- ✓UXは公開して終わりではなく、データで確かめて改善し続けるものだと説明できる(継続改善=7ステップの⑦)
- ✓改善サイクルの4つの工程(データ確認→課題特定→改善→運用)と、回し続ける意味を説明できる
- ✓見る指標・確認の頻度と担当・改善の回し方を決め、改善提案書にまとめられる
前回(5-1)では、リサーチから改善までの成果物を完成一式に統合し、倫理とアクセシビリティの最終チェックまで済ませました。今回は、リフトの予約サービスを公開したあとも良くし続けるための継続改善の仕組みを設計します。仕上げる成果物は、改善提案書です。
第4章の最後では、疑似的なアクセス解析のデータを読み、公開したサービスのどこに課題があるかを見つける練習をしました。実際の現場では、その読み取りを一度で終わらせません。公開したあとも数字を定期的に確かめ、見つかった課題を直し、また数字を見る。この繰り返しが、第1章で学んだUXデザインプロセスの7つ目のステップ、継続改善です。このレッスンでは、リフトの予約サービスを公開したあとに、誰がいつ何を見て、どう改善するのかという仕組みを設計し、改善提案書にまとめます。
公開したら終わりではない(7つ目のステップ)
デザインは、公開した時点が完成ではありません。使う人の行動は、こちらの想定どおりになるとは限らないからです。実際に使われて初めて、予約の途中で離脱が多い画面や、ほとんど見られていない機能が見えてきます。
そこで、公開後も一定の間隔でデータを確かめ、課題を見つけて直す活動を続けます。これが継続改善で、第1章で学んだ7ステップの最後、⑦にあたります。①ゴール定義から⑥検証までで作り上げたものを、公開後も手入れしながら育てる工程です。
このサイクルは、一周して終わりではありません。運用しながらまたデータを確かめ、次の課題を見つけて回し続けます。一度直して満足するのではなく、回り続ける仕組みにしておくことが継続改善の要点です。
公開直後に一度直して終わりにすると、そのあとに現れる課題を見逃します。大事なのは、次にいつ・誰がデータを見るかまで決めて、サイクルが自然に回り続ける状態にしておくことです。仕組みにしておけば、担当が代わっても改善が止まりません。
改善サイクルの4つの工程
改善サイクルは、データ確認・課題特定・改善・運用の4つの工程でできています。それぞれで何をするかを、リフトの予約サービスを例に見ておきましょう。
| 工程 | すること | リフトでの例 |
|---|---|---|
| データ確認 | 決めた指標を定期的に見る | 予約完了率や、離脱の多い画面をアクセス解析で確かめる |
| 課題特定 | 数字から、うまくいっていない所を絞る | 日時選択の画面で離脱が多い。空き状況が分かりにくいのでは、と仮説を立てる |
| 改善 | 課題に対する直す案を作り、反映する | 空き状況をひと目で分かる表示に直す |
| 運用 | 直した状態で使い続け、次の確認に備える | 改善版を公開し、次回のデータ確認まで動かす |
データ確認は、数字を眺めて終わりにしません。離脱が多いという数字から、なぜそうなるのかの仮説まで立てると、次の改善の的が決まります。数字と改善の間に、この課題特定の一歩を必ずはさみます。
データ確認で見るのは、第2章のヒアリングで織田さんと決めた成功指標(KPI)です。折り返し連絡にかかる時間や、体験予約の件数が目標に近づいているかを確かめます。作ったときに決めた目標を、公開後も同じ物差しで測り続けます。
提案書に落とす3つの決めごと
継続改善は、仕組みとして決めておかないと続きません。改善提案書には、あとから読んだ人がそのまま回せるように、3つの決めごとを書きます。
| 決めごと | 書く内容 |
|---|---|
| 見る指標 | 公開後に何の数字を見れば、うまくいっているか分かるか。第2章で決めたKPIと結びつける |
| 確認の頻度と担当 | いつ・誰がデータを見るか。織田さんは1人経営なので、無理なく続けられる頻度にする |
| 改善の回し方 | 課題が見つかったら、どう判断して直し、いつ運用に戻すか。サイクルの回し方を手順で書く |
提案書で決める頻度と担当は、現実に続けられる形にします。1人でジムを回している織田さんに毎日全部の数字を見てもらうのは続きません。月に1回など、無理のない頻度で主な指標だけを見る形にすると、仕組みが止まらずに回ります。
これは、第4章で練習した行動データの読み方を、一度きりの分析ではなく、繰り返す仕組みにしたものです。指標・頻度・回し方の3つを決めておけば、あなたが手を離れても、織田さんが自分で改善を回せます。
演習:改善提案書をまとめる
ここからは実践です。第4章のデータ読解演習で見つけた課題と、第2章で決めたKPIをもとに、公開後の継続改善の仕組みを設計し、改善提案書1枚にまとめます。前の3つの決めごと(見る指標・頻度と担当・改善の回し方)を、そのまま提案書の柱にします。
- ●第4章のデータ読解演習で見つけた課題のメモを、手元に開いておく
- ●第2章のゴール定義シート(成功指標=KPI)を開いておく
- ●改善提案書を書き込む場所(ドキュメントや表)を用意する
STEP 1:見る指標を決める
- 公開後に何の数字を見れば、うまくいっているか分かるかを2〜3個決める
- 第2章で決めたKPI(折り返し連絡の時間・体験予約の件数など)と結びつける
- 第4章で課題が出た画面の数字(例:日時選択画面の離脱)も指標に加える
STEP 2:確認の頻度と担当を決める
- いつ・誰がその指標を見るかを決める
- 織田さんは1人経営なので、毎月1回など無理なく続けられる頻度にする
STEP 3:課題から改善へ回す手順を決める
- 指標を見て課題が見つかったとき、どう判断して直すかを書く
- データ確認→課題特定→改善→運用の4工程を、いつ・どう回すかの手順にする
STEP 4:改善提案書にまとめる
- STEP 1〜3で決めたことを、1枚の改善提案書に整理する(表や箇条書きで可)
- あとから読んだ織田さんが、そのまま改善を回せる書き方になっているか見直す
完了条件(提出物)
この成果物は、章の最後でまとめてコーチに提出しましょう。
- 改善提案書(見る指標・確認の頻度と担当・改善の回し方の3つを含む1枚)
- AI活用メモ:提案書の文章の整形やたたき台づくりをAIに手伝ってもらった場合、どこをAIに任せ、指標や頻度の判断などどこを自分が決めたかを2〜3行で書く
改善提案書は、あなたがいなくても織田さんが自分で改善を回せることを目指して書きます。見る指標・頻度と担当・直し方の手順まで書いておくと、引き継いだ人がそのまま動けます。この提案書は、次のレッスンのプレゼン資料にも、そのまま継続改善の根拠として使えます。