- ✓ヒアリングで引き出す4つの対象(ビジネス目標・成功指標・スコープ・制約)を説明できる
- ✓オープンとクローズドの質問と掘り下げを使い分け、専門用語を相手に伝わる言葉へ言い換えられる
- ✓クライアント役(織田さん)へのヒアリングから、ヒアリング記録とゴール定義シートを作成できる
前回(2-1)では、織田さんの依頼書を読み解き、読解メモと質問リストを作りました。今回はその質問を、クライアント役の織田さんに実際にぶつけてヒアリングします。仕上げる成果物は、ヒアリング記録とゴール定義シートの2点です。
前回の質問リストを手に、いよいよ織田さんとの初回打ち合わせです。ところが予約をラクにしたいと言われたきり話が進まず、こちらがワイヤーフレームと切り出すと、織田さんはきょとんとして聞き返してきます。相手はトレーニングのプロで、ITやデザインの言葉には馴染みがありません。この章でやるのは、その織田さんから、ビジネスのゴールと、どうなれば成功と言えるかの数字(KPI)を引き出し、ゴール定義シート1枚にまとめることです。話を広げて掘り下げて確認するという順で質問し、専門用語は相手に伝わる言葉へ言い換えながら聞き取ります。要望をそのまま書き取るのでも、専門用語で押し切るのでもなく、相手の言葉で聞きながらゴールの中身を一緒に決める、その聞き方を実際のヒアリングで身につけます。
ヒアリングで持ち帰るものを先に決める
ヒアリングは、思いついた順に質問することではありません。何を持ち帰るかを先に決めておくと、聞き漏らしが減ります。
引き出す対象は、ビジネス目標・成功指標(KPI)・スコープ・制約の4つです。この4つが埋まれば、次に作るもののゴールが定まります。
目的だけでなく、どうなったら成功かを数字で聞くのが要点です。予約対応をラクにしたいという要望で止めず、何がどれだけ変われば成功かまで引き出すと、後の判断基準になります。
打ち合わせの前に、前回の質問リストをこの4つの対象に振り分けておきましょう。持ち帰る項目を先に決めておくと、雑談が続いても話を本題に戻せて、後日の聞き直しも減らせます。
広げて掘って確認する質問の技法
相手が自由に話せるように広げ、要点を掘り下げ、最後に認識を確認する。この順番が質問の基本です。
序盤はオープン質問で状況を広く聞き、あいまいな答えには具体例をたずね、なぜを重ねて数字の目標まで掘ります。最後にクローズド質問で認識を合わせます。
予約をラクに、のような答えで止めず、どのくらい・何件・何分と数字が出るまで掘り下げます。数字が出れば、それがそのまま成功指標になります。逆に、はい・いいえで答えさせる質問ばかりだと、相手の本音ではなくこちらの仮説を確認するだけになります。
質問はオープンで始めてクローズドで締める、と意識しましょう。技法を意識して切り替えると、同じ時間でも引き出せる話の深さが変わります。
ここで用語を整理します。オープン質問は、はい・いいえでは答えられない自由回答の問いです。困っている場面を教えてください、のように相手に語ってもらい、事実やエピソードを引き出します。クローズド質問は、はい・いいえや選択で答える問いで、決済は今回は不要ですね、のように認識を確認するときに向いています。序盤で広げるときはオープン、終盤で固めるときはクローズド、と場面で切り替えます。
織田さんの言葉で話す(専門用語を使わない)
どんなに良い質問でも、言葉が通じなければ答えは返りません。専門用語は、相手に伝わる言い方へ言い換えます。
| つい使う専門用語 | 織田さんに伝わる言い方 |
|---|---|
| ワイヤーフレーム | 画面のざっくりした下書き |
| ペルソナ | どんなお客さまを想定するか |
| スコープ | 今回つくる範囲 |
| 成功指標(KPI) | どうなったら成功と言えるか |
| UI | お客さまが見て触れる画面 |
相手の仕事や日常に置き換えて話すと、さらに伝わります。伝わったかどうかは、相手の反応で確かめるようにしましょう。
用語を言い換えても、伝わったかは相手の表情や返事で分かります。きょとんとされたら、別の言い方や身近な例に置き換えて言い直します。分かったふりのまま進めると、後で認識のズレになります。
専門用語を避け、相手が毎日使っている言葉で聞くことを意識してください。この言い換えの力は、エンジニアや他職種との打ち合わせでも効き、専門が違う相手とも同じイメージを共有できます。
演習:Gem①にヒアリングしてゴール定義シートにまとめる
ここからは実践です。クライアント役の織田さんを生成AIに演じてもらい、これまでの聞き方を使ってヒアリングします。相手はAIなので、何度でも遠慮なく質問をやり直せます。
クライアント役(織田さん)を設定する
織田さん役は、設定済みのAI(Gem①)が演じます。下のボタンから開いて、そのまま話しかけられます。相手はAIなので、何度でも遠慮なく質問をやり直せます。
ボタンから設定済みのGemが開きます。Googleアカウントでのログインが必要です。
実在する個人が特定できる情報や、業務上の機密は入力しないでください。
- ●前回(2-1)の読解メモと質問リストを、手元に開いておく
- ●上のボタンから Gem①(織田さん役)を開けるよう、Googleアカウントでログインしておく
- ●ゴール定義シートを書き込む場所(メモ帳やドキュメント)を用意する
STEP 1:織田さん役(Gem①)を開く
- 上の「💬 Gem①を開く」ボタンから、設定済みの織田さん役を開く
- AIが「はじめまして」と返したら、ヒアリング開始の準備が整った合図です
STEP 2:質問リストを使ってヒアリングする
- Gemとの対話は、音声入力を活用して実際の会話のように進める
- 前回作った質問を、オープン質問から順にぶつける
- あいまいな答えは具体化し、成功の基準は数字が出るまで掘り下げる
- 専門用語は、織田さんに伝わる言葉へ言い換える
- 最後に要点を復唱し、この理解で合っているかをクローズド質問で確認する
STEP 3:ゴール定義シートにまとめる
引き出した内容を、次の5項目に整理します。空欄が残ったら、それが次に聞くべき質問です。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| ビジネス目標 | このサービスで織田さんが達成したいこと |
| 成功指標(KPI) | 達成できたと判断する具体的な数字 |
| スコープ | 今回つくる範囲(やること・やらないこと) |
| 制約 | 守るべき条件(画面・ブランド・営業体制など) |
| ターゲット | 対象となるお客さま(オーナーの言葉と、後のリサーチで確認する実像のメモ) |
完了条件(作成物)
- ヒアリング記録(織田さん役との対話ログ。オープン質問から具体化・掘り下げ、クローズドで確認までの流れと、数字を引き出した部分を含む)
- ゴール定義シート(上の5項目を記入したもの)
- AI活用メモ:どこをAI(織田さん役)に任せ、どこを自分が質問設計・言い換え・判断したかを2〜3行で明記
本番の初回打ち合わせの前に、このAIリハーサルを1回はさむと、質問の抜けや専門用語のクセに自分で気づけます。緊張する本番の練習台として、何度でも使えるのが強みです。