- ✓マーケティング分析ではなく、予約体験の良し悪しを見るUXの観点で競合を分析する意味を説明できる
- ✓予約体験のフロー(探す→選ぶ→予約→確認)を、迷わず進めるか・不安を感じないかの視点で評価できる
- ✓競合で見つけた良いUIパターンを、自分の設計や次の第3章のUI設計に活かす候補として選べる
前回(2-3)では、ユーザーインタビューでリフトのお客さまのニーズをインタビュー記録にまとめました。今回は、競合の予約サービスをUXの観点で分析します。仕上げる成果物は、競合UX/UI分析シートの1点です。
前回のユーザーインタビューで、リフトのお客さまが予約のどこで困っているのかが分かりました。では、世の中の予約サービスは、その困りごとをどう解決しているのでしょうか。試しに美容室をスマホで予約してみると、空き時間がひと目で分かり確認メールまで迷わず届く店もあれば、日付を選んだ後に電話案内へ飛ばされ手が止まる店もあります。この章でやるのは、こうした他社の予約サービスを実際に自分で触り、迷わず不安なく終えられるかという体験の良し悪しを、探す・選ぶ・予約・確認の段階ごとに分解することです。価格や強み弱みを比べるマーケティング分析でも、見た目の第一印象でもなく、なぜ良いのか・どこでつまずくのかを言葉にして、リフトに取り入れられるUIパターンを見つけます。そのパターンは、次の第3章でリフトに合う形へ作り替えて、UI設計に活かします。
UXの観点で競合を分析する
競合分析にはいくつかのやり方がありますが、ここでは予約体験の良し悪しを見るUXの観点で行います。
| 観点 | マーケティング分析 | UXの観点で見る競合分析 |
|---|---|---|
| 見るもの | 価格・シェア・強み弱み | 予約までの体験の流れ |
| 中心の問い | どう競争で勝つか | 迷わず予約でき、不安なく終えられるか |
| 使いみち | 事業の戦略づくり | 自分の設計を良くするヒント |
どちらも競合を見る点は同じですが、目的が違います。この講座で行うのは、利用者として体験し、自分の設計に活かすための分析です。クライアントにあの店のようにしたいと言われても、体験のどこが良いのかを分解できれば、見た目のまねに留まらず、リフトに合う形へ置き換えて提案できます。
きれいかどうかで測ると、マーケティング寄りの印象評価に流れます。迷わず予約できるか、不安を感じないかという体験の良し悪しを評価軸に据えましょう。
競合サービスを2〜3件選ぶ
分析する競合は2〜3件に絞ります。多すぎると1件ずつの観察が浅くなり、比べる軸もぶれます。
選ぶ軸は業種ではなく、予約という同じ体験があるかどうかです。他ジムに加えて、スマホ予約が使いやすい美容室やクリニックも良い教材になります。大手の高機能なアプリだけでなく、リフトと規模の近いサービスも1件混ぜると、1人で運営しても無理のない形が見えてきます。
画面写真を眺めるだけでは、体験は分かりません。予約を最後まで自分で試せるサービスを選ぶと、迷いや不安を自分で確かめられます。
体験フローを触って評価する
競合を決めたら、利用者になったつもりで予約を最後まで操作します。体験は、探す・選ぶ・予約・確認の4つの段階に分けて見ます。
どの段階でも確かめるのは、迷わず進めるかと、不安を感じないかの2点です。実際に操作すると、画面写真では気づけないつまずきが見つかります。
良し悪しは、画面を眺めるだけでは判断できません。予約完了まで実際に操作すると、どこで手が止まり、どこで不安になるかがはっきり分かります。
各段階でつまずきが出やすい所
各段階では、次のようなつまずきが起こりやすくなります。分析の手引きとして使いましょう。
| 段階 | 迷いが出やすい所 | 不安が出やすい所 |
|---|---|---|
| 探す | 予約の入口がどこか分からない | 情報が古く、今も営業しているか判断できない |
| 選ぶ | 空き状況がひと目で分からない | 料金や所要時間が直前まで分からない |
| 予約 | 入力する項目が多く、手が止まる | 個人情報の扱いが書かれていない |
| 確認 | 予約できたのか画面で分からない | 確認の連絡やリマインドがない |
気づいたことは、良い所も悪い所も、なぜそう感じたのかまで書き添えます。この見方は、自分が作った予約画面を見直すときにもそのまま使え、同じ2つの問いを自分の設計に向けると、独りよがりな作りに早く気づけます。
良いUIパターンを次に活かす
分析の目的は、悪い所を見つけることだけではありません。良い所を見つけ、なぜ良いのかを言葉にすることが、次の設計につながります。
良いと感じた画面は、なぜ迷わず不安がなかったのか、というUIの工夫まで分解します。ここで見つけた良いパターンが、次の第3章でリフトのUIを設計するときの手がかりになります。競合のどのパターンをなぜ採り入れたのかを言えると、面接やクライアントへの説明でも、思いつきではない根拠のある提案になります。
参考にするだけでは、自分の設計には移せません。どんな工夫が迷いや不安を減らしたかまで書けば、リフトに合う形へ作り替えられます。
競合UX/UI分析シートをつくる(演習)
ここまでの見方を使って、競合を2〜3件、実際に触って分析します。気づきは、1枚の競合UX/UI分析シートにまとめます。
ステップ1:競合を2〜3件選ぶ
- 他ジムの予約サイトに加え、スマホ予約が使いやすい美容室・クリニックなどから2〜3件選ぶ
- 自分で予約の操作を最後まで試せるサービスを選ぶ(実際に操作できず、紹介記事やスクリーンショットしか見られないものは避ける)
ステップ2:体験フローを触って記録する
- 各サービスで、探す・選ぶ・予約・確認の順に最後まで操作する
- 各段階で、迷わず進めたか・不安を感じなかったかをメモする
ステップ3:気づきを分析シートにまとめる
- 体験フロー・良い点・改善余地・自分の設計に活かす点、の4欄で整理する
- 良い点は、なぜ良いのか(どんなUIの工夫か)まで書き添える
近所の美容室・ネイルサロン・歯科クリニックのスマホ予約を実際に使うと、身近な題材で分析できます。リフトと同じく、1人から少人数で運営する店の予約を選ぶと、規模の近い工夫が見つかります。
完了条件(作成物)
- 競合2〜3件分の競合UX/UI分析シート(体験フロー・良い点・改善余地・自分の設計に活かす点を含む)
- 各競合で、探す→選ぶ→予約→確認のどこで迷いや不安が出たかが読み取れること
- 良い点のうち少なくとも1つは、次の第3章のUI設計で取り入れたい候補として印をつけておく
進め方のヒント
- 完璧な網羅より、迷いや不安が生まれた瞬間を具体的に押さえることを優先する
- 良い点と改善余地は、なぜそう感じたのか、理由まで書く
- 価格やシェアの比較には寄らず、予約体験の良し悪しに絞る
このシートで見つけた良いUIパターンには、印をつけておきましょう。次の第3章では、その良いパターンをリフトに合わせて作り替えながら、UIを自分の手で設計します。すぐ次のレッスンでは、競合がニーズをどう満たしているかを踏まえ、リフトのユーザー像を1枚にまとめるペルソナとジャーニーマップに進みます。