継続パートナーになる
CHAPTER 4
継続パートナーになる
全5レッスン 受注後のチーム制作ルールから、信頼を積むコミュニケーション、対応領域の拡張、単価・条件の見直しまでを整理し、継続的に発注されるパートナーとして立ち回れるようになる ⏱ 所要時間:約110分
CHAPTER 4
チーム制作の基本
LESSON 4-1 継続パートナーになる ⏱ 所要時間:約22分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 命名・バージョン管理・素材・権限の扱いを、依頼元のルールにそろえて作業できる
  • 指示確認・進捗報告・レビュー反映を、共同制作のペースに合わせて行える
  • 納品形式を確認し、期待どおりの形で成果物を納品できる

前のChapterでは、面談から契約に至るまでに確認しておく事項を整理しました。有償トライアルや契約を経て実際に案件を受注したら、次は依頼元のルールにそろえてチーム制作を進める段階に入ります。このレッスンでは、命名・バージョン管理・素材・権限・指示確認・進捗報告・レビュー反映・納品形式という基本を順番に確認します。

初めて外部パートナーとして案件に参加した受講生がいます。これまで学習用に使っていたファイル名のルールのまま素材を納品したところ、依頼元の担当者から、他の制作物と管理番号がそろわず探しにくいと指摘されました。個人で作業していたときのやり方は、そのままチーム制作では通用しません。

完成イメージを確認しよう

このレッスンを終えると、依頼元のルールにそろえて命名・保存されたフォルダとファイルが完成します。まずは、どのような状態を目指すのか、完成イメージを確認しておきましょう。

分類ファイル・フォルダ例
進行中フォルダ案件Aバナー_デザイン案_v1.fig/案件Aバナー_デザイン案_v2.fig
納品用フォルダ案件Aバナー_納品_v3_final.png/案件Aバナー_納品_v3_final.psd
素材フォルダ案件Aバナー_支給ロゴ_原本/案件Aバナー_支給写真_加工前

ファイル名はすべて「案件名_工程名_バージョン番号」の組み合わせで統一されており、進行中・納品用・素材のどのフォルダを見ても、どの工程・どのバージョンかが一目でわかる状態になっています。

完成イメージのように、フォルダとファイル名には共通のルールが一目でわかる形で反映されています。ルールが統一されていると、依頼元の担当者は途中経過のフォルダを見ただけで、どの工程まで進んでいるかを把握できます。逆にルールがそろっていないと、担当者は毎回ファイルを開いて中身を確認する手間が発生し、それだけ確認の負担が増えてしまいます。

事前準備チェック

チーム制作を始める前に、次の2点を確認しておきましょう。準備を整えておくことで、依頼元の担当者に確認の手間をかけずに作業を始められます。

📋 事前準備
  • 依頼元から共有されたファイル命名ルール・フォルダ構成のガイドライン:案件開始時に共有されていないか、契約書やキックオフの連絡を見返して確認します
  • 素材や制作データを保存する共有フォルダ・ツールへのアクセス権限:招待メールが届いているか、ログインできる状態かを事前に確認します

命名規則をそろえる

1
依頼元の命名ルールを確認する

案件を受けたら、まず依頼元にファイル・フォルダの命名ルールが決まっているかを確認します。ルールが用意されている場合は、自己流に変更せずそのまま従います。

命名ルールは、依頼元から共有されたキックオフ資料(Googleドキュメント等)の「制作ルール」や「命名規則」といった項目にまとまっていることが多く、案件名・工程名・バージョン番号をどう組み合わせるかが具体的に指定されています。共有ドキュメントを開く権限を得たら、まずこの記載箇所を確認しましょう。

多くの制作会社や広告代理店では、案件名・工程名・バージョン番号を組み合わせた命名ルールを使っています。個人で学習していたときは自分だけがわかればよい命名で十分でしたが、チーム制作では、他の担当者が見てもどの工程・どのバージョンのファイルかがすぐにわかる必要があります。

✓ Point !
命名ルールがない場合は自分から相談する

依頼元に命名ルールが用意されていない場合、自己流で進めるのではなく、案件名・工程名・バージョン番号を組み合わせた命名案を自分から提案しましょう。ルールを持ちかけること自体が、チーム制作に慣れているという印象につながります。

Q
確認クイズ
依頼元から命名ルールが共有されていない案件を受けた。最も適切な対応はどれか?
正解です!
ルールが用意されていない場合は、命名案を自分から提案しましょう。途中でまとめてリネームすると、進行中に他の担当者が古いファイル名を参照してしまう可能性があります。
惜しい!
正解はBです。自己流のまま進めたり、確認を後回しにしたりすると、進行中に他の担当者が混乱する原因になります。

