- ✓プロトタイプが「作り込む前に、触って確かめられる試作」であることと、その意義を説明できる
- ✓前回のUIを画面としてつなぎ、予約フロー(トップ→日時選択→確認→完了)を実際にたどれる状態にできる
- ✓戻る・エラーなどの分岐も用意し、自分で一度通してから提出できる
前回(3-5)では、ワイヤーフレームに色・文字・部品を与えて、リフトのUIデザインとスタイルガイドを仕上げました。今回はその画面をつないで、予約フローを実際にたどれる動くプロトタイプにします。仕上げる成果物は、プロトタイプの1点です。
このレッスンでやるのは、前回仕上げたリフトのUIを画面としてつなぎ、トップから予約完了まで実際に触ってたどれる動くプロトタイプにすることです。前回までに作った画面は、1枚ずつでは静止した絵で、押しても何も起きません。ここに、押したら次の画面へ移るという遷移を足して、予約という一連の流れを指でたどれる状態にします。第1章で学んだUXデザインの7ステップでいえば、ここは⑤のプロトタイピングにあたります。Figma教材では、見本をなぞりながら画面をつないで動かす操作を身につけました。今回はその操作を、自分で設計したリフトのUIに使います。作ったものは次のレッスンで実際に人に触ってもらって検証するので、まずは通して動く形にすることがこの120分のゴールです。
プロトタイプとは何か(触って確かめられる試作)
プロトタイプとは、作り込む前に、触って確かめられるようにした試作のことです。前回までのUIは、1画面ずつを見て評価するものでした。プロトタイプは、それらをつないで、押すと次の画面へ進むようにし、利用者になったつもりで実際に操作できるようにします。まだ本物のシステムではありませんが、流れは本物のように体験できます。
同じ「予約する」ボタンでも、遷移をつなぐと押した先の画面へ進みます。この動きがあると、流れを頭の中で想像しなくても、実際に指でたどって確かめられます。
なぜ、本物を作る前に試作を触るのでしょうか。理由は、作り込んでからの手直しは大変だからです。プロトタイプなら、画面のつなぎ方を変えるのも、順番を入れ替えるのも短時間で済みます。頭の中や1枚の絵では気づけなかった不便さ、たとえば手順が多すぎる、次にどこを押すか分からない、といった問題を、早い段階で見つけて直せます。
問題は、見つかるのが早いほど直すのが軽く済みます。プロトタイプは、作り込む前に流れの不便さを見つけるための試作です。ここで見つけて直しておけば、後の工程での大きな手戻りを防げます。だから、きれいに作り込むことより、まず通して触れる形にすることを優先します。
前回のUIデザインとスタイルガイドは、この試作の材料です。深緑 #2F5D50とオフホワイト #F6F1E7という配色も、ボタンや文字の部品も、ルールはすでに決まっています。だから今回は見た目を作り直すのではなく、できあがった画面をつなぐことに集中します。次のレッスンでは、このプロトタイプを実際に人に触ってもらい、流れに問題がないかを確かめます。
画面をつないで予約フローをたどれるようにする
プロトタイプの中心の作業は、画面と画面を遷移でつなぐことです。3-3で作った画面フローが、どの画面からどの画面へ進むかの設計図になります。トップ画面の予約するボタンを押したら日時選択へ、日時選択で日時を選んだら確認へ、確認で確定したら完了へ。この順につないでいけば、予約という目的をたどる主要な導線ができあがります。
4つの画面を、押すと次へ進む遷移でひとつなぎにします。この主要導線が通れば、トップから予約完了までを実際にたどって体験できます。
つなぐときは、押すと画面が移る場所(ボタンやカード)を1つずつ選び、移り先の画面を指定していきます。全部を一度につなごうとせず、まずはトップから完了までまっすぐ進む一本道を先に完成させます。一本道が通ると、予約の流れが体験できるようになり、どこが長い、どこで迷う、といったことが自分でも見えてきます。
