専門性・悩み・数字の3点セットで抽象表現を具体的な強みに変換する
CHAPTER 1
専門性・悩み・数字の3点セットで抽象表現を具体的な強みに変換する
LESSON 1-2 抽象語を具体的な強みに変換する3点セットを学ぶ ⏱ 所要時間:約15分
GOAL
このレッスンのゴール
  • 「丁寧なカウンセリング」等の抽象表現が差別化にならない理由を理解し、専門性の明示・悩みへのフォーカス・数字による裏付けの3点セットで具体的な強みに変換できているかを判断できる

スタッフから「うちのキャッチコピー、このままでいいですか」と相談されたとします。
文面には「丁寧なカウンセリングと高い技術力が自慢です」と書かれていて、悪くはなさそうだけれど何かが足りない気がする。
何をどう直せばいいのか、自分でも言葉にできません。
このレッスンを終えると、抽象的な表現のどこが弱いのかを見抜き、3点セットで具体的な強みに変換できているかを判断できるようになります。

なぜ「丁寧なカウンセリング」は刺さらないのか

「丁寧なカウンセリング」「高い技術力」という言葉自体は誤りではありませんが、ほとんどのサロンが同じように名乗れる表現です。

抽象的な言葉のままでは、他店との違いがお客様に伝わりません。

HPBでは同じエリア・同じ客層向けのサロンが一覧で並んで表示されるため、お客様は複数のキャッチコピーを短時間で比較します。
「丁寧なカウンセリング」のような、どのサロンにも当てはまる言葉のままでは、比較の中で埋もれてしまい、クーポンをクリックする理由にはなりません。

✓ Point !
抽象と具体を行き来する

抽象的な言葉は要点をまとめるのに便利ですが、差別化には向きません。
具体的な事実に変換することで、初めて他店との違いが伝わります。

ここで言う具体的な事実への変換とは、カウンセリングや技術力という強みそのものを別の内容に入れ替えることではありません。
何が得意なのか、誰の悩みに対応しているのか、実績はどの程度なのかを、言葉として示せる状態にすることです。

実際にSourireでは、開業時から同じ抽象的な表現をキャッチコピーとして使い続けており、予約率(予約数÷クーポン閲覧数)は約2%で、合格ラインの3〜5%を下回っています。
抽象的な言葉のままでは、お客様に選ばれる理由が伝わりにくいことが、この数字からも分かります。

専門性・悩み・数字の3点セット

抽象表現を具体的な強みに変換するときは、専門性の明示・悩みへのフォーカス・数字による裏付けの3点セットで整理すると迷いません。

3点セットが必要なのは、キャッチコピーを読むお客様が、自分に合いそうか、自分の悩みと関係があるか、信頼していいかという、異なる基準で同時に判断しているためです。
専門性の明示は1つ目の基準に対応し、悩みへのフォーカスは2つ目、数字による裏付けは3つ目に対応します。

専門性の明示・悩みへのフォーカス・数字による裏付けの3点セットを示す図解

3つは足並みを揃える必要はなく、原稿の中でそれぞれ異なる役割を果たします。

具体的には、専門性の明示は何が得意かを一瞬で伝えること、悩みへのフォーカスはお客様の困りごとに触れること、数字による裏付けは実績を信頼材料に変えることを指します。
3つのうち1つでも欠けると、抽象的な印象に戻ってしまいます。

Q
確認クイズ
美容室Sourireの「白髪ぼかしが得意、パサつきに悩む30代からのご来店実績150件以上」というキャッチコピーで、数字による裏付けにあたる部分はどこでしょうか。
正解です!
「白髪ぼかしが得意」は専門性、「パサつきに悩む30代」は悩みへのフォーカス、「来店実績150件以上」が数字による裏付けです。
惜しい!
数字による裏付けは実績や件数など、具体的な数を示す部分です。もう一度3つの役割を見比べてみましょう。

次の項目では、この3点セットを使ってSourireの実際のキャッチコピーをBefore/Afterで変換します。

Before / Afterで見る変換演習

実際にSourireのキャッチコピーを3点セットで変換すると、次のようになります。

Before
丁寧なカウンセリングと高い技術力が自慢です

専門性・悩み・数字のいずれも含まれておらず、他の美容室にもそのまま当てはまる表現

After
白髪・パサつきに悩む30代からの髪質改善が得意。年間150件以上のご相談実績

専門性(髪質改善)・悩み(白髪・パサつき)・数字(150件以上)の3点セットがそろっている

このAfterの例では、白髪・パサつきに悩む30代という悩みへのフォーカス、髪質改善が得意という専門性の明示、年間150件以上のご相談実績という数字による裏付けが、1つの文の中に収まっています。
Beforeの表現に比べて文字数はほとんど変わらないのに、お客様が自分に当てはまるかどうかを判断できる情報量は大きく増えています。