バージョン管理・素材・権限を整理する

命名がそろったら、次にバージョン管理・素材の扱い・権限の3点を確認します。この3点は、複数人が同じフォルダを触るチーム制作特有の項目で、個人での作業では意識する機会が少ないものです。

確認する3点
バージョン管理
修正のたびに新しいバージョンとして保存するか、同じファイルに上書きするかを依頼元に確認します。
素材の扱い
支給された画像・ロゴ・原稿などを指定フォルダの外に保存せず、加工前と加工後を区別して保存します。
権限
共有フォルダやツールで自分に付与されている権限が閲覧のみか編集可かを確認します。

共有ドライブでは、案件フォルダの中にバージョン別(v1、v2、v3等)の制作物フォルダが用意されていることが多く、フォルダごとに「閲覧のみ」か「編集可」かの権限が個別に設定されています。作業を始める前に、自分がアクセスするフォルダの権限表示を確認しておきましょう。
権限を確認せずに進めると、閲覧権限しかないフォルダにファイルを保存しようとして作業が止まったり、反対に編集権限があるからといって本来触るべきではない他工程のファイルまで変更してしまったりすることがあります。権限の範囲を最初に確認しておけば、依頼元の管理負担を増やさずに作業を進められます。

指示確認・進捗報告・レビュー反映のやり方

命名とファイル管理のルールがそろったら、次は共同制作を進める中でのやり取りの基本を確認します。指示確認・進捗報告・レビュー反映の3つは、いずれも依頼元との認識のずれを防ぐための行動です。

1
指示を受けたら要点を復唱して確認する

指示を受けたら、自分の理解した内容を短くまとめて返信し、認識がずれていないかを確認します。聞いたまま作業を始めると、勘違いに気づかないまま進めてしまうことがあります。

2
決めた頻度で進捗を報告する

依頼元から尋ねられる前に、案件開始時に合意したタイミングで自分から進捗を報告します。先に報告があると、依頼元は他の工程の調整をしやすくなります。

3
レビューの指摘は反映後に一言添えて報告する

レビューで指摘を受けたら、反映した箇所と対応内容を一言添えて報告します。反映したかどうかが伝わらないと、依頼元はもう一度同じ箇所を確認する手間が発生します。

✓ Point !
進捗報告は聞かれる前に送る

進捗を尋ねられてから返信するのではなく、決めた頻度で自分から報告する習慣をつけましょう。連絡がない期間が続くと、依頼元は状況がわからないまま不安を抱えることになります。

納品形式を確認する

制作物が完成したら、最後に納品形式を確認します。ファイル形式・解像度・レイヤー構成などの指定がある場合は、その指定に従います。指定がない場合は、依頼元が扱いやすい形式を確認してから納品しましょう。

納品形式の確認を省略すると、せっかく品質の高い制作物ができていても、依頼元の制作フローにそのまま組み込めず、修正のやり取りが発生してしまいます。命名・バージョン管理・素材・権限をそろえてきた工程が、最後の納品形式のずれで台無しになるのは避けたいところです。

Q
確認クイズ
レイヤーを結合したPNGで納品したところ、依頼元から編集可能なデータで送ってほしいと言われた。この状況を防ぐために、事前にすべきだったことはどれか?
正解です!
納品形式は品質や納期とは別に確認しておくべき項目です。指定がない場合も、依頼元が扱いやすい形式を事前に確認しておくと、修正のやり取りを防げます。
惜しい!
正解はCです。品質や納期を高めても、納品形式が依頼元の制作フローに合っていなければ、修正のやり取りが発生してしまいます。
よくあるつまずき Q&A
命名ルールが案件ごとに違い、覚えきれません。どうすればいいですか?
ルールを暗記する必要はありません。案件ごとに、依頼元から共有された命名ルールをメモに残し、作業を始める前に見返す習慣をつけましょう。
バージョン管理のツールが依頼元によって違います。全部覚える必要がありますか?
ツールの種類を覚えることより、そのツールの中で新しいバージョンをどう保存するかというルールを確認することの方が重要です。ツールが変わっても、確認すべき内容は同じです。
進捗報告の頻度が決まっていない案件では、どのくらいの間隔で送ればいいですか?
案件開始時に依頼元と相談し、報告のタイミングを合意しておきましょう。合意がないまま自己判断で間隔を決めると、依頼元の想定と食い違うことがあります。
SUMMARY
  1. 命名は依頼元のルールにそろえ、ルールがない場合は自分から提案する
  2. バージョン管理・素材の扱い・権限の3点は、チーム制作特有の確認項目である
  3. 指示確認・進捗報告・レビュー反映は、依頼元との認識のずれを防ぐための行動である
  4. 進捗報告は尋ねられる前に、決めた頻度で自分から送る
  5. 納品形式は品質や納期とは別に、事前に確認しておく
CHECK
理解度チェック
命名ルールが用意されていない場合の対応を説明できるか?
自己流で進めず、案件名・工程名・バージョン番号を組み合わせた命名案を自分から提案します。
バージョン管理・素材・権限の3点を確認する理由を説明できるか?
複数人が同じフォルダを触るチーム制作特有の項目であり、確認を怠ると作業の停止や誤った編集につながるためです。
進捗報告とレビュー反映を、依頼元の管理負担を減らす形で行えるか?
決めた頻度で自分から進捗を報告し、レビューの指摘には反映後に対応内容を一言添えて報告します。

