専門用語NGワードリスト・3行フレームで見直しポイントを判断する
CHAPTER 4
専門用語NGワードリスト・3行フレームで見直しポイントを判断する
LESSON 4-2 伝わらない言葉を、伝わる訴求に組み立て直す ⏱ 所要時間:約15分
GOAL
このレッスンのゴール
  • 美容業界で使われがちな専門用語が、なぜお客様に伝わらないかを説明できる
  • 「選ばれる理由を3行で書く」フレーム(悩み→手段→理想の結果)を使って原稿を組み立てられる
  • 原稿のどこにNGワードが残っているか、3行フレームに沿っているかを判断できる

Sourireのプロフィール文に「本日はダブルカラーの施術で、放置時間をしっかり取り、テンションを意識してカットしました」という一文があります。
美容師にとっては当たり前の説明でも、他店と迷っているお客様には、何を伝えたいのか分かりません。
結局「丁寧そうだけど、この店の強みが分からない」まま、他のページへ移ってしまいます。
このレッスンを終えると、こうした一文をどう見直せばよいか判断できるようになります。

専門用語がお客様に伝わらない理由

美容業界の専門用語は、業界内でも定義が揺れたまま使われることが多い言葉です。
レイヤーとグラデーションの境界はおおよその印象で呼び分けられており、書き手本人が意味を厳密に説明できないまま使っていることもあります。
毎日サロンの中でその言葉を使っていると、初めてその言葉を読むお客様がどう受け取るかを想像しにくくなるのも自然なことです。

お客様にとって未知の言葉が並ぶと、理解する負担がすべてお客様側に押しつけられてしまいます。
HPBのようなポータルサイトでは、お客様は複数のサロンのページを並べて比較しながら選んでおり、スタッフに直接尋ねる手段を持っていません。
分からない言葉に立ち止まるたびに、そのページを離れて別のサロンを探す方向に気持ちが動きやすくなります。
専門用語を見直す作業は、この負担を書き手側に引き取る作業だと捉えましょう。

原稿を読み返すときは、業界の会話でよく出てくる言葉ほど疑ってかかる習慣をつけましょう。
日常的に使う言葉ほど、書き手自身は違和感を感じにくくなっているものです。

専門用語NGワードリストで原稿をチェックする

美容師が会話の中でつい使ってしまう専門用語には、共通のパターンがあります。
まずは代表的なNGワードと、その言い換え例を確認します。

NGワード 意味 お客様向けの言い換え例
施術 技術を施すこと カットカラーなど具体的な工程名に置き換える
放置 薬剤を効かせる時間 薬剤をなじませる時間
テンション 髪を引っ張る力加減 お客様向けの説明では基本的に削除する
キューティクル 髪表面のうろこ状組織 髪の表面
グレイカラー 白髪染めのこと 白髪染め
バレイヤージュ ランダムに入れる明るいメッシュ 立体感のある明るいメッシュ
グレージュ・ブルージュ 色味の組み合わせを表す造語 グレーがかった色味など色の系統で説明する

表に挙げた言葉を見ると、言い換え方には2つのパターンがあります。
「放置」や「キューティクル」のように工程や部位を指す言葉は、より具体的で分かりやすい言葉に置き換えられます。
一方「テンション」のように技術の加減そのものを指す言葉は、言い換えるよりも削除して仕上がりの説明に差し替えたほうがお客様に伝わります。
この2つのパターンを見分けることが、NGワードリストを使う際のポイントです。

✓ Point !
言い換えの物差し

言い換えに迷ったときは、その言葉を中学生に説明してもそのまま伝わるかどうかを基準にしましょう。
専門用語は削除するだけでなく、より具体的な言葉に置き換える視点を持つことが重要です。

Q
✏️ 確認クイズ
Sourireの原稿に「艶感を出すためにテンションを意識してカットしています」という一文があります。この一文をどう直すべきですか?
正解です!
テンションのような技法用語は、置き換えるよりも削除し、お客様が受け取る仕上がりのイメージに書き換えたほうが伝わります。
惜しい!
力加減に置き換えても専門的な響きは残ります。
お客様が知りたいのは技法ではなく、仕上がりがどうなるかです。

NGワードリストは一度チェックして終わりにせず、新しいメニューや季節ごとの言い回しを増やすたびに見返す習慣にしましょう。
原稿に手を入れるたびにこの視点で読み返すと、専門用語が知らないうちに増えていくのを防げます。

「選ばれる理由を3行で書く」フレームで組み立てる

「丁寧なカウンセリングと高い技術力」は、誰にでも当てはまる抽象表現であり、店舗側の自己評価に過ぎません。
差別化にならない言葉は、他店と迷っているお客様には刺さらないままです。
Sourireの予約率(予約数÷クーポン閲覧数)が合格ラインの3〜5%を下回り約2%にとどまっているのも、こうした抽象的な自己アピールがそのまま残っていることと無関係ではありません。

