

【4-1】AIリサーチの光と闇

目安の学習時間:10分

光:情報収集の圧倒的なスピード

AIの登場により、情報リサーチにかかる時間は劇的に短縮されました。
  • 数時間かかっていたリサーチが数分で終わる
  • 複雑なテーマの概要を素早く掴める
  • 多言語の文献も一瞬で翻訳・要約できる
この「光」の側面を最大限に活用することで、ライターは記事の質を高めるための思考や編集に、より多くの時間を割けるようになります。

闇:ハルシネーション(もっともらしい嘘)の罠

しかし、AIリサーチには注意すべき「闇」の側面も存在します。
それがハルシネーションです。
ハルシネーション(Hallucination)(再掲)
  • 生成AIが、事実に基づかない情報を、あたかも事実であるかのように、もっともらしく生成する現象のこと。「幻覚」とも呼ばれます。
AIは、次に続く確率が高い単語を予測して文章を生成する仕組みのため、事実関係が間違っていても、それらしい文章を作り出してしまうことがあります。このハルシネーションを鵜呑みにして記事を公開すれば、ライターとしての信頼は一瞬で失墜し、炎上などの大きなトラブルに発展するリスクさえあります。

プロのライターとして活動する以上、AIの回答を盲信せず、その真偽を確かめるファクトチェックのスキルが絶対に不可欠です。

【4-2】AIの嘘を見破る!高速ファクトチェック3つのステップ

目安の学習時間:10分

生成AI基礎講座の「生成AIを使う前のルールブック」の内容を復習しましょう!
AIの回答の真偽を確かめるための、基本的なファクトチェックの3ステップです!
ファクトチェックの基本ステップ
  1. ステップ①:一次情報を探す
    • AIの回答はあくまで「仮説」や「手がかり」と捉え、その情報の元となった「一次情報」またはそれに準ずる信頼性の高い情報源を探します。
    • 一次情報とは:出来事の直接的な記録や、研究・調査の当事者が発表したオリジナルの情報のこと。
      • 例:官公庁(省庁、地方自治体など)の公式サイト、公的統計、企業の公式発表(プレスリリース、有価証券報告書など)、学術論文(査読付きのもの)、信頼できる報道機関(新聞社、通信社など)の署名記事、専門機関の報告書など。
    • 検索エンジンで、AIが提示したキーワードや情報の一部を使って検索し、これらの情報源にたどり着けるか試みます。
  2. ステップ②:複数の情報源で裏付けを取る(クロスチェック)
    • 一つの情報源だけを鵜呑みにせず、複数の異なる信頼できる情報源で、同じ情報が述べられているかを確認します(これをクロスチェックと言います)。
    • 特に重要な情報や、疑わしいと感じる情報については、最低でも2~3つの異なるソースで裏付けを取ることが望ましいです。
    • もし情報源によって内容が異なっていたり、肯定的な情報と否定的な情報が混在していたりする場合は、どちらがより信頼性が高いか、なぜ情報が食い違うのかを慎重に検討する必要があります。
  3. ステップ③:情報の鮮度(いつの情報か)を確認する
    • 情報には「鮮度」があります。特に、法律、制度、技術、統計データなどは時間と共に変化します。
    • 記事の公開日、データの調査時期、最終更新日などを確認し、情報が古くなっていないかをチェックします。
    • 古い情報に基づいて判断を下すと、現状とそぐわない結論に至ってしまう可能性があります。できるだけ最新の情報を参照するように心がけましょう。

練習問題

問題
  • 企画書にあった「失敗から学ぶ実践的演習」です。AIの「もっともらしい嘘」を体験してみましょう。
  • AIに対し、「徳川家康がマクドナルドを日本に持ち込んだ、というのは本当ですか?その歴史的背景を詳しく教えてください。」と質問してください。
  • AIはもっともらしい嘘の回答を生成する可能性があります。その回答のどこがおかしいのか、矛盾点を指摘してください。
解答
  • 実際にAIに質問すると、AIによっては「徳川家康が異文化交流に積極的で…」といった、もっともらしい文脈で嘘の情報を生成することがあります。
  • 矛盾点の例:
    徳川家康が生きていた江戸時代(1603年〜)と、マクドナルドの創業年(1940年)や日本上陸年(1971年)には、数百年もの時代のズレがあります。AIの回答には、その矛盾を埋めるための具体的な史料や根拠が一切示されていません。このように、常識や時系列と照らし合わせることが、嘘を見破る一つの方法です。

【4-3】4章 -章末課題- [AIを使って法改正をリサーチしよう]

問題

ライターとして、正確性が特に求められる「法改正」に関するテーマを扱います。この課題を通じて、実践的なファクトチェックのスキルを身につけましょう。
課題:
AIを使って「2025年4月1日から施行される、日本の法律の改正」についてリサーチしてください。
提出物:
AIの回答の「根拠」となった信頼できる情報源(省庁や公的機関のWebサイト)を3つ特定し、そのURLを報告してください。

解答手順

操作手順
  1. AIに「2025年4月1日から施行される、日本の法律改正について、重要なものを3つ教えてください。また、それぞれの情報の根拠となる、省庁や公的機関の公式サイトのURLも必ず提示してください。」と依頼します。
  2. AIが回答した内容と、提示されたURLを確認します。
  3. 提示されたURLに実際にアクセスし、本当にその情報が掲載されているかを確認します。
  4. URLが正しく、信頼できる情報源であることが確認できたものを3つ報告します。
1. 育児・介護休業法の改正(厚生労働省)
概要:育児・介護休業法が改正され、2025年4月1日から段階的に施行されます。改正の主なポイントには、
育児期の柔軟な働き方の実現、介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化などが含まれます。
公式情報源:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf?utm_source=chatgpt.com


2. 特定技能制度の運用改善(出入国在留管理庁)
概要:2025年4月1日から、特定技能制度における各種届出の届出項目や届出頻度の変更を内容とする省令が施行され、
特定技能制度の運用が一部変更されます。
公式情報源:出入国在留管理庁「特定技能制度における運用改善について」
https://www.moj.go.jp/isa/10_00225.html?utm_source=chatgpt.com

3.概要:物流業界の取引環境の適正化を図るため、以下のような改正が行われました。
運送契約締結時等の書面交付義務の導入
委託先の健全な事業運営の確保に資する取組(健全化措置)の努力義務化
実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成・保存義務の導入
公式情報源:国土交通省「改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000014.html?utm_source=chatgpt.com
(AIの出力例)
これで「4章 AI時代の高速リサーチ&ファクトチェック術」の解説を終わります。
次の章に進みましょう。
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