CHAPTER 4
信頼を積むコミュニケーション
LESSON 4-2 継続パートナーになる ⏱ 所要時間:約15分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 問題の早期共有・代替案の提示・質問のまとめ方・納期変更時の対応の4点を説明できる
  • 良い対応と避けたい対応を区別できる
  • 場面ごとに、依頼元の管理負担を減らす行動を判断できる

前のレッスンでは、命名やバージョン管理などチーム制作の基本を確認しました。ルールをそろえるだけでなく、日々のやり取りの中でどう振る舞うかも、継続的な信頼につながります。このレッスンでは、問題の早期共有・代替案の提示・質問のまとめ方・納期変更時の対応の4点を、良い対応と避けたい対応を比較しながら確認します。

納期の3日前に、素材が足りず作業を進められないことに気づいた受講生がいます。まだ何とかなるかもしれないと考え、依頼元への連絡を先延ばしにしました。結局、納期当日になって初めて事情を伝えることになり、依頼元には他の工程を調整する時間がほとんど残っていませんでした。

良い対応・避けたい対応を比較する

継続的な信頼は、制作物の品質だけでなく、問題が起きたときの対応の仕方でも決まります。次の4項目について、良い対応と避けたい対応を比較してみましょう。

項目良い対応避けたい対応
問題の早期共有問題に気づいた時点ですぐに共有し、対応の時間を確保するぎりぎりまで自分だけで抱え込み、解決できなくなってから連絡する
代替案の提示問題を共有すると同時に、実行可能な代替案を1つ以上添えて提案する問題だけを伝え、対応方法を依頼元にすべて考えさせる
質問のまとめ方確認したい点を整理し、まとめて一度に質問する気づいた順にその都度バラバラと質問を送る
納期変更時の対応変更が必要になった時点で早めに連絡し、新しい納期の見込みを添える納期を過ぎてから理由を説明する

4項目に共通しているのは、依頼元が状況を知るタイミングです。問題そのものより、いつ知らされるかの方が、依頼元にとっての対応の選択肢を左右します。早い段階で共有されれば、依頼元は納期やリソースを調整する余地が残りますが、直前や事後の共有では、調整できる範囲がほとんどなくなってしまいます。

✓ Point !
問題を共有するタイミングが信頼を左右する

問題が起きたこと自体は、必ずしも信頼を損なう原因にはなりません。問題を抱え込んで報告が遅れることの方が、依頼元の管理負担を増やし、信頼を損ないます。気づいた時点ですぐに共有する習慣をつけましょう。

Q
確認クイズ
制作の途中で、支給された素材の一部が足りないことに気づいた。適切な対応はどれか?
正解です!
気づいた時点ですぐに共有し、代替案を添えて相談することで、依頼元は対応の時間を確保できます。様子を見たり、無断で代用したりすると、依頼元は状況を把握できないまま進んでしまいます。
惜しい!
正解はBです。抱え込んだり無断で代用したりすると、依頼元が状況を把握できないまま時間が過ぎてしまいます。

質問のまとめ方の型

確認したいことが複数あるとき、思いついた順にその都度連絡すると、依頼元は同じ案件について何度もやり取りする必要が生じます。次の型を意識してまとめると、依頼元が短時間で回答しやすくなります。

