- ✓プレゼンで語るべきものが、画面の見た目ではなく設計判断の根拠(誰のため・何を・どう確かめて直したか)だと説明できる
- ✓主要な設計判断を、根拠→結論の順で1判断1枚に整理し、リサーチから改善までのストーリー順に並べられる
- ✓提出前のセルフチェックリストで自分で点検し、直したうえでプレゼン資料を提出できる
前回(5-2)では、行動データの読解を踏まえて、リリース後の改善提案書を作りました。今回は、リサーチから改善までの成果物一式を、なぜこう設計したかが伝わるプレゼン資料にまとめ、提出します。仕上げる成果物はプレゼン資料で、これが修了制作一式の締めとなり、ルーブリックの評価対象になります。
ここまで、リフトの案件で、織田さんへのヒアリングから始めて、ユーザーインタビュー、要件と価値の定義、情報設計とUIデザイン、プロトタイプでの検証、テスト結果をふまえた改善、そしてリリース後の改善提案までを進めてきました。修了制作の最後にやるのは、その一連の成果を、なぜこう設計したのかが相手に伝わる1つのプレゼン資料にまとめて提出することです。ここで問われるのは画面の美しさではなく、誰のために・何を・どう確かめて直したのかという設計判断の根拠を、順序立てて語れるかどうかです。このレッスンでは、根拠→結論で1枚ずつ組み立て、リサーチから改善までのストーリー順に並べ、提出前にセルフチェックリストで自分で点検してから出す、という手順で進めます。
なぜ根拠を語るプレゼンにするのか
修了制作のプレゼンは、完成した画面を見せる発表会ではありません。相手が知りたいのは、その画面がなぜその形になったのか、という判断の理由です。
語るべき根拠は、これまでの工程がそのまま材料になります。誰のために作ったか(リサーチ)、何をどんな価値として届けるか(要件・価値定義)、なぜこの構造と画面にしたか(情報設計・UIデザイン)、どう確かめてどう直したか(検証・改善)。この流れで説明できれば、聞き手はあなたの設計を理解し、納得できます。
ここに予約ボタンを置きました、という画面の説明だけでは、なぜそうしたのかが伝わりません。その1つ手前にある、どんなユーザーのどんな困りごとに対して、その判断をしたのかまで語ると、設計の根拠になります。
この根拠を語れるかどうかは、修了評価のルーブリックでも見られます。7つの観点のうちプレゼンの観点は、設計判断の根拠を説明できているかを評価するものです。見た目の完成度ではなく、理由を語れることが問われると意識して準備しましょう。
設計判断を根拠→結論の1枚にまとめる
根拠を語る資料は、1つの設計判断を1枚にまとめると分かりやすくなります。1枚に情報を詰め込まず、まず根拠を示してから結論を置く順で組み立てます。
1枚の型はシンプルです。最初に根拠として、リサーチやテストで分かった事実を示します。次に結論として、その事実にもとづいてどう設計・改善したかを書きます。最後に、直したあとどうなったか、どう確かめたかを添えます。この順だと、聞き手は理由を理解してから判断を受け取れます。
| 1枚の並び | その枚で示すこと(リフトの例) |
|---|---|
| ① 根拠 | リサーチ・テスト・データで分かった事実(例:Aさんが予約の時間帯を選ぶ画面で、どこを押すか迷った) |
| ② 結論 | その事実にもとづく設計・改善の判断(例:時間帯を大きなボタンで一覧から選べるようにした) |
| ③ 効果 | 直したあとどうなったか・どう確かめたか(例:再テストで、迷わず時間帯を選べた) |
根拠は、好みや思いつきではなく、これまで作った成果物とひもづけます。インタビュー記録・ペルソナ・要件定義書・テスト記録・データ読解のどれを根拠にしたかを示すと、判断に説得力が出ます。うらづけのない主張は、憶測に聞こえてしまいます。
どの判断を1枚にするかは、工程ごとに主要なものを拾います。ペルソナから決めたこと、要件と価値から決めたこと、情報設計とUIで決めたこと、検証と改善で直したこと。すべてを載せる必要はなく、伝えたい要点にしぼって選びます。
リサーチから改善までのストーリー順に並べる
