ショート動画制作
2章 【実践フロー追体験①】"役に立つ" How-to系ショート動画
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2章 【実践フロー追体験①】"役に立つ" How-to系ショート動画

この章の目安学習時間:2時間

この章で到達できるゴール:

  • How-to系動画で情報を的確に伝えるための構成と編集セオリーを理解できる
  • 高速カット、自動キャプション、アニメーション演出、効果音配置の基本操作ができる
  • 提供された素材から、分かりやすいHow-to系ショート動画を制作できる

【2-1】How-to系動画の編集セオリー

目安の学習時間:20分

短時間で情報を的確に伝えるには

ショート動画の中でも、特に人気と需要が高いジャンルの一つが「How-to系」です。
料理のレシピ、PCの便利ワザ、メイクのテクニックなど、視聴者の「知りたい」「学びたい」という欲求に応えることで、高いエンゲージメントを獲得できます。

How-to系動画で最も重要なのは、限られた時間の中で、情報をいかに分かりやすく、的確に伝えるかという点です。
これを実現するために、以下の3つの要素を意識しましょう。

  • テンポ:不要な「間」を徹底的にカットし、視聴者を飽きさせないスピード感で展開します。操作に行き詰まる様子や無言の時間は、視聴者の離脱に直結します。
  • 視認性:視聴者がどこに注目すれば良いかを、テロップ、ズーム、矢印などで明確に示します。特にスマートフォンの小さな画面で視聴されることを意識し、文字の大きさや色使いにも配慮が必要です。
  • 完結性:動画の冒頭で「何が学べるのか」を明確に提示し、最後にはその内容をしっかり完結させます。視聴者が「見てよかった」「役に立った」と感じられる満足感を提供することが、保存やシェアといった行動に繋がります。

また、1章で学んだ構成術「結承転結」は、How-to系動画で特に効果を発揮します。
最初に「〇〇が簡単にできる方法」という結論(結)を提示し、視聴者の興味を惹きつけてから、具体的な手順(承・転)を解説する流れを基本としましょう。

【2-2】Excel操作解説動画を作ろう

目安の学習時間:1時間10分

ここからは、実際にCapCutを操作しながら、How-to系動画の制作フローを体験していきます。
今回は、架空の「Excelで列と行をきれいに揃える方法」を解説する動画を題材に、4つのステップで編集を進めていきましょう。

STEP1:高速カット割り(ジャンプカット)

まずは、動画の骨格となるカット編集です。
撮影したままの素材には、不要な間や言い間違い、操作の迷いなど、テンポを損なう要素が多く含まれています。
これらを徹底的に取り除き、視聴者がストレスなく見られる状態に整えましょう。

このような、時間や動作の途中をカットして繋ぎ合わせる編集技法を「ジャンプカット」と呼びます。

CapCutでの基本的なカット編集は、「分割」と「削除」の2つの操作で行います。
  1. 素材をタイムラインに配置します。
  2. タイムラインを再生し、カットしたい部分の始点で再生ヘッド(白い縦線)を止め、「分割」ボタンをクリックします。
  3. 次に、カットしたい部分の終点で再度「分割」ボタンをクリックします。
  4. 分割されて独立した不要なクリップを選択し、「削除」ボタンをクリックします
この作業を繰り返し、会話の「えーっと」「あのー」といったフィラーワード(言い淀み)や不要なマウスの動き、操作に詰まった部分などを丁寧に取り除いていきましょう。
効率的にカットするコツ
  • タイムラインを指でピンチアウト(広げる)すると、クリップが拡大され、より細かな編集がしやすくなります。
  • まずは大まかに不要な部分を削除し、その後で細かな「間」を詰めていくと、効率的に作業を進められます。

STEP2:自動キャプションを活用したフルテロップ

カット編集が終わったら、次にテロップを入れていきます。
特にHow-to系の動画では、音声がオフの状態で視聴されたり、後から内容を見返したりすることも多いため、話している内容をすべて文字に起こす「フルテロップ」が非常に有効です。

一つひとつ手作業でテロップを入力するのは大変ですが、CapCutには音声を自動で認識してテロップを生成してくれる「自動キャプション」機能があります。

操作は非常に簡単です。
  1. タイムラインの下にあるメインツールバーから「テキスト」を選択します。
  2. 「自動キャプション」を選択し、音声ソースが正しいことを確認して「生成」をクリックします。
  3. しばらく待つと、音声が認識され、タイムライン上にテロップのクリップが自動で生成されます。
生成されたテロップには、誤字脱字やおかしな区切りが含まれていることがあります。
必ず全体を見直し、不自然な箇所は手動で修正しましょう。
「一括編集」機能を使うと、すべてのテロップを一覧で効率的に修正できます。

修正が終わったら、フォントや文字色、背景などを設定して、読みやすいデザインに整えます。
「スタイル」からデザインを選び、「すべてに適用」にチェックを入れると、全てのテロップに同じデザインを一括で反映させることができます。

STEP3:視覚情報を補うアニメーション演出

テロップが入ったら、次は視聴者の視線を誘導し、理解を助けるための演出を加えていきます。
PC操作の解説動画では、「今どこを説明しているのか」を視覚的に分かりやすく示すことが極めて重要です。