選ばれる理由を3行で書くフレーム(ターゲットと悩みの明示→具体的な手段→理想の結果)を示す図解

1行目にターゲットと悩み、2行目に他店と違う具体的な手段、3行目に施術後の理想の結果を書くと、お客様はこれが自分向けの情報だと認識しやすくなります。
順番を入れ替えず悩みから始めるのは、お客様が最初に知りたいのは自分の悩みに気づいてもらえているかどうかだからです。

Before

縮毛矯正メニューの説明文丁寧なカウンセリングと高い技術力が自慢です。

After(3行フレーム)

1行目くせ毛で朝が大変な方へ
2行目弱酸性の薬剤で自然に伸ばす
3行目アイロン不要の朝が手に入る

✓ Point !
抽象表現は差別化にならない

丁寧高い技術力のような言葉は、どのサロンにも当てはまるため、読み手には刺さりません。
3行フレームに沿って具体的な悩みと結果に置き換える意識を持ちましょう。

Q
✏️ 確認クイズ
Sourireの白髪染めメニューに「グレイカラーの施術でイメージチェンジをサポートします」という説明文があります。3行フレームの1行目に当てはめるとしたら、どれが適切ですか?
正解です!
1行目はターゲットと悩みの明示です。
グレイカラーは専門用語NGワードリストで見直す言葉であり、1行目には使いません。
惜しい!
1行目に入るのはターゲットと悩みです。
手段や結果は2行目・3行目に当てはまります。グレイカラーも専門用語NGワードリストの対象です。

新しいメニューの説明文を書くときは、最初から3行フレームの型に沿って書き始めましょう。
型に沿って書くと、悩み→手段→理想の結果の順が保たれ、抽象的な自己アピールに戻ってしまうことを防げます。

どちらの観点から見直すかを判断する

専門用語NGワードリストと3行フレームは、原稿のどこに問題があるかによって使う場面が異なります。
原稿の症状から、まず使う観点を判断できるようにしておきましょう。
迷ったまま両方を同時に直そうとすると、どこを直したか分からなくなり、修正がかえって遠回りになります。

こんな原稿は まず使う観点
「施術」「放置」のような業界の言い回しが多い 専門用語NGワードリストで言葉を言い換える
「丁寧」「高い技術力」のような抽象的な自慢が並ぶ 3行フレームで悩み→手段→理想の結果に組み立て直す
両方の特徴が同じ文章に混ざっている NGワードリストで言葉を削ってから、3行フレームで組み立て直す
✓ Point !
迷ったら両方使う

どちらか判断に迷う原稿は、たいてい両方の観点に引っかかります。
まずNGワードを削り、残った内容を3行フレームに当てはめ直せば整理できます。

この判断を素早くできるようになると、キャッチコピー・クーポン名・メニュー構成表など、Chapter1〜3で作った原稿一式を客観視で仕上げる作業のスピードが上がります。
複数の原稿を見直す場面でも、同じ2つの観点を使い回せます。

SUMMARY
  1. 美容業界の専門用語は業界内でも定義が揺れており、書き手自身も厳密に説明できないまま使われることがある
  2. 「施術」「放置」「テンション」等の専門用語は、より具体的で日常的な言葉に置き換える
  3. 「丁寧なカウンセリングと高い技術力」のような抽象表現は、誰にでも当てはまるため差別化にならない
  4. 「選ばれる理由を3行で書く」フレームは、悩み→手段→理想の結果の順で組み立てる
  5. 業界の言い回しが多い原稿はNGワードリストから、抽象的な自慢が並ぶ原稿は3行フレームから見直す
チェック
理解度チェック
専門用語がお客様に伝わらない理由を説明できる
美容業界の言葉は業界内でも定義が揺れたまま使われることが多く、お客様にとって未知の言葉が並ぶと理解する負担がすべてお客様側に押しつけられてしまいます。
専門用語NGワードリストを使って原稿の言葉を見直せる
「施術」「放置」「テンション」等の言葉は、中学生に説明してもそのまま伝わるかどうかを基準に、より具体的な言葉へ置き換えます。
「選ばれる理由を3行で書く」フレームを使って原稿を組み立てられる
1行目にターゲットと悩み、2行目に他店と違う具体的な手段、3行目に施術後の理想の結果を書くことで、お客様が自分向けの情報だと認識しやすくなります。
原稿の症状から、まず使う添削観点を判断できる
業界の言い回しが多い原稿はNGワードリストから、抽象的な自慢が並ぶ原稿は3行フレームから見直します。
両方に当てはまる場合は、NGワードを削ってから3行フレームに組み立て直します。