第3章
UI設計とスタイルガイド — ワイヤーフレームに見た目を与え、ルールとして残す
レッスン 3-5 情報設計とUI設計 ⏱ 所要時間:約180分
GOAL
このレッスンのゴール
⏱ 約180分
  • カラー・フォント・余白のルールと、ボタンなどコンポーネントの状態を定義できる
  • 支給ロゴとブランドカラーの制約を守り、ワイヤーフレームに見た目を与えてリフトのUIを仕上げられる
  • 決めたルールをスタイルガイドに一覧化し、ニールセンの10原則やコントラストで自己点検できる
通し課題

前回(3-4)では、予約フローを中心にリフトのワイヤーフレームを作りました。今回はそこに色・文字・部品を与えてUIを仕上げ、決めたルールをスタイルガイドに残します。仕上げる成果物は、UIデザイン(Figma)とスタイルガイドの2点です。

このレッスンでやるのは、前回のワイヤーフレームに色・文字・部品を与えて、リフトの予約サービスのUIを最後まで仕上げることです。ワイヤーフレームは、どこに何を置くかを決めた灰色の下書きでした。ここに、深緑 #2F5D50オフホワイト #F6F1E7のブランドカラー、読みやすい文字、押せると分かるボタンを載せて、実際の画面に近づけます。この見た目は、好みで決めるのではありません。第2章で定義したリフトの価値と要件を、画面の形で実現するために決めます。第1章で学んだUXデザインの7ステップでいえば、ここは④のUIデザインにあたります。ただし、見た目を整えるだけでは終わりません。決めた色・文字・ボタンのルールを、あとから何度でも使い回せる形で1つにまとめます。これがスタイルガイドです。3-2で学んだUIの基礎知識と、人がどう見て理解するかという認知の性質を、ここで実際のデザインに当てはめます。仕上がりの使いやすさと、画面をまたいだ一貫性。その両方を、支給されたロゴとブランドカラーの制約を守りながら形にするのが、この180分のゴールです。

この工程で作るもの(UIデザインとスタイルガイド)

この工程で作るものは2つあります。1つは、ワイヤーフレームに色・文字・部品を与えて仕上げたUIデザイン。もう1つは、そのとき決めたルールを1つにまとめたスタイルガイドです。画面を作るだけなら1つ目で足りそうに見えますが、あとから画面が増えても迷わないために、2つ目を必ずセットで作ります。

見本:ワイヤーフレーム → UI(同じ配置に、色・文字・部品という「見た目」を与える)
ワイヤーフレーム(灰色の下書き)
UI(見た目を与えたあと)
スタジオを予約する
日時:3月10日(月) 10:00
人数:1名
予約する

配置(レイアウト)は左右で同じ。変わるのは色・文字・部品という見た目だけです。この見た目のルールをまとめたものが、次に出てくるスタイルガイドです。

スタイルガイドは、この画面で使う色・文字の大きさ・余白の取り方・ボタンなどの部品の見た目を、一覧にした決めごと集です。デザインを進めるたびに色をなんとなく選び直したり、ボタンの形が画面ごとに変わったりすると、全体がちぐはぐになります。先にルールを決めて記録しておけば、どの画面でも同じ判断を繰り返せます。

✓ Point !
ルールにするから一貫する

一貫性は、気をつけようという心がけからではなく、決めて記録したルールから生まれます。予約ボタンの色を1度決めてスタイルガイドに書けば、次の画面でも同じ色を使えます。画面が10枚に増えても、そのつど悩まずに済み、直しが出ても1か所を直せば全体に効きます。

使いやすさと一貫性は、別々のものではありません。同じ操作がいつも同じ見た目なら、利用者は一度覚えた操作を使い回せて、迷いが減ります。作り手にとっても、判断の基準が1つにそろうので、仕上げが速くなります。スタイルガイドは、その基準を自分と、あとで見る人(エンジニアや将来の自分)に渡すためのものです。

土台のルールを決める(カラー・フォント・余白)

UIを仕上げる前に、土台となる3つのルールを先に決めます。カラー・フォント・余白です。この3つを最初にそろえておくと、あとの画面づくりが速くなり、仕上がりもばらつきません。