1
確認したい項目を箇条書きで並べる

その時点で確認したいことをすべて洗い出し、1件ずつ短い文で並べます。

2
それぞれに自分なりの仮説や選択肢を添える

「どうしますか」とだけ聞くのではなく、自分がどう考えているかを添えます。依頼元は選ぶだけで回答できるようになります。

3
回答期限の目安があれば明記する

作業の都合上、いつまでに回答が欲しいかがあれば、あわせて伝えます。目安がなければ無理に付ける必要はありません。

避けたい例
気づいた順にバラバラと送る

次の3通を、別々のタイミングで分けて送ってしまう。

  • A案とB案どちらがいいですか
  • 素材はまだ届きませんか
  • 土日も作業していいですか
良い例
まとめて一度に送る

「①案の方向性、②素材の到着予定、③土日の作業可否の3点を確認したいです。①は個人的にはA案が良いと考えていますが、いかがでしょうか」と1通にまとめて送る。

質問をまとめることは、確認そのものを減らすことではありません。確認する内容は同じでも、まとめ方次第で依頼元が回答にかける手間が大きく変わります。相手の時間を意識した質問のまとめ方を習慣にしましょう。

判断まとめ早見表

ここまでの内容を、実際の場面に当てはめて整理しておきましょう。

こんな場面では意識すべきこと
問題に気づいたときすぐに共有し、代替案を添えて相談する
確認したいことが複数あるときまとめて質問し、自分なりの仮説を添える
納期に間に合わない可能性が出たとき早めに連絡し、新しい納期の見込みを伝える
忙しくて対応が遅れそうなとき早めにその旨を伝え、優先順位を相談する
共通するのは、依頼元が状況を早く知るほど、対応の選択肢が広がるという点
Q
確認クイズ
当初の納期に間に合わない可能性が出てきた。依頼元の管理負担を減らす対応として適切なのはどれか?
正解です!
早めの連絡と新しい見込みの提示は、依頼元が他の工程を調整するための時間を残します。様子見や事後報告は、依頼元の対応できる範囲を狭めてしまいます。
惜しい!
正解はCです。様子見や事後報告、品質を下げての帳尻合わせは、いずれも依頼元が状況を把握する機会を遅らせてしまいます。
SUMMARY
  1. 信頼は制作物の品質だけでなく、問題が起きたときの対応の仕方でも決まる
  2. 問題の早期共有・代替案の提示・質問のまとめ方・納期変更時の対応の4点を意識する
  3. 質問はまとめて送り、自分なりの仮説や選択肢を添える
  4. 共通するのは、依頼元が状況を早く知るほど対応の選択肢が広がるという点
  5. 問題そのものより、報告のタイミングの遅さが信頼を損なう
CHECK
理解度チェック
問題の早期共有・代替案の提示・質問のまとめ方・納期変更時の対応の4点を答えられるか?
この4点です。いずれも依頼元が状況を早く知るほど、対応の選択肢が広がるという考え方に基づいています。
質問をまとめて送るときの型を説明できるか?
確認したい項目を箇条書きで並べ、自分なりの仮説や選択肢を添え、必要であれば回答期限の目安を明記します。
問題が起きたときの良い対応と避けたい対応を区別できるか?
気づいた時点ですぐに共有し代替案を添えるのが良い対応です。ぎりぎりまで抱え込んだり事後報告になったりするのは避けたい対応です。

CHAPTER 4
継続発注と対応領域の拡張
LESSON 4-3 継続パートナーになる ⏱ 所要時間:約15分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 対応領域を広げる前に満たしておくべき条件を説明できる
  • 工程・案件種別・対応量を、小さく広げる進め方で判断できる
  • 稼働予定の共有が拡張にどう役立つかを説明できる

前のレッスンでは、日々のやり取りで信頼を積む方法を確認しました。信頼を積み重ねた先には、継続発注や対応領域の拡張という展開があります。このレッスンでは、拡張前に満たしておくべき条件と、実際に工程・案件種別・対応量を広げていく進め方を確認します。

初回案件を無事に納品した受講生が、すぐに「もっと多くの工程を任せてほしい」と依頼元に伝えました。依頼元にとっては、まだ品質や対応力を判断できる材料が納品物1件分しかなく、返信に困ってしまいました。実績が少ない段階でいきなり対応範囲を広げようとすると、依頼元は判断材料が足りず、話を進めにくくなります。

