第2章
競合UX分析 — 予約体験を触って評価する
レッスン 2-4 UXリサーチと要件定義 ⏱ 所要時間:約90分
GOAL
このレッスンのゴール
⏱ 約90分
  • マーケティング分析ではなく、予約体験の良し悪しを見るUXの観点で競合を分析する意味を説明できる
  • 予約体験のフロー(探す→選ぶ→予約→確認)を、迷わず進めるか・不安を感じないかの視点で評価できる
  • 競合で見つけた良いUIパターンを、自分の設計や次の第3章のUI設計に活かす候補として選べる
通し課題

前回(2-3)では、ユーザーインタビューでリフトのお客さまのニーズをインタビュー記録にまとめました。今回は、競合の予約サービスをUXの観点で分析します。仕上げる成果物は、競合UX/UI分析シートの1点です。

前回のユーザーインタビューで、リフトのお客さまが予約のどこで困っているのかが分かりました。では、世の中の予約サービスは、その困りごとをどう解決しているのでしょうか。試しに美容室をスマホで予約してみると、空き時間がひと目で分かり確認メールまで迷わず届く店もあれば、日付を選んだ後に電話案内へ飛ばされ手が止まる店もあります。この章でやるのは、こうした他社の予約サービスを実際に自分で触り、迷わず不安なく終えられるかという体験の良し悪しを、探す・選ぶ・予約・確認の段階ごとに分解することです。価格や強み弱みを比べるマーケティング分析でも、見た目の第一印象でもなく、なぜ良いのか・どこでつまずくのかを言葉にして、リフトに取り入れられるUIパターンを見つけます。そのパターンは、次の第3章でリフトに合う形へ作り替えて、UI設計に活かします。

UXの観点で競合を分析する

競合分析にはいくつかのやり方がありますが、ここでは予約体験の良し悪しを見るUXの観点で行います。

観点マーケティング分析UXの観点で見る競合分析
見るもの価格・シェア・強み弱み予約までの体験の流れ
中心の問いどう競争で勝つか迷わず予約でき、不安なく終えられるか
使いみち事業の戦略づくり自分の設計を良くするヒント

どちらも競合を見る点は同じですが、目的が違います。この講座で行うのは、利用者として体験し、自分の設計に活かすための分析です。クライアントにあの店のようにしたいと言われても、体験のどこが良いのかを分解できれば、見た目のまねに留まらず、リフトに合う形へ置き換えて提案できます。

✓ Point !
評価軸は体験の良し悪し

きれいかどうかで測ると、マーケティング寄りの印象評価に流れます。迷わず予約できるか、不安を感じないかという体験の良し悪しを評価軸に据えましょう。

Q
確認クイズ 1/3
競合の予約サービスを調べます。UXの観点での分析にあたる進め方は、次のどれでしょう?
正解です!
UXの観点では、利用者として予約を最後まで操作し、迷いや不安がどこで生まれるかを確かめます。料金やシェア(A・C)はマーケティング分析、見た目の印象だけ(D)は体験の評価になりません。
惜しい!
UXの観点は、実際に予約を操作して体験の良し悪しを見ることです(B)。料金比較やシェア推測(A・C)はマーケティング分析、見た目の印象づけ(D)は体験の評価ではありませんでした。

競合サービスを2〜3件選ぶ

分析する競合は2〜3件に絞ります。多すぎると1件ずつの観察が浅くなり、比べる軸もぶれます。

競合の選び方。中心にリフトの予約サービスを置き、直接競合の他ジムと、予約体験が近い美容室・クリニック等を配置。選定基準は、予約という同じ体験がある・スマホで最後まで予約できる・自分で操作できること
図:業種の一致より、予約という同じ体験を持ち、自分で最後まで操作できるサービスを選ぶ。

