返信・相談から提案へ進める
CHAPTER 3
返信・相談から提案へ進める
全4レッスン 返信パターン別の対応から初回相談の確認事項、価格の考え方、見積り・契約時の注意までを整理する ⏱ 所要時間:約85分
CHAPTER 3
返信パターン別の対応
LESSON 3-1 返信・相談から提案へ進める ⏱ 所要時間:約20分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 返信の6パターンを説明できる
  • パターンに応じて次の行動を判断できる

Chapter2で作った営業文を送ると、相手からさまざまな反応が返ってきます。このChapter3では、返信から相談・提案へと進める流れを扱います。まずこのレッスンで、返信パターンごとの対応方針を確認しましょう。

返信パターンの全体像

営業文への返信は、大きく6つのパターンに分けられます。興味あり、詳細希望、予算不足、時期未定、断り、無返信です。反応の有無だけを見ていては気づけない違いですが、パターンによって次に取るべき行動は大きく異なります。

パターン別の対応方針

パターン次の行動
興味あり初回相談の日程調整に進む。Chapter3-2で扱う確認項目を準備する。
詳細希望提案の前に、相手が知りたい情報(実績・進め方・金額感など)を的確に答える。
予算不足金額を下げるのではなく、対応範囲を調整できないか提案する。難しい場合は無理に引き下げない。
時期未定今は難しくても将来的な可能性があるため、時期を改めて確認できる形で関係を保つ。
断り相手の意思を尊重し、深追いしない。
無返信Chapter4-3で扱う追客の判断基準に従う。同文の連投はしない。
Q
確認クイズ
「予算が厳しい」という返信があった場合の適切な対応はどれか?
正解です!
金額を安易に下げるのではなく、対応範囲を調整できないかをまず検討します。
惜しい!
正解はBです。予算不足の返信には、値下げより前に対応範囲の調整を検討します。

やってはいけない対応

返信対応でやってはいけないこと
断りへの深追い
理由をしつこく尋ねたり、再考を促したりすると、相手の意思を軽視した印象になります。
無返信への同文連投
同じ文面を繰り返し送ると、迷惑な営業という印象を強めてしまいます。
予算不足での即時値下げ
安易な値下げは、その後の案件でも同様の値下げを期待されやすくなります。

判断早見表

6つの返信パターンと次の行動を、早見表として振り返りましょう。

Q
確認クイズ
明確な断りの返信があった場合の対応はどれか?
正解です!
明確な断りには、相手の意思を尊重し、深追いしないことが基本の対応です。
惜しい!
正解はCです。断りへの再考の働きかけは避けるべき対応です。
SUMMARY
  1. 返信は興味あり・詳細希望・予算不足・時期未定・断り・無返信の6パターンに分けて考える
  2. パターンごとに次に取るべき行動を判断する
  3. 断りへの深追い、同文連投、予算不足での即時値下げは避ける
CHECK
理解度チェック
返信の6パターンを答えられるか?
興味あり、詳細希望、予算不足、時期未定、断り、無返信の6つです。
予算不足の返信への正しい対応を説明できるか?
金額を安易に下げるのではなく、対応範囲の調整を検討します。

CHAPTER 3
初回相談で確認すること
LESSON 3-2 返信・相談から提案へ進める ⏱ 所要時間:約25分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 初回相談で確認すべき11項目を挙げられる
  • 自分用の返信後チェックリストを完成できる

興味ありの返信をもらえたら、次は初回相談で必要な情報を確認します。ここで聞き漏らしがあると、提案の段階で条件が食い違い、やり直しが発生しやすくなります。このレッスンで、確認すべき11項目をチェックリストにまとめます。

チェックリスト全体像

返信後チェックリストは、次の11項目を確認欄として並べた表です。

確認項目記入欄
目的 
対象 
現状 
KPI 
納品物 
体制 
予算 
納期 
素材 
決裁者 
権利 

11項目の確認の仕方

初回相談で確認する11項目
目的
何のために依頼したいのかを確認します。
対象
誰に向けた制作物・支援なのかを確認します。
現状
現在の状態(既存サイト・既存アカウントの有無等)を確認します。
KPI
何をもって成功とするかの指標を確認します。
納品物
最終的に何を納品する依頼なのかを確認します。
体制
相手側の担当者・確認フローを確認します。
予算
おおよその予算感を確認します(次のレッスンで価格の考え方を扱います)。
納期
希望する納品時期を確認します。
素材
写真・文章・ロゴ等の素材を相手が用意するか、こちらで手配するかを確認します。
決裁者
最終的に契約を決める人が誰かを確認します。
権利
納品物の著作権・利用範囲について、契約段階で書面化する前提で認識をすり合わせます。

11項目の中でも、決裁者と権利は聞き漏らしやすい項目です。担当者と決裁者が別人の場合、担当者だけと話を進めても契約に至らないことがあります。権利についても、口頭だけで済ませず、次のレッスンで扱う契約書の内容で改めて確認します。