拡張前に満たすべき条件

工程・案件種別・対応量を広げる相談は、品質が安定してから行います。品質が安定しているかどうかは、次の3点で判断できます。

品質が安定しているかの3つの目安
修正指摘の減少
案件を重ねるごとに、修正の指摘件数が減ってきているか。
納期の遵守
これまでの案件で、納期を毎回守れているか。
自発的な対応
進捗報告やレビュー反映を、指摘されなくても自分から行えているか。

この3点は、いずれも依頼元が確認できる客観的な事実です。自分の感覚だけで「もう任せてもらえるはずだ」と判断するのではなく、実際の修正件数や納期実績を振り返り、依頼元から見ても品質が安定していると判断できる状態になっているかを確認しましょう。

✓ Point !
拡張の相談は依頼元にとっての判断材料が増えてから

依頼元は、実際にやり取りした案件の実績を材料にして、追加で任せる範囲を判断します。案件数が少ない段階での拡張の相談は、判断材料が不足したまま検討を求めることになり、依頼元を困らせてしまいます。

Q
確認クイズ
初回の納品を終えたばかりの受講生が、対応領域を広げてほしいと考えている。まず確認すべきことはどれか?
正解です!
対応領域を広げる相談は、品質が安定してから行います。修正指摘・納期・自発的な対応の3点を振り返り、判断材料がそろっているかを確認しましょう。
惜しい!
正解はBです。実績がまだ少ない段階での相談は、依頼元にとって判断材料が足りない状態になります。

拡張の進め方

品質が安定してきたら、工程・案件種別・対応量を一気に広げるのではなく、小さく広げます。次の表のように、今の対応範囲から一歩分だけ広げる形で相談すると、依頼元も検討しやすくなります。

拡張の種類小さく広げる例
工程を広げるデザインのみ対応していた場合、次はコーディングの一部工程も任せてもらう
案件種別を広げるバナー制作が中心だった場合、次はLPの一部工程も任せてもらう
対応量を広げる今の対応本数から、無理のない範囲で少しずつ本数を増やす

一気に広い範囲を任せてもらおうとすると、依頼元は品質を保てるかどうかの見通しが立てにくくなります。一歩分だけ広げる相談であれば、依頼元は今までの実績と照らし合わせて判断しやすくなり、双方にとって無理のない拡張になります。

拡張の相談とあわせて、稼働予定を共有することも重要です。納品後に、次の期間でどれくらいの稼働時間を確保できるかを伝えておくと、依頼元は今後の発注量を計画に組み込みやすくなります。稼働予定を伝えないまま拡張だけを求めると、依頼元は実際に対応しきれるのかを判断できません。

判断まとめ早見表

ここまでの内容を、状況別に整理しておきましょう。

こんな状況ではとるべき行動
修正指摘が減り、納期も守れている稼働予定を共有し、工程や対応量を少しずつ広げる相談をしてよい
まだ修正が多い、または納期が安定しない今の対応範囲の品質を安定させることを優先する
依頼元から追加の相談が来た対応できる範囲を明確に伝えたうえで受ける
共通するのは、今の対応範囲での実績が、次に広げる範囲の判断材料になるという点
Q
確認クイズ
依頼元から「来月はどのくらい対応できそうですか」と聞かれた。適切な対応はどれか?
正解です!
稼働予定を具体的に伝えることで、依頼元は今後の発注量を計画に組み込めます。無理な回答や回答の先延ばしは、後から対応しきれなくなる原因になります。
惜しい!
正解はCです。無理な回答や判断の先延ばしは、依頼元が発注量を計画できない状態を招きます。
SUMMARY
  1. 対応領域の拡張は、修正指摘の減少・納期の遵守・自発的な対応の3点で品質が安定してから相談する
  2. 工程・案件種別・対応量は、一気にではなく小さく広げていく
  3. 拡張の相談とあわせて、稼働予定を共有すると依頼元が発注量を計画しやすくなる
  4. 実績が少ない段階での拡張の相談は、依頼元にとって判断材料が不足した状態になる
  5. 今の対応範囲での実績が、次に広げる範囲の判断材料になる
CHECK
理解度チェック
拡張前に満たすべき3つの条件を答えられるか?
修正指摘の減少、納期の遵守、自発的な対応の3点です。いずれも依頼元が確認できる客観的な事実です。
工程・案件種別・対応量を小さく広げる進め方を説明できるか?
今の対応範囲から一歩分だけ広げる形で相談します。一気に広い範囲を求めると、依頼元が品質の見通しを立てにくくなります。
稼働予定を共有することの意味を説明できるか?
次の期間でどれくらい対応できるかを伝えることで、依頼元が発注量を計画に組み込みやすくなります。