最初から分岐や例外まで作り込むと、途中で迷って完成しません。まずトップから完了までの主要導線だけを一本道でつなぎ、通して動く状態を作ります。全体が動いてから、戻る操作やうまくいかない場合の分岐を足すと、迷わず組み上がります。
戻る・エラーなどの分岐を用意する
主要導線が一本道で通ったら、次はまっすぐ進めないときの道を足します。人は、いつも順番どおりに操作するとは限りません。1つ前に戻りたいとき、選んだ日時が空いていないとき、入力を間違えたとき。こうした場面で行き止まりになると、利用者は予約をあきらめてしまいます。3-3の画面フローで設計した戻る経路とうまくいかない場合の分かれ道を、プロトタイプにも反映させます。
戻る操作は、どの画面にも用意しておきます。プロトタイプでは、画面の中の戻るボタンや矢印を、1つ前の画面につないでおくだけです。うまくいかない場合の分岐は、まず利用者が詰まりやすい所を1つか2つ選んで作れば十分です。リフトなら、日時が空いていないときに別の候補を出して選び直しへ戻す道が、その代表例です。
分岐の先の画面をつなぎ忘れると、そこで操作が止まる行き止まりになります。別候補を出したのに選び直しへ戻せない、エラーを出したのに直す方法がない、といった状態です。分岐を足したら、その先が必ずどこかの画面につながっているかを確かめてください。逃げ道を出すなら、戻り道までを1セットで用意します。
分岐まで用意できたら、最後に自分で一度、利用者になったつもりで通して確認します。トップから予約完了まで指でたどり、戻る操作も試し、日時が空いていない道にも入ってみます。途中でつながっていない場所や、押しても進まないボタンがあれば、それが直すべき箇所です。この確認までを終えて、はじめてプロトタイプが完成します。
演習:リフトの予約フローをプロトタイプにする
ここからは実践です。前回のUIデザインとスタイルガイドを土台に、画面をつないでリフトの予約フローをたどれるプロトタイプに仕上げます。4つのステップで進めます。完成イメージは、下のように全画面が遷移でつながった状態です。

- ●前回(3-5)のUIデザインとスタイルガイドを、Figmaで開いておく
- ●3-3で作った画面フロー(どの画面がどうつながるか)を、手元に開いておく
- ●予約フローに必要な画面(トップ・日時選択・確認・完了など)がそろっているか確認する
STEP 1:つなぐ画面を並べる
- 予約フローで使う画面を、トップ→日時選択→確認→完了の順に、作業画面へ並べる
- 3-3の画面フローと見比べて、必要な画面がそろっているか、順番が合っているかを確かめる
STEP 2:主要導線を遷移でつなぐ
- 各画面の押せる場所(予約するボタン・次へ・この内容で予約など)から、次の画面へ移る遷移を設定する
- まずはトップから完了までの一本道を先に通す(分岐はまだ足さない)
STEP 3:戻る・エラーなどの分岐を足す
- 各画面に1つ前へ戻る操作をつなぐ
- 日時が空いていないときに別候補を出して選び直しへ戻すなど、詰まりやすい所の分岐を1〜2か所足す
- 分岐の先が行き止まりになっていないか(戻り道までつながっているか)を確かめる
STEP 4:自分で一度通して確認する
- 利用者になったつもりで、トップから予約完了まで指でたどる
- 戻る操作と、日時が空いていない分岐も試す
- つながっていない場所・押しても進まないボタンがあれば直す
完了条件(提出物)
この成果物は、章の最後でまとめてコーチに提出しましょう。
- プロトタイプ(トップから予約完了までの主要導線が通り、戻る操作と分岐が用意され、通して触れる状態のもの)
- 確認メモ:自分で通して確認したときに気づいた点と、直した点を2〜3行で書く
- 応用メモ:Figma教材で覚えたつなぐ操作を、今回のリフトのUIにどう当てはめたかを2〜3行で書く
プロトタイプは、修了評価のプロトタイプ・検証の観点(15点)に直結する成果物です。凝った動きを足すことより、トップから完了までが最後まで通ること、戻る道と分岐で行き止まりが残っていないことを優先してください。ここで作ったプロトタイプは、次のレッスンで実際に人に触ってもらい、流れに問題がないかを確かめる材料になります。