記入例

Chapter1〜2で扱った架空の学習塾「みらい進学ゼミ」から興味ありの返信をもらった場合の記入例です。

確認項目記入内容の例
目的保護者からの問い合わせ導線を増やしたい
対象近隣に住む小中学生の保護者
現状Webサイトを持っていない
納品物公式Webサイト一式
決裁者塾長本人
権利納品後のサイト運用は塾側で行う想定
Q
確認クイズ
初回相談で「決裁者」を確認すべき理由はどれか?
正解です!
担当者だけと話を進めても、決裁者が別にいる場合は契約に至らないことがあるため、早い段階で確認します。
惜しい!
正解はBです。決裁者の確認は契約に直結する重要な項目です。
Q
確認クイズ
初回相談で権利について確認するときの正しい進め方はどれか?
正解です!
初回相談で認識をすり合わせたうえで、契約段階で書面化する前提で進めます。
惜しい!
正解はCです。権利関係は口頭だけで済ませず、契約書での書面化を前提にします。

今すぐ埋めてみよう

演習 3-2

STEP 1:11項目のチェックリストを用意する

セクション1の表を自分用にコピーし、いつでも記入できる状態にしておきます。

STEP 2:架空の初回相談を想定して記入する

Chapter1で選んだ営業先を想定し、11項目を仮の内容で埋めてみます。

できあがるもの

  • 返信後チェックリスト(Chapter3の成果物)
書けたら下の理解度チェックと照らして読み返し、次のレッスンで価格の考え方を確認しましょう。
SUMMARY
  1. 初回相談では目的・対象・現状・KPI・納品物・体制・予算・納期・素材・決裁者・権利の11項目を確認する
  2. 決裁者は担当者と別人の場合があるため、早い段階で確認する
  3. 権利関係は口頭だけで済ませず、契約段階での書面化を前提にする
CHECK
理解度チェック
初回相談で確認する11項目を答えられるか?
目的、対象、現状、KPI、納品物、体制、予算、納期、素材、決裁者、権利の11項目です。
聞き漏らしやすい2項目とその理由を説明できるか?
決裁者と権利です。担当者と決裁者が別人の場合があり、権利関係は口頭だけでは後のトラブルにつながりやすいためです。

CHAPTER 3
価格を考える
LESSON 3-3 返信・相談から提案へ進める ⏱ 所要時間:約20分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 価格に含めるべき要素を挙げられる
  • 時間単価だけで価格を決める場合の見落としを指摘できる

初回相談で予算感を確認したら、実際に提案する価格を考えます。このレッスンでは、業種ごとの相場を示すのではなく、価格を決めるときに考慮すべき要素を整理します。相場は事業内容・地域・条件によって幅が大きいため、この教材では固定の金額を示しません。

価格に含めるべき要素

価格は、作業時間だけで決めるものではありません。次の要素を含めて考えます。

価格に含めるべき要素
作業時間
実際に手を動かす時間です。
設計
制作に入る前の構成・企画にかかる時間です。
打ち合わせ
相手とのヒアリング・確認のやり取りにかかる時間です。
修正
初稿提出後の修正対応にかかる時間です。
管理
進行管理、ファイルのやり取り、スケジュール調整にかかる手間です。
外注
自分で対応できない部分を他者に依頼する場合の費用です。
経費
ツール利用料、素材購入費など、案件にかかる実費です。
利益
事業を継続するために必要な利益分です。
継続性
単発で終わるか、継続支援につながる案件かによって、価格設定の考え方が変わります。

時間単価だけで決める落とし穴

作業時間だけを基準に価格を決めると、設計・打ち合わせ・修正・管理にかかる時間が価格に反映されず、実際に稼働した時間に見合わない金額になりがちです。特に修正対応は、初回の見積り時点では発生時間を見積もりにくく、後から負担が大きくなりやすい要素です。

! 注意
修正回数の上限を決めずに見積もらない

修正対応の回数や範囲を決めずに価格を提示すると、際限のない修正依頼につながることがあります。次のレッスンで扱う見積り・契約の内容の中で、修正回数の上限を明記しましょう。

Q
確認クイズ
作業時間だけを基準に価格を決めることの問題点はどれか?
正解です!
作業時間以外の要素が価格に反映されないと、実際にかかった手間に見合わない金額になりがちです。
惜しい!
正解はBです。作業時間だけの価格設定は、他の要素の見落としにつながります。

価格検討シート

9つの要素を書き出し、価格を検討するためのシートです。金額の記入欄はありますが、この教材では具体的な数値の目安を示しません。自分の作業内容に当てはめて考えましょう。