CHAPTER 4
単価・条件を見直す
LESSON 4-4 継続パートナーになる ⏱ 所要時間:約20分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 役割・難易度・工数・短納期・品質責任・継続量・実績の7項目を根拠として説明できる
  • 単価見直し根拠シートに、自分の現状を整理して記入できる
  • 記入例と交渉トーク例を参考に、見直しの相談を組み立てられる

前のレッスンでは、対応領域を小さく広げていく進め方を確認しました。対応工程が広がり、継続的に発注を受けるようになると、単価や条件そのものを見直すタイミングが訪れます。このレッスンでは、固定相場ではなく、役割・難易度・工数・短納期・品質責任・継続量・実績の7項目を根拠に、見直しの相談を組み立てる方法を確認します。

受注開始時と同じ単価のまま、対応する工程も対応量も増え続けている受講生がいます。忙しさは増しているのに、単価は一度も見直していません。単価を見直してほしいと伝えたい気持ちはあっても、何を根拠に相談すればよいのかわからず、言い出せずにいます。

根拠になる7項目の解説

単価や条件の見直しを相談するときは、世間の相場を根拠にするのではなく、自分自身の状況の変化を根拠にします。次の7項目のうち、自分の状況に当てはまるものを確認しましょう。

根拠になる7項目
役割
単なる作業者ではなく、企画や提案まで担う役割に変わっていないか。
難易度
対応する工程や案件の難易度が、受注開始時より上がっていないか。
工数
1件あたりの作業や確認にかかる時間が増えていないか。
短納期
通常より短い納期の依頼に、どのくらい対応しているか。
品質責任
自分の判断でそのまま納品できる範囲が、どのくらい広がったか。
継続量
継続的に発注を受けている量や期間がどのくらいか。
実績
依頼元の案件で、どのような成果を積み重ねてきたか。

相場だけを根拠にすると、自分がその案件でどれだけの価値を提供しているかが依頼元に伝わりません。7項目のように、受注開始時からの具体的な変化を示すことで、依頼元は単価を見直す妥当性を判断しやすくなります。

✓ Point !
7項目すべてを使う必要はない

7項目のうち、自分の状況に当てはまる項目を選んで使えば十分です。変化がない項目を無理に根拠として並べると、かえって説得力が下がってしまいます。

Q
確認クイズ
単価見直しの根拠として、最も説得力があるのはどれか?
正解です!
依頼元との関係の中で実際に起きた役割や難易度の変化は、単価見直しの根拠として最も説得力があります。相場や個人的な事情は、依頼元にとって判断材料になりにくい根拠です。
惜しい!
正解はBです。相場や他社の単価、個人的な事情は、依頼元との関係の中で起きた変化ではないため、根拠としての説得力が弱くなります。

記入シート:単価見直し根拠シート

7項目それぞれについて、受注開始時と比べて今どう変化しているかを記入しましょう。

役割・難易度・工数・短納期・品質責任・継続量・実績の7項目を記入してください。

項目記入欄
役割
難易度
工数
短納期
品質責任
継続量
実績

入力内容はこのブラウザに保存され、次回このページを開いたときに復元されます。別の端末・ブラウザからは見れません。
ただしブラウザのキャッシュをクリアすると消えてしまうため、大事な内容はメモやNotionにも控えておくと安心です。

記入例と交渉トーク例

記入に迷う場合は、完成イメージと次の記入例、そして交渉トーク例を参考にしてください。

役割当初は指定されたデザインの制作のみだったが、今はラフ案の提案から担当している
難易度単色バナーから、複数パターンのABテスト用バナー制作に対応するようになった
工数1件あたりの確認・修正対応にかかる時間が受注開始時より増えた
短納期月に数件、通常より短い納期の依頼にも対応している
品質責任レビューでの大きな修正がほとんどなくなり、そのまま入稿できる状態で納品している
継続量半年以上、毎月継続して発注を受けている
実績担当したバナーの多くが、継続的に使用されている
SAMPLE 交渉トーク例(継続発注中の担当者向け)

いつも継続してご発注いただきありがとうございます。この半年で、当初のデザイン制作だけでなくラフ案の提案まで担当させていただくようになり、対応する工程や難易度も上がってきたと感じています。継続的にお付き合いさせていただいている中で、単価について一度ご相談できればと思うのですが、お時間をいただけますでしょうか。