抽象語をそのまま消すのではなく、専門性・悩み・数字に置き換えることで、同じ情報量でも伝わり方が変わります。

Q
確認クイズ
次のキャッチコピー候補のうち、専門性・悩み・数字の3点セットが最も反映されているのはどれでしょうか。
正解です!
専門性(白髪ぼかし)・悩み(パサつきに悩む30代)・数字(来店実績150件以上)の3つがそろっています。
惜しい!
雰囲気・割引・立地だけでは、専門性・悩み・数字の3点セットのどれも満たしません。

既存のキャッチコピーを見直すときは、専門性・悩み・数字の3つがそれぞれ入っているかを1つずつチェックしましょう。

判断まとめ|どの要素を強めるか

3点セットは常に均等に使うものではなく、メニューやお客様の状況に応じて強める要素を選びます。

状況によって強める要素を変える必要があるのは、お客様がキャッチコピーを読むタイミングや、そのお客様が何を知りたいと思っているかが、メニューや来店回数によって異なるためです。
同じ3点セットでも、常に同じ配分で使うと、必要な情報が伝わりにくくなります。

状況 強めに使う要素 理由
新規のお客様が多いメニュー 数字による裏付け 初めての来店では、実績が信頼を判断する材料になるため
リピーター向けのメニュー 悩みへのフォーカス 継続して通う理由を、その都度確認してもらえるため
専門技術が売りのメニュー 専門性の明示 技術の独自性そのものが、他店との違いになるため

表の3つの状況では、お客様の来店動機がそれぞれ異なります。
新規のお客様はまだそのサロンを信頼できるかどうかを判断している段階のため、実績という客観的な数字が信頼材料になります。
リピーターのお客様は一度来店した理由を覚えているとは限らないため、悩みへのフォーカスでその都度来店理由を思い出してもらう必要があります。
専門技術が売りのメニューでは、その技術ができるサロンが少ないほど、専門性の明示そのものが選ばれる理由になります。

✓ Point !
Sourireの場合

Sourireは新規のお客様の獲得が課題のため、まず数字による裏付け(来店実績)を前面に出し、悩みへのフォーカス(白髪・パサつき)と組み合わせるのが優先順位です。
次のレッスンでは、この判断をペルソナシートに落とし込みます。

この章で学んだ専門性・悩み・数字の3点セットは、キャッチコピーだけでなく、クーポン名やメニュー構成表を考えるときにも共通して使える整理の仕方です。
判断に迷ったときは、3つのうちどれが欠けているかを1つずつ確認する習慣をつけましょう。

SUMMARY
  1. 「丁寧なカウンセリング」等の抽象語は、他店との違いが伝わらないため差別化にならない
  2. 専門性の明示・悩みへのフォーカス・数字による裏付けの3点セットで具体的な強みに変換する
  3. 3つは常に均等ではなく、原稿の中でそれぞれ異なる役割を果たす
  4. 新規客には数字、リピーターには悩み、専門メニューには専門性を強めに使う
  5. Sourireはまず数字による裏付けと悩みへのフォーカスを組み合わせるのが優先
チェック
理解度チェック
「丁寧なカウンセリング」等の抽象表現が差別化にならない理由を説明できる
言葉自体は間違いではなくても、ほとんどのサロンが同じように名乗れる表現のため、他店との違いがお客様に伝わらないからです。
専門性・悩み・数字の3点セットをそれぞれ説明できる
専門性の明示は何が得意かを一瞬で伝えること、悩みへのフォーカスはお客様の困りごとに触れること、数字による裏付けは実績を信頼材料に変えることです。
キャッチコピーが3点セットで具体的な強みに変換できているかを判断できる
専門性・悩み・数字の3つがそれぞれ入っているかを1つずつ確認します。
抽象語のままの箇所があれば、その部分を具体的な事実に置き換えます。
状況によってどの要素を強めるべきかを判断できる
新規客が多いメニューでは数字、リピーター向けメニューでは悩みへのフォーカス、専門技術が売りのメニューでは専門性の明示を強めに使います。