選ぶ軸は業種ではなく、予約という同じ体験があるかどうかです。他ジムに加えて、スマホ予約が使いやすい美容室やクリニックも良い教材になります。大手の高機能なアプリだけでなく、リフトと規模の近いサービスも1件混ぜると、1人で運営しても無理のない形が見えてきます。

✓ Point !
自分で操作できるものを選ぶ

画面写真を眺めるだけでは、体験は分かりません。予約を最後まで自分で試せるサービスを選ぶと、迷いや不安を自分で確かめられます。

体験フローを触って評価する

競合を決めたら、利用者になったつもりで予約を最後まで操作します。体験は、探す・選ぶ・予約・確認の4つの段階に分けて見ます。

どの段階でも当てる2問:迷わず進めるか/不安を感じないか
1
探す
サービスを見つける
2
選ぶ
日時とメニューを決める
3
予約
情報を入力して確定する
4
確認
予約できたと分かる
予約体験は4段階。どの段階でも「迷わず進めるか」「不安を感じないか」の2問で評価する。

どの段階でも確かめるのは、迷わず進めるかと、不安を感じないかの2点です。実際に操作すると、画面写真では気づけないつまずきが見つかります。

✓ Point !
触らないと分からない

良し悪しは、画面を眺めるだけでは判断できません。予約完了まで実際に操作すると、どこで手が止まり、どこで不安になるかがはっきり分かります。

各段階でつまずきが出やすい所

各段階では、次のようなつまずきが起こりやすくなります。分析の手引きとして使いましょう。

段階迷いが出やすい所不安が出やすい所
探す予約の入口がどこか分からない情報が古く、今も営業しているか判断できない
選ぶ空き状況がひと目で分からない料金や所要時間が直前まで分からない
予約入力する項目が多く、手が止まる個人情報の扱いが書かれていない
確認予約できたのか画面で分からない確認の連絡やリマインドがない

気づいたことは、良い所も悪い所も、なぜそう感じたのかまで書き添えます。この見方は、自分が作った予約画面を見直すときにもそのまま使え、同じ2つの問いを自分の設計に向けると、独りよがりな作りに早く気づけます。

Q
確認クイズ 2/3
ある予約サイトを触ると、日時を選ぶ画面に空き状況がどこにも表示されず、希望を送ってからでないと空いているか分かりませんでした。これは主に、どの段階の、どんな問題でしょう?
正解です!
空き状況が分からず日時を決められないのは、選ぶ段階で迷わず進めない問題です。探す(A)や確認(C)とは段階が違い、体験の流れに関わるので見た目だけの問題(D)でもありません。
惜しい!
日時を選べないのは、選ぶ段階のつまずきです(B)。探す(A)や確認(C)は別の段階で、空きが分からず選べないのは体験の問題なので、見た目だけ(D)でもありませんでした。

良いUIパターンを次に活かす

分析の目的は、悪い所を見つけることだけではありません。良い所を見つけ、なぜ良いのかを言葉にすることが、次の設計につながります。

1
競合を触って評価する
2
良いUIの工夫を抜き出す
空き状況の一覧・確認メールの安心設計
3
自分の設計のヒントにする
4
次の第3章でUI設計の参考候補に
良いと感じた所を、リフトに取り入れられるUIパターンとして持ち帰り、次章のUI設計に活かす。

良いと感じた画面は、なぜ迷わず不安がなかったのか、というUIの工夫まで分解します。ここで見つけた良いパターンが、次の第3章でリフトのUIを設計するときの手がかりになります。競合のどのパターンをなぜ採り入れたのかを言えると、面接やクライアントへの説明でも、思いつきではない根拠のある提案になります。