カラー:ブランドカラーを役割で割り当てる

色は、数を絞って役割ごとに割り当てます。リフトのブランドカラーは、深緑 #2F5D50オフホワイト #F6F1E7の2色が指定されています。深緑を予約ボタンや見出しなど目立たせたい要素に、オフホワイトを画面の背景に使う、というように役割を決めます。色を役割で固定すると、利用者は「深緑は押せるところ」と自然に学び、操作の手がかりになります。下のパレットが、この工程で使う色を1か所にまとめたものです。

見本:リフトのカラーパレット(各色を 見本+HEX+名前+使いどころ で)
ブランドカラー(固定・変えない)
プライマリ/深緑
#2F5D50
予約ボタン・見出し・強調したい要素
背景/オフホワイト
#F6F1E7
画面全体の背景・広い面
機能の色(どのUIにも要る色を最小限だけ)
サーフェス/白
#FFFFFF
カード・入力欄など前面の面
テキスト/墨(濃いグレー)
#333333
本文の文字
アクセント/朱
#C2402F
入力エラー・注意など気づかせる表示だけ

ブランドカラーの2色は約束事として固定します。足すのは、どの画面にも要る「文字・面・注意」の色だけ。飾りで色を増やさないのがコツです。

! 注意
支給ロゴとブランドカラーは変えない

支給されたロゴは、色を変えたり、縦横比を崩したり、影や飾りを足したりしてはいけません。渡された形のまま置きます。ブランドカラーも指定どおり、深緑 #2F5D50オフホワイト #F6F1E7を使います。これは見た目の好みではなく、リフトというお店の約束事です。勝手に明るい緑にしたり別の色を足したりすると、お店の印象がぶれて信頼を損ないます。

フォントと余白:読みやすさは「そろえる」ことで作る

フォントは、読みやすいゴシック体を1つ選び、見出しと本文で大きさを2〜3段階に分けます。本文は16px以上を目安にすると、スマホでも無理なく読めます。余白は、要素と要素の間隔を8pxの倍数などの基準でそろえます。間隔がばらばらだと画面が雑然として見えるので、決めた基準を繰り返し使って整えます。

見本:タイポグラフィ(実際の大きさ・太さで表示)
見出し(大)/24px/太字 スタジオを予約する
見出し(中)/18px/太字 予約内容の確認
本文/16px/標準 日時と人数を選んで、予約に進みます。
補足/13px/標準 キャンセルは利用日の前日まで無料です。
見本:余白スケール(8ptベース/バーの長さが実際の間隔)
8px 最小の間隔(アイコンと文字の間など)
16px 文字のかたまりどうしの間
24px 見出しと本文の間
32px セクションどうしの間
✓ Point !
迷ったら「そろえる」

フォントの大きさも余白も、種類を増やすほど散らかります。段階を少なく決めて、同じ役割には同じ値を使い回すと、それだけで整って見えます。人は、そろっているものを「きちんとしている」と感じます。凝った装飾より、そろえることのほうが読みやすさに効きます。

Q
確認クイズ 1/3
深緑 #2F5D50の予約ボタンに、ボタンの中の文字を載せます。文字色として最も適切なのはどれでしょう?
正解です!
暗い背景の上の文字は、明るい色にして十分なコントラストを確保します。文字と背景の明るさの差が小さいと読めず、使いにくくなります。白やオフホワイト系の明るい色が向きます。
惜しい!
背景が暗い深緑なので、同じ深緑や濃いグレー(B・D)では文字が読めません。ロゴやブランドカラーを勝手に作り変える(C)のも禁止です。明るい色でコントラストを確保するAが正解です。

コンポーネントの状態を設計する

ボタンや入力欄は、1つの見た目だけでは足りません。3-2で学んだとおり、同じ部品でも「今どうなっているか」で見た目を変える必要があります。この状態のルールを決めておくのが、UI設計のもう1つの土台です。3-1で参考アプリを模写して作った引き出しは、ボタンの形や状態の付け方を決めるときの手本になります。

見本:予約ボタンの4状態(実物)
予約する
通常
予約する
ホバー/フォーカス
予約する
押した後(沈む)
予約する
無効(押せない)
見本:入力欄の3状態(実物)
お名前(未入力)
山田 太郎
お名前(入力中)
山田 太郎
メールアドレス(エラー)
yamada@
メールアドレスの形式が正しくありません