1枚ずつ作れたら、次は並べ方です。バラバラに見せるのではなく、リサーチから改善までの流れに沿って並べると、1本の物語として伝わります。
並べる順は、これまで進めてきた工程と同じです。背景と誰のため(リサーチ・ペルソナ)から始め、何を・どんな価値か(要件・価値定義)、どう設計したか(情報設計・UIデザイン)、どう確かめて直したか(プロトタイプ・検証・改善)、これからどう続けるか(改善提案)へとつなぎます。聞き手が次に知りたくなる順に並んでいるかを、通して読み返して確かめます。
同じ成果物でも、クライアントの織田さんに説明するのか、講師に成果を示すのかで、強調する要点は変わります。相手を先に決め、一番伝えたいことを1つにしぼると、どの根拠を厚く語るかが決まります。
並べ終えたら、資料が根拠→結論の流れで、リサーチから改善までつながっているかを最後に確認します。この一貫した流れが、あなたの設計判断を1本の物語として伝えます。
演習:プレゼン資料を作り、セルフチェックして提出する
ここからが修了制作の締めです。これまでの成果物一式を、根拠→結論の1枚を積み重ね、リサーチから改善までのストーリー順に並べたプレゼン資料にまとめます。提出の前には、下のセルフチェックリストで、抜けや弱いところがないかを自分で点検してから出します。
提出前に自分で確認する(セルフチェック)
資料が仕上がったら、提出の前に次の5つを自分で確認します。1つでも「できていない」があれば、その場で直してから提出しましょう。
- 誰のため・何を・なぜ作ったのかが、資料の最初のほうで相手に伝わるか
- 各設計判断が、成果物(リサーチ・要件・UI・テスト)で裏づけられているか
- リサーチ→要件→価値→設計→検証→改善のストーリー順に並んでいるか
- 専門用語を、伝える相手に合わせて分かる言葉に言い換えているか
- 想定した時間内(発表の分数)に収まる分量になっているか
このセルフチェックは、提出前に自分で抜けや弱いところに気づくための自己点検です。修了評価とルーブリックの採点、合否の判断は、必ず講師が行います。チェックで気づいた点のうち、どこを直すかを決めるのはあなた自身です。
- ●5-1で統合した修了制作の完成一式と、5-2の改善提案書を、手元に開いておく
- ●プレゼン資料を作るツールを用意する(Googleスライドやnotionがおすすめ。使い慣れた他のツールでも構いません)
STEP 1:伝える相手と要点を決める
- 誰に見せる資料かを決める(クライアントの織田さんに説明する想定か、講師に成果を示す想定か)
- 一番伝えたい要点を1つにしぼる(例:予約の取りづらさを、誰のために・どう解決したか)
STEP 2:各設計判断を根拠→結論で1枚ずつ作る
- 主要な設計判断を工程ごとに洗い出す(ペルソナ→要件・価値→情報設計・UI→検証・改善)
- 1判断を1枚にし、根拠(リサーチ・テストで分かった事実)→結論(だからこう設計・改善した)→効果の順で書く
- 根拠は憶測でなく、インタビュー記録・要件定義書・テスト記録・データ読解などの成果物とひもづける
STEP 3:リサーチから改善までのストーリー順に並べる
- タイトル→背景と誰のため→何を・どんな価値→どう設計→どう確かめて直したか→これからどう続けるか→まとめ、の順に並べる
- 聞き手が次に知りたい順になっているか、通して読み返して整える
STEP 4:セルフチェックリストで点検し、直して提出する
- 上の提出前のセルフチェックの5項目を、資料と各成果物を見ながら1つずつ確認する
- 「できていない」項目があれば、その場で直す
- 何を直し、何を今回は見送るかは自分で判断して修正する
- 整ったら提出する(評価と合否は講師が行う)
完了条件(提出物)
この成果物は、章の最後でまとめてコーチに提出しましょう。
- プレゼン資料(主要な設計判断を根拠→結論で示し、リサーチから改善までのストーリー順に並べたもの)
本番で人に説明する前に、このセルフチェックを1回はさむと、根拠の抜けや、結論だけになっている箇所に自分で気づけます。自分の目で通して読み返せば、納得いくまで何度でも点検し直せます。