✓ Point !
良い理由まで言葉にする

参考にするだけでは、自分の設計には移せません。どんな工夫が迷いや不安を減らしたかまで書けば、リフトに合う形へ作り替えられます。

Q
確認クイズ 3/3
競合の予約アプリで、予約後すぐ確認メールが届いて安心できました。この気づきを自分の設計に活かすとき、最も良い進め方はどれでしょう?
正解です!
良い体験は、なぜ良かったのかを分解してこそ自分の設計に移せます。規模の調査(A)はマーケティング分析、見た目のまね(C)や丸ごとコピー(D)では、安心を生んだ工夫は再現できません。
惜しい!
大事なのは、安心につながった理由を分解して取り入れることです(B)。規模調べ(A)はマーケティング寄り、見た目のまね(C)や丸ごとコピー(D)では、体験の良さは再現できませんでした。

競合UX/UI分析シートをつくる(演習)

ここまでの見方を使って、競合を2〜3件、実際に触って分析します。気づきは、1枚の競合UX/UI分析シートにまとめます。

演習 2-4

ステップ1:競合を2〜3件選ぶ

  • 他ジムの予約サイトに加え、スマホ予約が使いやすい美容室・クリニックなどから2〜3件選ぶ
  • 自分で予約の操作を最後まで試せるサービスを選ぶ(実際に操作できず、紹介記事やスクリーンショットしか見られないものは避ける)

ステップ2:体験フローを触って記録する

  • 各サービスで、探す・選ぶ・予約・確認の順に最後まで操作する
  • 各段階で、迷わず進めたか・不安を感じなかったかをメモする

ステップ3:気づきを分析シートにまとめる

  • 体験フロー・良い点・改善余地・自分の設計に活かす点、の4欄で整理する
  • 良い点は、なぜ良いのか(どんなUIの工夫か)まで書き添える
競合が思いつかないときは

近所の美容室・ネイルサロン・歯科クリニックのスマホ予約を実際に使うと、身近な題材で分析できます。リフトと同じく、1人から少人数で運営する店の予約を選ぶと、規模の近い工夫が見つかります。

完了条件(作成物)

  1. 競合2〜3件分の競合UX/UI分析シート(体験フロー・良い点・改善余地・自分の設計に活かす点を含む)
  2. 各競合で、探す→選ぶ→予約→確認のどこで迷いや不安が出たかが読み取れること
  3. 良い点のうち少なくとも1つは、次の第3章のUI設計で取り入れたい候補として印をつけておく

進め方のヒント

  • 完璧な網羅より、迷いや不安が生まれた瞬間を具体的に押さえることを優先する
  • 良い点と改善余地は、なぜそう感じたのか、理由まで書く
  • 価格やシェアの比較には寄らず、予約体験の良し悪しに絞る

このシートで見つけた良いUIパターンには、印をつけておきましょう。次の第3章では、その良いパターンをリフトに合わせて作り替えながら、UIを自分の手で設計します。すぐ次のレッスンでは、競合がニーズをどう満たしているかを踏まえ、リフトのユーザー像を1枚にまとめるペルソナとジャーニーマップに進みます。

CHECK
理解度チェック
マーケティング分析とUXの観点での競合分析の違いを説明できる
マーケティング分析は価格・シェア・強み弱みを比べ、事業の戦略づくりに使います。UXの観点での競合分析は、予約体験の流れを利用者として触り、迷わず予約でき不安なく終えられるかを見て、自分の設計を良くするために使います。評価軸が体験の良し悪しである点が核でした。
予約体験のフローを、評価軸に沿って分析できる
探す・選ぶ・予約・確認の4段階を、実際に予約完了まで操作します。各段階で、迷わず進めるか・不安を感じないかの2つの問いを通し、気づいた所はなぜそう感じたのかまで書き添えます。触って初めて、画面写真では気づけないつまずきが見つかるのでした。
競合の良いUIパターンを、自分の設計と次の工程に活かせる
良いと感じた画面は、なぜ迷いや不安が少なかったのか、というUIの工夫まで分解します。参考にするだけで終わらせず、リフトに合う形へ作り替えられる状態にします。ここで印をつけた画面が、次の第3章でUIを設計するときの参考になります。