この記入例と交渉トーク例に共通しているのは、相場ではなく、受注開始時から自分の中で実際に起きた変化を根拠にしている点です。感謝の言葉から入り、変化を具体的に伝え、相談の機会をもらえるよう依頼する流れにすると、依頼元も落ち着いて検討しやすくなります。

Q
確認クイズ
単価見直しの相談で、最も避けるべき伝え方はどれか?
正解です!
相場や他社の単価との比較は、依頼元との関係の中で起きた変化ではなく、根拠として弱くなります。役割・難易度・工数・短納期・品質責任・継続量・実績のような、自分自身の変化を根拠にしましょう。
惜しい!
正解はAです。それ以外の選択肢はいずれも7項目に含まれる、自分自身の変化を根拠にした伝え方です。
上の記入シートに実際に記入し、単価見直し根拠シートを完成させましょう。
SUMMARY
  1. 単価見直しは役割・難易度・工数・短納期・品質責任・継続量・実績の7項目を根拠にする
  2. 相場ではなく、受注開始時からの自分自身の変化を根拠にする
  3. 7項目のうち、自分の状況に当てはまるものだけを選んで使えばよい
  4. 交渉トーク例は、感謝→具体的な変化→相談の依頼、という流れで組み立てる
  5. 他社の単価や相場との比較は、根拠としての説得力が弱い
CHECK
理解度チェック
単価見直しの根拠になる7項目をすべて答えられるか?
役割、難易度、工数、短納期、品質責任、継続量、実績の7項目です。
相場ではなく自分自身の変化を根拠にすべき理由を説明できるか?
相場だけでは、自分がその案件でどれだけの価値を提供しているかが依頼元に伝わらないためです。受注開始時からの具体的な変化の方が、依頼元にとって判断材料になります。
交渉トーク例の組み立て方を説明できるか?
継続発注への感謝を伝えたうえで、役割や難易度など具体的な変化を示し、相談の機会をもらえるよう依頼する流れで組み立てます。

CHAPTER 4
自分用のパートナー営業計画
LESSON 4-5 継続パートナーになる ⏱ 所要時間:約30〜40分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 営業先種別・提供領域・稼働・営業文・資料・行動量・KPI・改善周期の8項目を含む、自分用のパートナー営業計画を実際に完成させている

課題概要

何を:営業先種別、提供領域、稼働、営業文、資料、行動量、KPI、改善周期の8項目を1枚にまとめた、自分用のパートナー営業計画を完成させます。

なぜ:Chapter0〜4で扱った内容は、それぞれ個別のレッスンとして学びましたが、実際に営業を始めるには、1枚の計画としてつながっている必要があります。この計画があれば、修了後すぐに営業先選びから行動へ移せます。

所要時間:約30〜40分です。これまでのレッスンで作った成果物(会社種別比較表、パートナー適性チェック、営業先選定表、対応範囲シート、提供条件シート、スキルシート、営業文、面談・トライアル確認表、単価見直し根拠シート)を手元に用意してから取り組みましょう。

完了条件チェック

次の8項目すべてに記入があれば、この課題は完了です。

パートナー営業計画の完了条件
営業先種別
Chapter0の会社種別比較表をもとに、営業する会社種別が記入されている。
提供領域
Chapter1の対応範囲シートをもとに、対応できる領域・工程が記入されている。
稼働
Chapter1の提供条件シートをもとに、週・月の稼働時間や最短納期が記入されている。
営業文
Chapter2で作った営業文、またはその要約が記入されている。
資料
Chapter2のスキルシートと、Chapter3の面談・トライアル確認表が準備できている。
行動量
週あたりの営業件数の目安が記入されている。
KPI
営業数・返信・面談・トライアル・継続発注を分けて記録する欄が用意されている。
改善周期
行動量とKPIを振り返るタイミングが記入されている。

記入ガイド

実践課題 4-5

STEP 1:計画シートを用意する

下の表を自分用にコピーし、8項目の記入欄を用意します。

項目記入欄
営業先種別 
提供領域 
稼働 
営業文(要約) 
資料 
行動量 
KPI記録欄 
改善周期 

STEP 2:これまでの成果物を転記する

各Chapterで作った成果物を、対応する項目に転記します。

  1. 営業先種別:Chapter0の会社種別比較表から、狙う会社種別を転記します。
  2. 提供領域・稼働:Chapter1の対応範囲シート・提供条件シートから転記します。
  3. 営業文・資料:Chapter2の営業文・スキルシートと、Chapter3の面談・トライアル確認表から転記します。