ボタンなら、通常・押せる合図が出た状態(ホバーやフォーカス)・押した後・押せない状態(無効)を用意します。たとえば予約の必須項目が埋まっていない間は、送信ボタンを薄いグレーの無効状態にして、まだ押せないことを見た目で伝えます。入力欄なら、入力中はふちが色づき、間違いがあれば赤いふちと短い注意文を出す、というように状態を決めます。

✓ Point !
状態は「見て分かる」ことがすべて

状態を分ける目的は、飾りではなく、利用者に今の状況を伝えることです。押せるのか押せないのか、入力は合っているのか間違っているのか。これが色や形の違いで一目で分かれば、利用者は迷わず操作できます。状態ごとの見た目も、いったん決めたらスタイルガイドに書いて、全画面で同じにそろえます。

Q
確認クイズ 2/3
予約フォームで、必須項目がまだ入力されていません。送信ボタンの見せ方として適切なのはどれでしょう?
正解です!
無効状態を用意すると、まだ押せないことが見た目で伝わり、押してから怒られる無駄が減ります。ボタンを消す(C)と、次に何をすればよいか分からなくなります。状態の違いで今の状況を伝えるのがコツです。
惜しい!
通常と同じ見た目(A)だと、押せると思って押してからエラーで戻され、手間になります。消したり点滅させたり(C・D)も混乱のもと。薄いグレーの無効状態(B)で、押せないことを静かに伝えます。

UIを仕上げて自己点検する

土台のルールと部品の状態が決まったら、ワイヤーフレームに当てはめてUIを仕上げます。仕上げたら、決めたことをスタイルガイドに一覧化し、最後に自己点検します。この3つ(適用・一覧化・点検)を1セットで進めます。

まず、3-4のワイヤーフレームに、決めた色・文字・部品を載せて予約フローの画面を仕上げます。このワイヤーフレームは3-3で作った画面フローに沿っているので、順番どおりに仕上げれば、予約の流れがそのまま画面になります。次に、使った決めごとをスタイルガイドに並べます。下の表が、スタイルガイドに載せる項目の目安です。各項目に「どこで使うか」を1行添えておくと、あとで見た人がそのまま使えます。

項目決めることリフトでの例
カラーメイン・ベース・文字色の役割メイン=深緑 #2F5D50、背景=オフホワイト #F6F1E7、文字=墨 #333333
フォント書体と、見出し・本文の大きさゴシック体1つ、本文16px以上で2〜3段階
余白要素の間隔をそろえる基準8pxの倍数で間隔をそろえる
コンポーネントボタン・入力欄などの見た目と状態予約ボタン(通常・押せる・押した後・無効)、入力欄

最後に自己点検です。3-2で学んだニールセンの10原則のうち、予約サービスで特に効く観点で見直します。予約の途中で今どこにいるか分かるか(システム状態の可視化)、間違えても戻れるか(利用者の操作の自由)、画面ごとに用語やボタンがそろっているか(一貫性)の3点です。あわせて、文字と背景のコントラストが十分か、ボタンが押せると見て分かるかも確認します。

見本:リフトのスタイルガイド(この1枚に配色・文字・部品・余白を集約)
カラー
プライマリ 深緑 #2F5D50 背景 オフホワイト #F6F1E7 サーフェス 白 #FFFFFF テキスト 墨 #333333 アクセント 朱 #C2402F
タイポグラフィ
見出し 24px 小見出し 18px 本文 16px 補足 13px
コンポーネント(予約ボタンの状態)
通常 ホバー 押下 無効
余白(8ptベース)
8px 16px 24px 32px

この1枚があれば、どの画面でも同じ色・文字・部品・余白で作れます。これがスタイルガイド=再利用できるルールの集まりです。

Q
確認クイズ 3/3
画面が増えてきて、予約ボタンの色を変えたくなりました。スタイルガイドを作っておく利点として、最も適切なのはどれでしょう?
正解です!
ルールを1つにまとめておくと、変更もその1か所で済み、全画面に同じ判断が行き渡ります。これが一貫性です。スタイルガイドは提出物であり、あとで見る人と共有するためのものでもあります。
惜しい!
画面ごとに自由に変える(A・C)と、見た目がばらついて使いにくくなります。スタイルガイドの利点は、ルールを1か所にまとめて一貫性を保てること(B)。作り手だけのメモではなく、共有する提出物です。