CapCutでは、キーフレームという機能を使うことで、映像の特定の部分をズームしたり、図形を追加して動かしたりすることができます。
  • キーフレームを使ったズームイン・ズームアウト
    例えば、Excelの特定のメニュー項目をクリックする箇所を強調したい場合、そのクリップを選択し、タイムライン上でズームを開始したい位置に再生ヘッドを合わせます。そして、画面右側の調整パネルで「位置とサイズ」の右にあるひし形のキーフレームアイコンをクリックします。これが開始点となります。
    次に、ズームが完了する位置まで再生ヘッドを動かし、プレビュー画面で映像を拡大します。
    すると、自動的に2つ目のキーフレームが打たれ、2点間が滑らかにズームするアニメーションが完成します。
  • 「ステッカー」機能を使った矢印や丸印の追加
    注目してほしい箇所をより明確に示すには、「ステッカー」機能が便利です。
    ツールバーの「ステッカー」から、矢印や集中線などの素材を選び、タイムラインに追加します。
    追加したステッカーもキーフレームを使うことで、動く対象に合わせて追従させることが可能です。

これらの演出を加えることで、動画の「分かりやすさ」が格段に向上します。

STEP4:視聴を飽きさせない効果音の配置

最後の仕上げとして、効果音(SE)を追加します。
効果音は、動画のクオリティを上げ、視聴者を飽きさせないために非常に重要な要素です。

CapCutには、著作権フリーで使える豊富な効果音ライブラリが用意されています。
ツールバーの「オーディオ」から「効果音」を選択し、検索窓からイメージに合う音を探しましょう。

How-to系動画では、以下のような場面で効果音を使うのが効果的です。

  • テロップが表示されるタイミング:「ポコン」「シャキーン」など
  • 画面が切り替わるタイミング:「シュッ」「ビューン」など
  • PCをクリックする操作音:「カチッ」
  • 正解やポイントを提示する場面:「ピコン!」「キラキラ」など
効果音を追加するには、使いたい音源をタイムラインの適切な位置にドラッグ&ドロップするだけです。
配置後は、元の動画の音声(ナレーション)を邪魔しないように、クリップを選択して音量を調整することを忘れないようにしましょう。

適切な効果音は、動画にリズムと楽しさを加え、視聴維持率の向上に貢献します。

【2-3】2章 -章末課題- 「Excel操作解説」ショート動画を模倣しよう

目安の学習時間: 30分

問題

この章の総仕上げとして、How-to系ショート動画の模倣制作に挑戦しましょう。

提供された素材(Excelの画面録画映像とナレーション音声)と、完成見本動画を参考に、「Excelで列と行をきれいに揃える方法」というテーマのショート動画を、この章で学んだ制作フローに沿って完成させてください。

完成見本動画

こちらはWEBCOACHの公式インスタグラムで実際に投稿されたものです。
ツールの違いについて
  • 完成見本はPremiere Proで制作されています。Premiere Proで編集できる方は、見本をそっくりそのまま再現することを目指しましょう。
  • CapCutを使用する方は、完全に同じ再現は難しい部分もありますが、この章で学んだテクニックを駆使して、可能な限り見本に近いクオリティの動画制作に挑戦してください。

素材

要件

  • この章で学んだ制作フロー(高速カット割り → 自動キャプション → アニメーション演出 → 効果音の配置)に沿って、一通り編集を行うこと。
  • 列幅や行の高さを調整している箇所が分かりやすいように、キーフレームを使ったズームや、「ステッカー」による矢印などの視覚補助を合計で3箇所以上入れること。
  • 動画の雰囲気に合ったBGMをCapCutのライブラリから選び、ナレーションの邪魔にならない音量で追加すること。

解答手順

  1. CapCut(またはPremiere Pro)に提供された動画・音声素材を読み込み、タイムラインに配置します。
  2. まず、完成見本を参考に、ナレーション音声に合わせて画面録画映像の不要な部分を「分割」と「削除」でカットし、テンポを整えます。
  3. 「自動キャプション」機能を使い、ナレーションに基づいたフルテロップを生成します。誤字脱字(特に「列」「行」「セル」などの専門用語)を修正し、見本に近いデザインに整えます。参考動画はフルテロップではないですが練習のために付けてみましょう。
  4. Excelのメニューをクリックする箇所や、列全体を選択する箇所など、注目してほしい部分が分かりやすくなるように、キーフレームでズームインさせたり、「ステッカー」機能で矢印などを配置したりします。
  5. 「オーディオ」から動画の雰囲気に合うBGM(例:軽快、知的、ポップなど)を探して追加し、ナレーションの音量を妨げないレベル(-15dB〜-20dB程度が目安)に調整します。
  6. クリック音や、テロップが表示されるタイミング、重要なポイントを説明する箇所に、効果音を見本を参考に配置します。
  7. 全体を通して再生し、テンポや情報の分かりやすさを見本と比較・確認後、エクスポートして完成です

解答例

制作物をチェックしよう
  • 動画全体のテンポは良く、見ていてストレスを感じないカット編集になっていますか?
  • Excelのどの部分を操作しているか、ズームやステッカーで見本を参考に分かりやすく示せていますか?
  • テロップは読みやすく、専門用語(セル、列、行など)に誤字脱字はありませんか?
  • BGMや効果音の音量バランスは適切で、ナレーションの邪魔になっていませんか?
  • (Premiere Proで挑戦した場合)見本のタイミングや演出をどれだけ忠実に再現できましたか?
これで「2章 【実践フロー追体験①】"役に立つ" How-to系ショート動画」の解説を終わります。

次の章に進みましょう。
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