要素金額・時間の記入欄
作業時間 
設計 
打ち合わせ 
修正(上限回数) 
管理 
外注 
経費 
利益 
継続性の考慮 

判断のための問いかけ

価格に迷ったときは、次の問いかけに沿って考えましょう。

価格判断のための問いかけ
修正の上限を決めたか
上限がないと、際限のない対応につながります。
打ち合わせ・管理の時間を見積もったか
制作以外の時間も価格に含める必要があります。
継続支援につながる案件か
継続が見込める場合、初回の価格設定の考え方が変わります。
Q
確認クイズ
価格検討シートに継続性の項目を含める理由はどれか?
正解です!
単発で終わるか継続支援につながるかによって、初回価格の考え方が変わるため、検討項目に含めます。
惜しい!
正解はBです。継続性は価格設定の考え方に影響する要素です。
SUMMARY
  1. 価格には作業時間・設計・打ち合わせ・修正・管理・外注・経費・利益・継続性を含める
  2. 作業時間だけを基準にすると、他の要素が見落とされやすい
  3. 修正の上限を決めずに見積もらない
  4. この教材は固定相場を示さず、要素を洗い出す価格検討シートで考え方を整理する
CHECK
理解度チェック
価格に含めるべき要素を答えられるか?
作業時間、設計、打ち合わせ、修正、管理、外注、経費、利益、継続性です。
時間単価だけで決める場合の落とし穴を説明できるか?
設計・打ち合わせ・修正・管理にかかる時間が価格に反映されず、実際の手間に見合わない金額になりやすいことです。

CHAPTER 3
見積り・契約・支払いの注意
LESSON 3-4 返信・相談から提案へ進める ⏱ 所要時間:約20分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 書面で確認すべき8項目を挙げられる
  • 契約書に抜けている項目をケースから指摘できる

Chapter3の最後に、見積り・契約・支払いで書面に残すべき内容を確認します。ここまでのレッスンで相談と価格の考え方を整理できても、最終的に書面に残さなければ、後になって認識の違いがトラブルに発展することがあります。

口頭合意だけのリスク

初回相談や電話でのやり取りだけで話を進め、契約内容を書面に残さないまま制作に着手すると、後から「言った・言わない」の水掛け論になりやすくなります。特に修正回数や著作権の扱いは、口頭では曖昧なまま進んでしまいやすい項目です。

書面に残すことは、相手を疑うためではなく、双方の認識を揃えて安心して進めるための手続きです。契約書や発注書のフォーマットが相手側にない場合は、こちらから簡単な合意内容のメールを送り、返信で確認を取るだけでも記録として残せます。

書面確認すべき8項目

書面で確認すべき8項目
業務範囲
どこまでを対応するかを明記します。
対象外
業務範囲に含まれない作業を明記します。
修正
修正の回数上限と、範囲を超えた場合の扱いを明記します。
納期
最終納品日と、素材受け取りなど前提条件を明記します。
支払条件
支払時期・方法・前払いの有無を明記します。
著作権
納品物の著作権がいつ・どちらに帰属するかを明記します。
実績掲載
自分のポートフォリオに実績として掲載してよいかを明記します。
秘密情報
案件を通じて知った情報の扱いについて明記します。

トラブル事例からの学び

架空のケースを通じて、書面確認が抜けるとどうなるかを確認しましょう。

CASE 架空事例:修正回数の認識違い

Web制作者の田中さんは、中小企業のサイト制作を口頭合意のみで着手した。契約書には金額と納期だけを記載し、修正回数は明記していなかった。納品後、クライアントから何度も修正依頼が続き、当初の想定を大きく超える対応時間がかかってしまった。

▼抜けていた項目
・修正の回数上限
・範囲を超えた修正の追加費用の扱い

このケースは、修正という1項目が書面から抜けていただけで、当初の見積り時間を超える負担につながった例です。8項目はどれも、後から発生しやすいずれを防ぐための項目であり、面倒に感じても契約段階で明記しておく必要があります。

Q
確認クイズ
上記の事例で契約書に抜けていた項目はどれか?
正解です!
修正の回数上限が書面に明記されていなかったため、際限のない修正依頼につながりました。
惜しい!
正解はCです。金額と納期は契約書に記載されていましたが、修正回数の記載がありませんでした。

判断早見表

8項目のうち、特に見落としやすいものを早見表にまとめます。

見落としやすい項目
修正
回数上限を決めないと、際限のない対応につながります。
著作権
帰属先を明記しないと、後から利用範囲でもめる可能性があります。
実績掲載
確認せずにポートフォリオへ掲載すると、相手の意向に反する場合があります。
Q
確認クイズ
実績掲載について、契約前に確認すべき理由はどれか?
正解です!
実績掲載の可否を確認せずに公開すると、相手の意向に反してトラブルになる可能性があります。
惜しい!
正解はBです。実績掲載は相手の意向を確認したうえで契約に明記します。
SUMMARY
  1. 口頭合意だけで進めると、後から認識の違いによるトラブルにつながりやすい
  2. 書面では業務範囲・対象外・修正・納期・支払条件・著作権・実績掲載・秘密情報の8項目を確認する
  3. 修正回数の上限、著作権の帰属、実績掲載の可否は特に見落としやすい
CHECK
理解度チェック
書面で確認すべき8項目を答えられるか?
業務範囲、対象外、修正、納期、支払条件、著作権、実績掲載、秘密情報の8つです。
口頭合意だけで進めるリスクを説明できるか?
認識の違いが後から表面化し、水掛け論やトラブルにつながりやすくなります。