演習:リフトのUIとスタイルガイドを仕上げる

ここからは実践です。前回のワイヤーフレームを土台に、これまで決めたルールを当てはめて、リフトのUIデザインとスタイルガイドを仕上げます。5つのステップで進めます。

演習 3-5
📋 事前準備
  • 前回(3-4)で作ったワイヤーフレームを、Figmaで開いておく
  • 支給物(ロゴ・ブランドカラー指定・店舗写真・料金表)を手元にそろえる
  • スタイルガイドを並べる場所(Figmaの1ページ、または別ファイル)を用意する

STEP 1:カラー・フォント・余白のルールを決める

  • ブランドカラー(深緑 #2F5D50オフホワイト #F6F1E7)を、メインとベースに役割で割り当てる
  • 見出しと本文の文字の大きさを2〜3段階で決める(本文は16px以上
  • 要素の間隔を、8pxの倍数などの基準でそろえる

STEP 2:ボタンなどコンポーネントの状態を定義する

  • 予約ボタンの通常・押せる合図(ホバー/フォーカス)・押した後・無効の見た目を決める
  • 入力欄・日時の選択カードなど、繰り返し使う部品の見た目と状態をそろえる

STEP 3:ワイヤーフレームに適用してUIを仕上げる

  • 3-4のワイヤーフレームに、決めた色・文字・部品を載せて予約フローの画面を仕上げる
  • 支給ロゴは渡された形のまま置く(色変更・変形はしない)

STEP 4:スタイルガイドに一覧化する

  • 決めたカラー・フォント・余白・コンポーネントを、1つの場所に並べる
  • 各項目に「どこで使うか」を1行添える

STEP 5:ニールセンの10原則とコントラストで自己点検する

  • 予約の途中で今どこにいるか分かるか、間違えても戻れるか、画面がそろっているかを確認する
  • 文字と背景のコントラストが十分か(深緑 #2F5D50の上の文字が読めるか)を確認する
  • ボタンが押せると見て分かるか、押せない状態と区別できるかを確認する

完了条件(提出物)

この成果物は、章の最後でまとめてコーチに提出しましょう。

  • UIデザイン(予約フローの主要画面。ブランドカラー・支給ロゴ・文字・部品の状態を反映したもの)
  • スタイルガイド(カラー・フォント・余白・コンポーネントを一覧化したもの)
  • 自己点検メモ:ニールセンの10原則とコントラストで見直して気づいた点と、直した点を2〜3行で書く

UIデザインとスタイルガイドは、修了評価のUIデザイン観点(20点)に直結する成果物です。凝った装飾より、ルールをそろえて一貫させることと、支給ロゴ・ブランドカラーの制約を守ることを優先してください。ここで作ったスタイルガイドは、次の章のプロトタイプづくりでもそのまま使えます。

CHECK
理解度チェック
カラー・フォント・余白のルールを決められる
色は数を絞り、深緑 #2F5D50をメイン(ボタン・見出し)、オフホワイト #F6F1E7をベース(背景)のように役割で割り当てます。フォントは読みやすいゴシック体を1つ選び、見出しと本文で大きさを2〜3段階に。本文は16px以上。余白は8pxの倍数などの基準でそろえます。迷ったら「そろえる」が要点でした。
コンポーネントの状態(通常・押せる・押せない)を定義できる
ボタンは通常・押せる合図(ホバー/フォーカス)・押した後・無効の4状態を用意します。必須項目が未入力なら送信ボタンを薄いグレーの無効状態にして、押せないことを見た目で伝えます。状態を分ける目的は飾りでなく、今の状況を利用者に伝えることでした。
スタイルガイドに一覧化し、ニールセン10とコントラストで自己点検できる
決めたカラー・フォント・余白・コンポーネントを1か所に並べ、各項目に使いどころを1行添えます。仕上げたUIは、今どこにいるか分かるか・間違えても戻れるか・画面がそろっているか(ニールセンの10原則)と、文字と背景のコントラストが十分かで点検します。支給ロゴとブランドカラーの制約を守ることも忘れずに。
提出 第3章の提出物 — コーチに提出しよう

この章で作った次の成果物を、まとめてコーチへ提出します。コーチが確認したら次の章へ進みます。(※途中の作業シート・自己採点の演習は提出不要)