顧客・ユーザーの理解と調査手法
マーケティング実践
顧客・ユーザーの理解と調査手法
LESSON 2 Whoを明らかにするカスタマーリサーチ ⏱ 目安時間:90分
レッスン解説動画
GOAL
このレッスンのゴール
  • 商材の「特徴」と「価値」の違いを説明し、商材の価値分析ができる
  • 市場調査における「見込み」の考え方を説明できる
  • 9段階分析を使って、ユーザーニーズを網羅的に洗い出せる
  • ユーザーインタビューの3つの注意点を踏まえて設計できる

Lesson1では、マーケティングを検討する際にまずWho(誰に対して)を明らかにする必要があることを確認しました。
このレッスンでは、Whoを明らかにするための具体的な調査手法=カスタマーリサーチを学びます。

ここで学ぶ調査の結果(=調査サマリ)は、次のLesson3で作成する「ペルソナ」「カスタマージャーニーマップ」の土台になります。

カスタマーリサーチとは何か

目安の学習時間:5分

カスタマーリサーチとは、「誰に売るか」を明らかにするために、商材と市場と顧客を調べる一連の活動のことです。
ここでは、次の4つの観点から進めます。

観点目的
① 商材の価値分析商材の特徴から「誰に価値があるか」を考える
② 市場調査その商材が売れる「見込み」の大きさを把握する
③ ユーザーニーズの分析(9段階分析)想定される顧客のニーズを網羅的に洗い出す
④ ユーザーニーズの分析(ユーザーインタビュー)実際の声から潜在ニーズや課題を深掘りする

これら4つの調査結果を1つの調査サマリとしてまとめておくと、次のLesson3でペルソナやカスタマージャーニーマップを作る際の根拠として使えます。

商材の価値分析

目安の学習時間:10分

「誰に対して」を考える最初のステップは、商材の価値を分析することです。
ここで大事なのは、「商材の価値」をいきなり考えるのではなく、まず「商材の特徴」を洗い出すことです。

✓ Point !
特徴は「誰に対して」で価値に変わる

商材の特徴そのものには優劣がありません。
「◯◯という特徴があるから、△△な人には価値がある」というように、対象を当てはめて初めて特徴は価値に変わります。
この考え方は次のLesson4「提供価値の定義」でも使います。

特徴は対象が決まって価値になる

例えば、「軽くて小さく折りたためる傘」という特徴で考えてみましょう。

対象(誰に対して)生まれる価値
荷物を減らしたい通勤者持ち運びやすく、鞄の中でかさばらない長所になる
風の強い地域に住む人骨組みが少なく壊れやすいという短所になる

同じ「軽くて小さい」という特徴でも、当てはめる対象が変われば長所にも短所にもなります。
だからこそ商材の価値分析では、特徴を洗い出した後に必ず「誰に対して」を当てはめて考えます。

市場調査

目安の学習時間:10分

次に、その商材を売るための「見込み」=市場を調べます。
この教材では、市場を単純な「商材を使う人の総数」ではなく、「その商材が売れる見込みのある範囲」として捉えます。

例えば、靴を履く文化のない地域であっても、その地域に「靴が売れる見込み」があれば、そこは市場として成立します。
市場規模を正しく捉えることで、その商材の売れる可能性そのものが変わってきます。

ユーザーニーズの分析:認知段階の切り分け

目安の学習時間:15分

商材を売るには、その商材へのニーズが存在している必要があります。
ニーズを網羅的に把握する方法の一つが、顧客がその商材にどれくらい気づき、向き合っているかという「認知の深さ」で状態を切り分ける考え方です。
ここではその考え方を、9つの段階として整理します。

段階顧客の状態
1その商材の必要性そのものにまだ気づいていない
2必要性には気づいているが、一時的な悩みだと考えている
3一時的ではないと分かっているが、まだ何も対策をしていない
4解決策をいくつか検討し始めている
5検討を重ね、選択肢についてかなり詳しくなっている
6実際に対策(購入・利用)を始めた
7お気に入りはあるが、より良いものを探し続けている
8今使っているものに満足している
9いろいろ試したが、満足できるものにまだ出会えていない
認知段階を段階的に切り分ける9段階のステップ

この9段階は「これが正解」という唯一の型ではなく、ニーズを見落とさず網羅的に洗い出すためのチェックリストとして使うものです。
次のLesson3でカスタマージャーニーマップを作る際、顧客がこの9段階のどこにいるかを意識すると、各接点での状態を捉えやすくなります。

ユーザーニーズの分析:ユーザーインタビュー

目安の学習時間:20分

9段階分析のような仮説での網羅に加えて、実際のユーザーの声から潜在ニーズや課題を深掘りする手法がユーザーインタビューです。
設計・実施する際は、次の3点が重要です。

重要な点具体的な進め方
信頼関係の構築当日までの電話・メール等のやり取りに加え、当日も相手の話を遮らずゆっくり引き出す
質問を事前に用意する想定時間以上の質問量を用意し、形式的な質問ではなく会話の形で進める
バイアスをかけずオープンエンドで聞く「はい/いいえ」で終わる誘導的な質問を避け、相手に文章で答えてもらう形にする
Q
確認クイズ
ユーザーインタビューで避けるべき質問の仕方はどれか?
正解です!
誘導的でクローズドな質問は、相手の本音を歪めてしまいます。
バイアスをかけずオープンエンドで聞くことが重要です。
惜しい!
正解はBです。
誘導的でクローズドな質問は本音を引き出せません。
それ以外は望ましい進め方です。

習熟度確認課題

知識として理解した状態から、実際の題材に活かせる状態に引き上げるための課題です。

課題 — 調査サマリの作成(目安の学習時間:30分)

任意の商品・サービスを1つ選び、次の4項目を1枚の調査サマリにまとめましょう。

1
商材の価値分析

選んだ商材の特徴を洗い出し、「誰に対して」を当てはめて価値に変換します。

2
市場調査

単純な利用者数ではなく、実際に売れる見込みの大きさを把握します。

3
9段階分析

認知段階のチェックリストを使い、ニーズを網羅的に洗い出します。

4
ユーザーインタビュー設計(想定質問リスト)

信頼関係の構築・事前準備・オープンエンドな質問の3点を踏まえて設計します。

上記4項目をまとめた調査サマリを作成してみましょう。次のLesson3でペルソナとカスタマージャーニーマップを作る際に、そのまま使用します。

SUMMARY
  1. カスタマーリサーチは、商材の価値分析・市場調査・9段階分析・ユーザーインタビューの4つで構成される
  2. 商材の価値は「特徴」を「誰に対して」に当てはめて初めて生まれる
  3. 市場調査では、単純な人数ではなく「売れる見込み」の大きさを把握する
  4. 9段階分析は、ニーズを網羅的に洗い出すためのチェックリストとして使う
  5. ユーザーインタビューでは、信頼関係の構築・事前準備・オープンエンドな質問の3点が重要
CHECK
理解度チェック
商材の「特徴」と「価値」の違いを説明できるか?
特徴はそのままでは優劣を持たず、「誰に対して」を当てはめることで初めて価値になります。
市場調査で見るべき「見込み」とは何か説明できるか?
単純な利用者数ではなく、その商材が実際に売れる可能性のある範囲・規模のことです。
ユーザーインタビューで避けるべき質問の仕方を説明できるか?
欲しい回答に誘導するような、「はい/いいえ」で答えられるクローズドな質問です。