STEP 3:行動量・KPI・改善周期を新しく決める

行動量・KPI・改善周期は、これまでの成果物にはない、このレッスンで初めて決める項目です。次の考え方を参考に記入しましょう。

KPI項目記録する内容
営業数送った営業文の件数
返信返信があった件数
面談面談が決まった件数
トライアル有償トライアルに進んだ件数
継続発注継続的な発注につながった件数

行動量は、営業数・返信・面談・トライアル・継続発注を分けて記録することで、どの段階でつまずいているかを把握できるようにします。最初は、募集や制作領域との適合度が高い会社を選び、週5〜10件程度の個別最適化した営業から検証する進め方が参考例になります。

改善周期には、行動量とKPIを振り返るタイミングを自分で決めて記入します。一定の営業件数がまとまったタイミングや、区切りの良い期間ごとなど、自分が続けやすい間隔を選びましょう。

できあがるもの

  • 自分用のパートナー営業計画(このコースの最終成果物)
8項目すべてに記入できたら完了です。コーチに提出し、内容を確認してもらいましょう。
記入に迷ったときは

各項目の隣に、対応するChapter番号を書き添えました。迷ったら該当レッスンを読み返し、そこで作った成果物をそのまま転記するところから始めましょう。

Q
ケース問題
計画どおりに営業を50件送ったが、返信が2件しかない受講生がいる。次にとるべき行動として最も適切なのはどれか?
正解です!
返信がない場合、件数だけを増やさず、営業先の適合、関連作品、稼働明示、文面の簡潔さを先に見直します。返信率には会社種別、募集時期、実績、稼働条件で大きな差があり、保証値はありません。
惜しい!
正解はBです。件数を増やしたり、何もせず様子を見たりするだけでは、返信が伸びない原因を特定できません。
! 注意
行動量・KPIに保証値は置かない

営業件数や返信率は、会社種別、募集時期、実績、稼働条件によって大きな差があります。このレッスンで示した週5〜10件という数字は、あくまで検証を始めるための参考例であり、面談・トライアル・継続発注を保証するものではありません。

完了報告と修了後の接続

パートナー営業計画が完成したら、このコースは修了です。修了条件は、全レッスンの視聴と解説テキストの確認、攻略知識・ケース判断のセルフチェックの完了、そしてこのパートナー営業計画の作成であり、実際の営業送信は必須としません。

計画を確認した後は、案件獲得攻略プログラムの模擬トライアル案件へ進みます。共同制作で求められる納期、レビュー、データ管理、報告を実際に経験しながら、この計画をもとにスキルシートとポートフォリオを補強していきましょう。

Q
ケース問題
パートナー営業計画が完成した受講生が、次に何をすべきか判断しようとしている。適切な行動はどれか?
正解です!
実際の営業送信は修了条件に含まれません。計画をコーチに確認してもらい、案件獲得攻略プログラムの模擬トライアル案件で共同制作の経験を積みながら、計画を随時見直していきましょう。
惜しい!
正解はBです。実際の送信は必須ではなく、計画は固定するものでもありません。コーチへの確認と模擬トライアル案件での経験を通じて更新します。
SUMMARY
  1. パートナー営業計画は営業先種別・提供領域・稼働・営業文・資料・行動量・KPI・改善周期の8項目で構成する
  2. 営業先種別・提供領域・稼働・営業文・資料は、Chapter0〜3で作った成果物を転記してまとめる
  3. 行動量・KPI・改善周期は、営業数・返信・面談・トライアル・継続発注を分けて記録し、振り返るタイミングを自分で決める
  4. 返信が伸びない場合は、件数を増やす前に営業先の適合・関連作品・稼働明示・文面の簡潔さを見直す
  5. 修了条件は視聴・セルフチェック・計画作成であり、実際の送信は必須ではない
  6. 修了後は案件獲得攻略プログラムの模擬トライアル案件へ進み、計画を更新しながらスキルシートとポートフォリオを補強する
CHECK
理解度チェック
パートナー営業計画の8項目を答えられるか?
営業先種別、提供領域、稼働、営業文、資料、行動量、KPI、改善周期の8つです。
このコースの修了条件を答えられるか?
全レッスンの視聴と解説テキストの確認、攻略知識・ケース判断のセルフチェックの完了、自分用のパートナー営業計画の作成です。実際の営業送信は必須ではありません。
返信が伸びないときに、まず見直すべき点を説明できるか?
件数を増やす前に、営業先の適合、関連作品、稼働明示、文面の簡潔さを見直します。返信率には会社種別や募集時期などで大きな差があり、保証値はありません。